2024年 4月 26日 (金)

「育休復帰したら居場所が...... 悔しい!」女性の投稿が炎上、専門家に聞いた

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   「育休復帰したら、代わりの独身女性社員がバリバリ働いていた。居場所がなくなったようで悔しい!」――。こんな女性の投稿が話題になっている。

   「自分の復帰が待ち望まれていたと思ったのに......」という投稿者の落胆に、「甘い」「育休復帰者は職場の迷惑」という冷やかな反応が目立つ。育休から戻ったら、どういう働き方を心がけたらよいか、専門家に聞いた。

  • 育休社員を温かく迎えよう(写真はイメージ)
    育休社員を温かく迎えよう(写真はイメージ)
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「復帰を待ち望まれていると思うのがそもそも間違い」

   話題になっているのは、女性向けサイト「発言小町」(2019年4月11日付)に載った「育休復帰しましたが、もやもやしています」というタイトルの投稿だ。

「1年の育休から大好きな職場に復帰しました。出産してからは復帰に向け、毎月2~3時間ほど赤ちゃんの顔見せをしながらみなさんとお話して回り、顔つなぎもしてきました」

と、何度も職場に赤ちゃんを連れてきて「人間関係の維持」に努めるなど、大いに復帰への意欲を示していたのだった。ところが――。

「復帰してみると、独身の補充女性社員がバリバリとやっていたらしく、業績がかなり上がっていました。男性ばかりの職場ですが、同僚たちとも私以上に仲が良さそうです。しかも彼女は、時間制約がないので激務をこなしています。私は時短で休日出勤もできません。私だって制約がなければ...と悔しいです。居場所がなくなったようで辛いです。私の復帰は待ち望まれていると思っていたのが、虚しいです」

   この投稿に対して、「育休明けは待ち望まれていない」「甘すぎる」「仕方ないのでは」という厳しい反応が全体の8割近くあった。

「だったら子供の預け先を考えて、残業でも休日出勤でもやって昔みたいにバリバリ働けば! それが無理なのに彼女に嫉妬するなんて。時短で優遇してもらっているのだから、周りに感謝して自分の出来る範囲でやることです」
「実際、戦力としては以前より落ちているのだから仕方がない。これから子どもが体調を崩して休んだりする事が増えるのだから、割りきった方がいいです。子供も持って、キャリアも!なんて虫が良すぎます」
「復帰を待ち望まれていると思ったことが、そもそも間違い。職場の皆さんが優しいだけ。子どものためにすぐ帰る人に誰が期待しますか」
「私は育休から復帰した時、極力子どもいる感を出さないようにしました。もちろん、堂々と産み育てられる社会は理想ですが、好意だけに包まれて仕事をしていくなんてことは、子持ちの母にとってはあり得ないことです」

「その悔しい気持ちを大事にして頑張れ~!」

   また、投稿者が「顔つなぎ」のために、毎月赤ちゃんを職場に連れてきたことにも猛反発の声が――。

「毎月2~3時間もの赤ちゃんの顔見せは迷惑ですよ。仕事の邪魔になるとは思わなかったのですか。職場の皆さん、よく嫌な顔しなかったね」
「赤ちゃんの顔見せは逆効果だった。特に男性にはマイナス。今後は子供のことで頻繁に職場を抜ける事もある。『あー、またかー』とウンザリされないよう、子育てに奮闘するママのイメージは出さないよう注意」

   一方で、「その悔しい気持ちを大事にして頑張れ」という応援エールも少なくなかった。

「居場所は作るもの。以前とはステージが違うのだから、自分なりの目的を探すことです。真面目に働くこと。ワーキングマザーの社内モデルケースになるのですよ。頑張れ~!」
「今の虚しさ、悔しさを忘れないで! 子供が大きくなればバリバリ働けます。実力には自信があるようなので、管理職になる道もある。そして、今のあなたのように育休産休をとって時短で復帰してきた部下をしっかり支えてあげてください」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、「育休復帰後のもやもや論争」の意見を求めた。

「お互い様の気持ちと人としての優しさが大切」

   ――投稿者に対し、「甘い、育休明けは待ち望まれていない」という厳しい意見が多くありました。まるで、「職場の大迷惑」のような言われ方です。

川上敬太郎さん「非常に残念なことですが、そういう声が多いのは事実です。かつて政府が育休取得期間を2年まで延長することを検討していた際に、『育休期間延長についてどう思う?』と働く女性の意識を調査したことがあります。その際、賛成が54.4%と過半数でしたが、反対と答えた13.1%の中にはこんな強い拒否の意見がありました。

   『子供を産むからと1年育休とり、戻ってきたら1年もしないうちにまた育休を1年とった人がいて、私はそのフォローで苦労した』『育休の間必ず誰かに迷惑がかかっている』『そんなに休むなら退職すべき』などです。同僚が育休を取ったために業務のしわ寄せが来て、大変な思いをした人は、特に強くそう感じてしまうかもしれません。

   ただ、言葉がいき過ぎると育休取得に対して委縮する雰囲気が生まれてしまいます。社員同士が厳しい言葉を投げあったりする空気を社内に生じさせないような業務体制づくりに、会社側が取り組む必要があると考えます」

   ――投稿者が、育休中の顔つなぎのために、毎月2~3時間職場に赤ちゃんを連れてきたことも非難されています。

川上さん「2~3時間といっても、一か所ではなく色んな部署を回ったトータルだと思います。受け取り方は人それぞれでしょうが、私個人としては、育休中の社員が気軽に会社に立ち寄れる雰囲気は素敵だと思います。ぜひそういう職場が増えてほしい。しかし、会社全体で考えると、2~3時間分が仕事以外に使われたことになります。会社が育休社員の訪問を奨励している場合は別ですが、投稿者も気を使うことが肝要かと考えます」

   ――その一方で、2割ほどですが、「今の悔しさを忘れずに頑張って!」というエールの声がありました。

川上さん「いま男性の育休取得を100%にしようとする運動があります。男女問わず、育休取得は誰にでも起こりうる時代になりつつあります。育休でなくとも、介護や自分自身の病気などでしばらく職場を離れざるを得なくなることもあります。寄せられたエールには、お互い様の気持ちや、人としての優しさ、思いやりを感じて、心温まる思いがしました」

「時短でもフルタイムより成果を出す人がいる」

   ――育休から戻ったときの働き方や、育休社員を迎える上司、同僚が心がけるべきことは何でしょうか。

川上さん「仕事で最も大切なのは、成果を出すことです。勤務時間の長さに焦点を当てすぎると、肝心な成果に対する意識が薄らいでしまいます。時短の人でもフルタイムの人以上の成果を出す人はいます。会社としても、高い成果を出す社員なら、勤務の長短にかかわらず仕事を任せようと考えます。自分がどんな成果を出せて、何を期待されているのかを冷静に見極めること。その上で、自分という人材をプロデュースする力が問われています。

   勤務時間ではなく成果で判断する観点は、同僚や上司にとっても大切です。『時短だから迷惑をかけるに違いない』『大した仕事はできないはずだ』といった色眼鏡で見ないよう注意しましょう。特に上司は、時短の部下がいつまでにどんな成果を上げればよいのかを具体的に伝え、周囲も認める成果を出せるように適切にサポートする必要があると考えます」

(福田和郎)

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