2024年 4月 19日 (金)

その78 JRの中途半端なサービス 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   JRに「ジパング倶楽部」というのがある。僕も入っているシルバー向けの会員組織で、女性は満60歳以上、男性は満65歳以上が加入できる。会費は個人会員が年3770円、夫婦会員が2人で年6290円だ。JRグループ6社共通で使える。

   会員になって1回あたり201キロメートル以上利用すると、乗車券や特急券などの割引が年20回まで受けられる。入会当初は2割引きだが、すぐに3割引きになり、以後はこれがずっと続く。

   年に1回でも少し長距離の旅行をすれば、会費などは安いもので、おつりがくる。年金生活者にはありがたい。

  • 東京の都心を走る新幹線の列車。車型から見て多分「のぞみ」だろう。僕はまだ一度も乗ったことがない。
    東京の都心を走る新幹線の列車。車型から見て多分「のぞみ」だろう。僕はまだ一度も乗ったことがない。
  • 東京の都心を走る新幹線の列車。車型から見て多分「のぞみ」だろう。僕はまだ一度も乗ったことがない。

何かと「制約」があってケチくさい

   ところが、安い代わりに何かと「制約」があり、僕に言わせれば、これらが実にケチくさい。まずは、割引をまったく使えない期間がある。2019年度だと、4月27日から5月6日までの10連休のほか、8月11日から20日まで、12月28日から1月6日までの、いわゆる繁忙期が割引にならない。

   また、東海道・山陽新幹線では「のぞみ」、山陽・九州新幹線では「みずほ」が今、もっとも速い列車だが、ジパング倶楽部ではこれらの特急券は割引の対象になっていない。これが大変に不便である。

   JRのほかのサービスもそうだ。ちょうど春休みにかかってきて、「東京ディズニーリゾート往復きっぷ」を使う若者が増えそうだが、この割引サービスもゴールデンウィーク(GW)やお盆、年末年始は使えない。春休みは使えるが、今年のGWは10連休だから、ディズニーランドで遊ぼうという若者もいるだろうに、残念だ。

   一方、よく話題になるのでご存じの方もいるだろうが、「青春18きっぷ」は若者だけでなく、シルバー世代でも利用できる。こちらはまったくケチくさいことはないのだが、ネーミングとサービス内容の不一致で、どこか中途半端である。

   さらにはJRグループ6社によって、使えるサービスと使えないサービスが異なるなど、せっかくの割引サービスなのに、まるで本当は使ってほしくないのではなかと勘ぐってしまうような中途半端なサービスは少なくない。

東京―新大阪、いまや「ひかり」は1時間に2本

   話を戻すと、JRの「ジバング倶楽部」は旧国鉄の時代の、「のぞみ」が登場する前からあるサービスだ。だから、「のぞみ」の特急券が割引の対象外になっていても当初は不思議でもなく、また不便さも感じなかった。

   ところが、ダイヤ改正のたびに「のぞみ」は増え、「ひかり」は減ってきた。今や「ひかり」は「のぞみ」の補完的な存在に落ちぶれてしまった。東京―新大阪では昼間、「のぞみ」は1時間当たり10本前後走っているのに、「ひかり」はわずか2本である。

   もちろん、「のぞみ」に乗っても、乗車券だけは3割引きだから、割引なしの「のぞみ」の特急券を買ってもそれ相応にお得ではある。だけど、ジパング倶楽部の事務局に劣らずケチな僕は、そんなことはしたことがない。いつも「ひかり」で我慢している。

   加えて、以前は東京から博多まで行く「ひかり」があったが、いつからか「のぞみ」だけになってしまった。割引の特急券を使おうとすれば、今は新大阪で乗り換えたりしなければならない。割引サービスが、もうダイヤの「実態」に即していないのではないか。

   JRの「制約きっぷ」はほかにもある。ジパング倶楽部の会員は200万人以上いるそうだが、中途半端なサービスのおかげで、僕と同じように、何かと不自由な思いをしている老人も少なくはないはず。もちろん、すべての年代層が不便を感じているように思うのだが。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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