2019年 11月 13日 (水)

百貨店復権!? 観光政策の強化で三越伊勢丹HDが「買える」(石井治彦)

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   百貨店業界は、バブル崩壊後のデフレと少子高齢化による、個人消費の縮小により、長期低迷を余儀なくされてきた。百貨店の売上高のピークは1991年の約12兆1000億円。それが2017年には約5兆9000億円と半分弱まで落ち込んでいるという。中国人による爆買いブームは、中国政府の規制により、すっかり影を潜めたようだ。

   厳しい経営環境にある百貨店業界が、期待しているのが政府の観光政策。三越伊勢丹ホールディングス(HD)の杉江俊彦社長は、2019年1月25日の日本経済新聞社「新春 景気討論会」で、「日本は世界で一番観光資源がある」と語気を強めた。

  • 三越伊勢丹、インバウンド需要の取り込み狙う(写真は、東京・新宿の伊勢丹本店)
    三越伊勢丹、インバウンド需要の取り込み狙う(写真は、東京・新宿の伊勢丹本店)

西欧では団体旅行に現地ガイドをつけるのがルール

   恒例の日本経済新聞社「新春 景気討論会」の後半、司会者から「人口減少や生産性の低さなどが指摘されるなか、長期にわたり成長力を維持するために必要な方策は何か」と、出席者に問題提起がなされた。

   その答えを、三越伊勢丹HDの杉江俊彦社長は、

「国内総生産(GDP)のうち、観光が生み出す割合は5%で、他の西欧先進国並みの10%に引き上げるべきだ」

   と、述べた。

   たとえば、西欧では「団体旅行」に対しては現地ガイドをつけるルールになっていることを紹介。「観光政策の強化」を語られた。

   2018年3月にスペイン旅行をした時、最初に感じたことは、海外からの観光旅行者が多いことだった。どこの観光地に行っても、旅行者であふれていた。その状況を見て、スペインでは、観光ビジネスが国の重要な収入源であることが容易に推測できた。

   西欧諸国では、スペインのように観光収入が国の財政に大きな役割を果たしている。「観光ビジネス」は、海外からの団体旅行を受け入れることで、各地に点在する文化遺産の入場料、旅行者が宿泊するホテル、レストランでの食事、飛行機、鉄道、バスやタクシーなどの交通手段、百貨店やショッピングモールでの免税店、土産物店などと業種の裾野が広く、また雇用の拡大に結びついている様子がうかがえた。

   同じことは、少子高齢化で労働力人口の減少に悩む日本でも可能だと思った。

株価は底値圏 今こそ「買い」のチャンス

   2019年1月30日付の日本経済新聞は、「羽田発着枠 拡大確実に」の見出しで、米国側の管制空域を通過することで、発着枠が現状年6万回から9万9000回に増え、2020年の東京五輪・パラリンピック前の運用開始を見込んでいると報じた。訪日客の受け入れ拡大に向けた「弾みになる」と伝えている。

   そうしたなか、百貨店業界は売り上げを大きく減らしてきたが、歯止めがかかってきたように見える。「百貨店の売上高推移」(経済産業省~経済解析室ニュース)を見ると、2010年~2016年の売上高は、6.8兆円~6.6兆円とほぼ横バイで推移している。

   百貨店は合従連衡の時代に入り、2008年に三越と伊勢丹の統合で三越伊勢丹HDが誕生。長らく続いた業績の低迷も、地方都市の不採算店の閉鎖、リストラの徹底並びに、旗艦店のリニューアルと、スクラップアンドビルトも、大きな山を超えつつあるようにみえる。

   「リストラ効果もあって、2019年3月期、さらに来期も増益が見込まれる状況になってきた」と、会社四季報最新銘柄レポート(2019年2月13号)にもある。

   海外からの団体旅行者にとって、タイトなスケジュールの中で、短いフリ―タイムを利用して目的のモノを探すには、宝飾品、時計、化粧品などのブランド品の揃った百貨店は大変便利な場所と考えられる。

   また、政府による観光政策推進が、長期的に安定した売り上げの増加に結びつく可能性は大きい。

   来夏に東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人を迎える百貨店業界の準備は着々と進んでいるようだ。大都市に店舗を構える百貨店にとっては、東京五輪は今後を占ううえで、試金石になると考えている。

   三越伊勢丹HDの株価は、過去10年の長期チャートを見ても、安値圏にある。現状、1000円前後を買い場と考えているが、長期投資を考えれば、業績改善の傾向が見られる今こそ、仕入れの好機とみている。

2019年3月5日現在   保有株数 ゼロ
年初来高値 2018/6/12    1432円00銭
年初来安値 2019/2/12    1042円00銭
直近 終値 2019/3/ 5    1106円00銭

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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