2019年 2月 24日 (日)

「正社員」という働き方を考える 東洋大・竹中教授は若者の将来を奪った「希代のワル」?(城繁幸)

印刷

   東洋大学の学生が、構内に「竹中平蔵教授の授業に反対する立て看板」(参考:「竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生『退学』騒動の本人を直撃」日刊ゲンダイDIGITAL 2019年1月25日付)を設置し、大学側が撤去したことが波紋を呼んでいる。

   大学側の処置は正しかったのか、そもそも学生の言うように「竹中氏は若者の将来を奪った希代のワル」なのか、いい機会なのでまとめておこう。

  • 東洋大学の竹中平蔵教授は「若者の将来を奪ったのか」!?(2018年6月28日撮影)
    東洋大学の竹中平蔵教授は「若者の将来を奪ったのか」!?(2018年6月28日撮影)

「規制強化で正社員増」は机上の空論だった

   結論からいえば、グローバル化が進んだ以上、先進国の賃金水準が下がるのはやむを得ないことであり、雇用を国内に引きとめるために規制緩和を行うこと自体は正しい処方箋だ。

   といっても、感覚的に理解できないという人のために、日本人を使った「人体実験」も紹介しておこう。

   やはり「小泉改革が格差を拡大した」と批判して政権を取った民主党政権が(30日以内の短期派遣の禁止、専門26業務適正化といった)一連の派遣業に対する規制を強化した結果、何が起こったか――。

   5年前の数字と比較すると、派遣労働者を42万人減らすことに成功したものの、正規雇用も120万人減少。増えたのはパートなどの非正規雇用と失業者だった(総務省 2012年就業構造基本調査結果より)。

   要するに、「派遣は悪だから規制して正社員にさせよう」とやってみたら、より不安定なパートと無職が増えただけだったというオチだ。

   この結果は、実際に厚生労働省の労働政策審議会の一員として派遣法改正に携わった人のひとりが「(規制強化で正規雇用増は)机上の空論だった」と、認めるほどの惨澹たるものだった。

   その後、厚労省は自ら「近年、パートや契約社員を中心に非正規雇用労働者は増加を続けており、それにも関わらず派遣労働者のみを常用代替防止の対象とし続けることには十分な整合性はないと考えられる」という報告書まで出して、完全に白旗をあげている(今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 報告書より)。

   というわけで、「規制緩和で格差拡大」も「規制強化でみんな正社員に」も、完全に間違いであり、その事実には厚労省もお墨付きを出しているということになる。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!

注目情報

PR
J-CAST会社ウォッチ会員向けセミナー
しごとの学校
  • 「無期転換ルール」、新たな「働き方」は軌道に乗っていますか?

  • 追悼
    J-CASTニュースをフォローして
    最新情報をチェック
    電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中