2024年 4月 27日 (土)

【投資の着眼点】メディアは信用できない! 調査に偏り、「幻惑」誘う?

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   投資やトレードをするうえで、多くの人がニュースを参考にすることだろう。

   個別株の値動きを予測するために企業の決算を確認したり、経済全体の方向性を把握するために、国内外の政策金利や選挙、海外市場の動きを確認したりすることなどがあてはまる。

  • その情報、鵜呑みにできないかも?
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株式市場で「サプライズ」が起こるワケ

   しかし、ニュースを根拠に投資判断を下すには、少々「慣れ」が必要なようである。というのも、報道から導かれる結論とは、反対方向に株価が動くことも多いからだ。

   たとえば、企業の好決算の発表にもかかわらず、株価が下落したり、企業の不祥事が発覚したのに株価が反応しなかったりすることがある。「相場に絶対はない」と言われることがあるが、ニュースをめぐっては、とくにその傾向があるように思われる。

   またメディアの予測が大幅に外れ、それが株価にとってのサプライズとなることもある。たとえば、2016年11月の米大統領選は、米国の主要メディアのほとんどが民主党候補者のヒラリー・クリントン氏の勝利を予測していたにもかかわらず、実際は共和党候補者のドナルド・トランプ氏が勝利し、第45代米国大統領に就いた。

   この政治的なサプライズを受けて、株式市場は大混乱。開票当日の前半は大幅に株安が進んだものの、トランプ氏の当選が確実となったタイミングで相場は反転。それまでの下落がまるでウソのような暴騰をみせた。

   これが、数か月間にわたって続く「トランプ相場」の幕開けだ。

トランプ当選、予想的中は200社中2社!

   投資の判断材料として、ニュースを見る際に欠かせない視点は、客観的な「事実」と報道局の「意見」を、分けて考えることだろう。

   トランプ大統領が当選した2016年の米大統領選のケースを考えてみよう。米国では共和党と民主党の二大政党が政権を争っていて、両政党の支持者の割合は教育水準や経済水準、職業、人種や民族、年齢層などによって、大きく変化することが知られている。

   米国のジャーナリストにおける政治的信条の研究調査例としては、ロバート・リヒター氏らによる「ザ・メディア・エリート」(1986年)などが挙げられる。この研究では米国の主要報道機関10社(新聞社3社、報道雑誌3社、テレビ局4社)の記者に対して、支持している政党の聞き取り調査を行った。

   その結果、それらの報道機関の記者の85%は、民主党支持者であることが判明した。一方で、別の調査では共和党支持の報道記者はわずか6%しかいなかったというデータもある、といわれている。

   つまり、米国の主要な報道機関は民主党支持者が記者の多くを占めていて、その報道内容は民主党寄りのものになりがち、といえるワケだ。米国の主要な報道機関200社のうち、トランプ氏の当選を予測していたのは、フォックス・ニュースとインベスターズ・ビジネス・デイリー紙のわずか2社だけだった。

その調査対象、必ずしも均等に選ばれていないかも?

   また、メディア各社の調査対象が、必ずしも均等に選ばれているわけではないということにも注意しなければならない。

   米国の場合、教育格差が大きいため、新聞を読む層は必然的に一定以上の知識水準を持つ層ということになる。だから、新聞社のアンケートは、その対象が高学歴な人に偏ったものとなりがちである。米国では、高い学歴を持つ給与所得者(サラリーマン)は民主党支持者が多いことで知られている。

   メディアなどの調査対象が必ずしも無作為ではないことを示す、もう一つの例をみてみよう。2016年6月に英国で行われたEU離脱の是非を問う国民投票は、ブックメーカーのオッズから、メディア各社は残留派が勝利するだろうと報道していた。ところが、その予測に反して離脱派が勝利したため、相場はやはり大混乱となった。

   ブックメーカーのオッズを使った予想には、問題点があった。ブックメーカーの多くが英国の首都であるロンドンを拠点としていたため、そのサンプルがロンドン市民に偏ったものとなっていたことである。

   保守的な国民が多いロンドンでは、残留派が多数派だった。だが、英国の地方都市では離脱派が多数派だったのだ。そのため、メディアの予想に反して離脱派が勝利したと考えられている。

   さまざまなニュース配信局や新聞社の「無作為抽出」といわれている調査は、じつは調査対象が大きく偏っていることもあるのかもしれない。(ブラックスワン)

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