2024年 4月 27日 (土)

メディアお断りの「億り人」が書いた投資アドベンチャー【気になる本の散歩道】

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『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(cis著)KADOKAWA

   株式投資の世界で「神」といわれる個人投資家cis(しす)さんの初めての著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(KADOKAWA)が話題だ。

   「230億円」を稼いだ実績を持つデイトレーダーが、投資家としての半生を語る自伝。「元手の300万円をただただ溶かして104万円まで減らした」ビギナー時代から「一撃19億円」をたたき出すまでになる過程は、投資をめぐるアドベンチャー物語のようだ。

  • これは「億り人」cisさんの投資アドベンチャー物語だ!
    これは「億り人」cisさんの投資アドベンチャー物語だ!
  • これは「億り人」cisさんの投資アドベンチャー物語だ!

「執筆の報酬は受け取りません」

   cisさんは、自身の株取引をツイッターでつぶやくことで知られる。フォロワーは25万人とも27万人ともいわれ、またネットの巨大掲示板「2チャンネル」の株板や金融関係のまとめサイトでも、その投資情報が取りざたされている。

   すでに何冊もの著書があっていいほどのカリスマトレーダーなのだが、これまでは一切なし。確定申告を面倒にしないため、またリスク管理を考えると、メディアへの露出はマイナスといい、雑誌やテレビの取材はほとんどを断り、本の出版など、考えもしなかったという。

   本書の出版は、マージャンを通じて10年以上の親交があるライターのススメに応じたもの。数回にわたるインタビューをベースに、そのライターが構成を手がけた。cisさんは「面倒なこと一切なし」と、ツイッターで印税などの報酬を受け取らない考えを明かしている。

   「この本は相場において、僕がどう考えて行動し、どう勝ってきたかについてまとめたもの」と、cisさん。あえてトライした初の書籍は、投資家向けの指南書というより、「一人の力で日経平均を動かす」までを一般向けに語ったノンフィクションだ。

   本人も「株の話が中心ではあるけれども、株をあまり知らない人でも読めるようになっていると思う」という。「順張り」や「逆張り」あるいは「押し目」「利確」などの専門的な言葉にも一つひとつ説明を施し、平易な言葉で語られている。

元手の300万が6000万円! 会社を辞めた

   cisさんは1979年3月生まれで、法政大学4年生の2000年夏に初めて取引口座を開き、300万円を元手に株式投資を始めた。翌01年に大学を卒業し、親族が経営する企業に就職。投資のほうは02年からデイトレードに。一時期、資産を104万円まで減らし、補てんのために貯金や給料もつぎ込んではみたものの、結局は1000万円ほど負け続けたという。

   その後は投資スタイルを変えて勝ち続け、6000万円に増えた04年6月に勤務先を退職。以降、専業トレーダーとなって着々と資産を積み上げ、05年中に30億円に達した。

   後日わかったことだが、当初、どん底に落ち込んだのは大原則を理解していなかったためという。それは「上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる」ということ。たいていの初心者がそうであるように著者も、自分の「こうあるべきだ」という考えを優先させ、マーケットの潮目をキャッチできなかった。

   たとえば、コイントスを10回やってすべて表が出ても、11回目に表が出る確率は50%だが、多くの人はそろそろ裏が出るのではないかと意識しがち。つまり理論値に期待して「行儀のいいランダム」に傾いてしまう。そのイメージを投資に当てはめて流れを見失い、資産を減らすことにつながるというのだ。

   その典型が「押し目買い」。上がってきた株が少し下がったときに買うことをいうものだが、ぐんぐん上がっている株でも、利益を確定させるために売る人たちがいると、一時的に下落することがある。そこで買おうとする感覚が「押し目買い」を促す。

   しかし、「上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる」のが大原則なのだから、「ぐんぐん上がっている株は押し目を狙っていてもそのチャンスがなかなかこない」と、いうのがcisさんの考え。「押し目」と思って買ったところで、そこから下がり続ける可能性もあるわけだ。

「投資で勝つ」アドバイスがある

   cisさんはこうしてマーケットの潮目を読んでトレードを続けていくためには、いろんな意味での精神のタフさが必要であると繰り返す。潮目を読む目が養われると、インサイダー取引の気配が感じられるようになったり、仕手株が疑わる値動きを察知できるようになるそうだ。事実は小説よりも奇なりのたとえもかくや、場面によっては、フィクションである金融小説以上のおもしろさも備えている。

   タフさが支配的な著者のトレーダー生活。最終第7章では「これから株を始めるなら」と題して、アドバイスを盛り込んでいる。そのしめくくりは「無限に努力をしていれば、たいていの人は勝てるようになる」。

   読むだけで物足りなさを感じた人は、ぜひ挑戦を!

『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』

BOOK
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著者:cis(しす 個人投資家)
出版社:KADOKAWA
定価:1500円(税別)

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