2019年 12月 14日 (土)

お笑い芸人だけじゃない「無茶ぶり」 巧みにこなしてデキる人材になれ!(高城幸司)

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   年末年始は、お笑い芸人がテレビの主役。そんな芸人の会話によく登場するのが「無茶ぶり」です。聞いてないですよ、そんな急に言われても...と戸惑う芸人のリアクションに笑いが起こる場面をみかけます。

   でも、無茶ぶりはお笑いだけでなく、ビジネスの場面でもよくみかけます。今回は無茶ぶりの活用法について、みなさんと考えてみたいと思います。

  • 無茶ぶりに、ついつい「やめて!」……
    無茶ぶりに、ついつい「やめて!」……

無理難題の押し付けか、それとも責任転嫁か

   まず、自分の成長機会は自分の努力の賜物......。こう話す人がいます。

   でも、本当にそうでしょうか? そう、自分の仕事はほとんど誰かから「振られた」もの。

   たとえば、

「D君が休暇を取ったので代わりにお願いしたい」

と、ふだんは先輩が行っている会議への出席を振られたとき、自分的には高いレベルの会話に参加することで、成長機会につながることでしょう。

   これまでの努力から認められたと、自分としてはそのことだけが認識されるかもしれません。でも、D君に任せようと、誰かが振ってくれたことに対する感謝は生まれたでしょうか。

   組織の中で働く人、場合によっては独立して働いている人でも、1日の多くは「振られた仕事」をこなすことに時間を費やしているのではないでしょうか。たいていは上司から「この仕事をやりなさい」と指示をされている、まさしく振られたはずなのです。

   ちなみに、振るにも急な振りを「無茶ぶり」と言います。たとえば、やったことがない会議の仕切りを突然に「君にやって欲しい」と指名する上司と戸惑う部下。あるいは「明日から入社してくる後輩の面倒をよろしくお願いしたい」と、急に育成担当を任されて驚く中堅社員。そんな無茶ぶりに、「無理難題の押し付けに過ぎない」「責任転嫁ではないか」とネガティブな意見を持つ人もたくさんいます。

じつは無茶ぶりされた人も得するかも?

   でも、当方は無茶ぶりを巧みに駆使することで仕事の幅が広がる、振られた人も得する可能性が大きいと確信しています。

   特にキャリアを積むと、仕事がドンドンと振られてくるようになります。それをいかにさばいていくか――。そのときに大事なことは、「どの仕事を自分がすべきか」考えることです。仕分けして、それ以外の仕事を誰かに任せるというのではなく、無茶ぶりできる能力を持つことが重要であると考えます。

   では、私たちに仕事を振る、そしてしばしば無理難題を言いつけてきて悩みのタネとなる上司、あるいはもっと偉い人はどうなのでしょう?

   こんな疑問が浮かびそうです。彼らにしても、新しい業務分野を開拓するなど、自ら戦略を立てて仕事をつくる機会が多いのは間違いないのですが、日常の仕事の多くは「振られる」ことによって成立しています。

   社長や役員だって例外ではありません。ある会社の営業部長が、社長にこう切り出しました。

「社長、お客さま感謝のパーティーに出席いただきたく、日程の調整を......」 「わかった。では秘書にスケジュールを確認して、開催日を固めてくれ」
「ありがとうございます。できれば、オープニングでご挨拶をいただきたく......」
「ああ、もちろん。挨拶の文案は営業担当役員のC君と練ってくれないか」
「承知しました。ではCさんにもその旨、お伝えして相談いたします」

   営業部長から社長、社長から役員に仕事が振られました。このように仕事は「振って、振られて」を繰り返しながら、ビジネスのプランが進行していくのがわかります。

仕事を「干される」つらさ

   仕事は、そのほとんどが「発注と受注」という流れの中で生まれます。この「受発注」の流れは、会社の中だけでなく、たとえば顧客や取引先、株主などの利害関係者との間でも存在し、連綿とつながっています。

   スポーツ界、芸能界に限らず、ビジネスの世界でも「仕事を干される」という表現はよく使われます。説明するまでもなく、「干される」というのは仕事を「発注」してもらえない状況なのです。

「自分は、仕事を振られてばかりだ。つまらない」

   そう嘆く人をよく見かけますが、働く機会を与えられるということは、それだけ頼りにされているということ。チャンスを与えられているということです。

   働く人間にとって、最も恐れなければいけない状況は、業種や職種、階層にまったく関係なく、「仕事を干される」ことです。独立開業している人であれば、身にしみて理解できます。

   つまり、仕事は「振られてなんぼ」なのです。とすれば、大事なことは感謝の気持ち。多少の無茶ぶりでも、笑顔や「やりがいある仕事を任せていただき、ありがとうございます」と感謝の気持ちを相手に示しましょう。そうすれば、「振られる機会」が続くことでしょう。

仕事は振ったり、振られたりしながら前進する

   会社では自分が振った仕事が戻ってくる、あるいは互いに振り合うこともあります。また、隣同士でシェアするケースも見られます。たとえば同じ職場の中で、専門家同士が2人で1つの仕事を分け合ってやる。あるいは、「手が足りないからここだけ手伝って」という場合もあります。

   先ほどの部長と社長の例を見るまでもなく、働いている人は誰もが、あるときは仕事を振る立場に、あるときは振られる立場になります。

   会社組織においては、たいていの仕事は何人かでチームを組んで取り組む「プロジェクト」であり、仕事を振る立場の人間は「プロジェクトリーダー」となります。

   プロジェクトリーダーは、必ずしも上司とは限りません。その仕事における責任者であり、自分で仕事を分解して各人に分け与えていく立場です。大きな仕事に複数の人間で取り組む場合は、このプロジェクトリーダーという役割が必要不可欠となります。

   一方で、このリーダーが今度は別のプロジェクトのメンバーになり、そのリーダーから仕事を振られることもあります。つまり仕事というのは、振る人と振られる人が明確に分けられているわけではなく、同じ人間が振ったり振られたりしながら成り立っているのです。

   上司から振られた仕事の一部を、部下に振る、ある仕事のかたまりを分解して人に渡したり、自分でやったりする......。それを繰り返すことが組織の中では常に行なわれているのです。会社にいれば、振る立場と振られる立場が常に存在し、振るだけ、振られるだけの人はいません。

   「振って、振られて」を繰り返していく中で、「振り上手」や「振られ上手」になっていく。こうして一人の人間がさまざまな仕事を体験することが、個人としても、また組織としても理想的といえます。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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