2024年 4月 26日 (金)

日本は「Uberガラパゴス」間に合うか!?東京五輪2020での快走(気になるビジネス本)

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『ウーバー革命の真実』(立入勝義 著)ディスカヴァー・トゥエンティワン

   送迎配車サービスのウーバー(Uber)は、宿泊仲介サービスのエアビーアンドビー(Airbnb)とともに、産業変革のサードウエーブ(第3の波)を担う存在といわれている。

   サービスはすでに日本に上陸しているが、民泊の普及などでエアビーアンドビーは定着した感があるのに比べ、ウーバーはいまだに本格稼働には至っていない。

   米国などでは使いやすさと便利さで、旅客輸送でまさに変革を起こしたものだが、果たして日本では「ウーバー革命」が起きる可能性はあるのだろうか――。

  • 「UBER」を使って「営業中」の自家用車。創業者のギャレット・キャンプ氏によると「UBER」は「すごいもの」を表す言葉という。
    「UBER」を使って「営業中」の自家用車。創業者のギャレット・キャンプ氏によると「UBER」は「すごいもの」を表す言葉という。
  • 「UBER」を使って「営業中」の自家用車。創業者のギャレット・キャンプ氏によると「UBER」は「すごいもの」を表す言葉という。

利用客も、運転手も手間いらず

   「配車アプリ」などとも呼ばれるウーバー(企業名は「ウーバー・テクノロジーズ」)は、移動したいときに、スマートフォンのアプリを操作して配車をリクエストするサービス。基本的なコンセプトは「ライドシェアリング(同乗)」。その中に大きく分けて「ウーバーX」と呼ばれる「報酬目的のライドシェア」と、1台のクルマで目的地が同じ方向の数人が、安い料金で相乗りする「ウーバー・プール」というサービスがある。

   一部の場合を除いて、日本の二種免許のような旅客輸送のためのライセンスが必要ない米国では、ウーバーが登場してから、これを使って「タクシー業」に参入する個人が相次いだ。それにより、既存のタクシー産業に大きな打撃を与え、倒産したり、売却されたりするタクシー会社があることが報告された。

   とはいえ、ウーバーは、とにかく便利なようだ。利用者は「ウーバー・プール」か「ウーバーX」かのサービスはもちろん、大型、高級、ベーシックなどのクラス別をリクエストし、また介護や車いすなどについての希望を添えられる。

   利用者からのリクエストを受けると、ウーバー側で付近にいる複数の運転手を探し出しマッチング。運転手のアプリにリクエストの内容が伝えられ、合わせて迎えにいくまでの距離や、リクエストした利用者の乗客としての評価が知らされる。

   運転手が応じれば、利用者をピックアップして送り届ける。運賃の支払いは、スマホアプリを通じて処理されるので、キャッシュレス。直後に運転手の銀行口座に振り込まれる仕組みになっている。

   利用者も、運転手も手間いらずというわけだ。

2020年、東京が「ウーバー特区」になるかも!?

   ウーバーは米国外でも展開をはじめ、いまでは70か国以上に広がっている。日本には6年前に上陸したが、日本の旅客輸送をめぐる規制は、米国などより厳格。自家用車を使ったライドシェアリングが、「白タク」行為とみなされるなど、米国のそれをそのまま持ち込むことはできなかった。現状は一部のタクシーやハイヤー会社とのビジネスにとどまっている。

   そんなウーバー事情に、「ウーバー革命の真実」(ディスカヴァー・トゥエンティワン) の著者、立入勝義氏は、問題は「その(産業変革のサードウエーブといわれるウーバー)力を、日本市場でも発揮できるかどうかだ」としている。

   配車や管理面で、ウーバーには「一日の長」がある。そのウーバーがプレゼンスを高める、最も近いタイミングが来年、2020年の東京五輪・パラリンピック。18年に年間3000万人を超えた外国人観光客は、さらに増大。「ウーバーが普及している国から日本を訪れる人々にとって、同じアプリと決済方法で配車を予約できるウーバーはこの上なく便利だ」と、立入氏。利用者が運転手に、不慣れな言葉で行先を告げる必要もないから、お互いにストレスレスでもある。

   じつは、ウーバーの筆頭株主のファンドは、ソフトバンクグループの孫正義会長が資本提携して運営されている。また、トヨタ自動車は18年8月、ウーバーと、自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進と市場への投入を目指して協業の拡大で合意し、5憶ドルを出資した。ソフトバンクもトヨタもウーバーの日本でのポテンシャルを評価して投資しているに違いない。

   「相手国の法律を変えてまで参入する」のが「シリコンバレー独特のやり方」と聞くと、「おもてなし」重視の日本だけに、東京あるいは首都圏が2020年、「ウーバー特区」になっている可能性がなきにしもあらずだな、と思う。

ウーバー革命の真実
立入勝義 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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