2024年 4月 18日 (木)

【寄稿 令和の時代へ】元号は商標登録できない!? ネーミングは「千三つ」の難しさ(前編)

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安易に「令和」にあやかるようだと後が色あせる

   「かもメール」や「ゆうメール」、後楽園の「ビッグエッグ」など、今では親しまれているネーミングを多数手がけてきた創造開発研究所の高橋誠所長は、

「ネーミングを簡単に作ろうとしている企業が多いが、そう簡単にできるものではない。安易に作ると必ず反対意見が出るものだ。であるから各方面、各視点から考え尽くす必要がある。最低でも数百の案を出し、そこから詰めていく作業がある。ビッグエッグの場合も1000近い案から収束されたものだ。だから、元号が変わったからといって、あやかるように平成名を付けても浅慮であることが露見する。十分に差別化、識別化を計る努力を期待する」

と語る。

   たとえば「SONY」であるが、前身の東京通信工業から改名した時は、株主はじめ多くの人たちから反対があったそうだ。

   元号でも同じで、事前に漏れると叩かれる可能性がある。まず、ブランド価値を十分に上げる。つまり、商品力、品質、事業性、社会貢献度などを強化し、その時代をけん引するという誇りを持ち、かつ元号を付けたブランド名候補を数百出したうえで収束した言葉を選び、高い理念に基づいた識別力を加味して商標登録に挑むという姿勢が望まれる。

   その留意点は、元号にあやかるのではなく、元号と業種の相乗効果を留意することである。たとえば「帝京平成大学」の場合、前身は帝京技術科学大学であった。昭和の高度成長時代が技術優先時代であったのに対し、平成は多様化された価値の実践時代であると察知し、建学の精神である「実学の精神」との相乗効果を意図して「帝京平成大学」に改名したのである。

   この大学が「平成」をけん引するがごとき使命感が、商標登録時には現れていたのではないかと考える。このように元号によって自社が引き立つのではなく、自社が元号を引き立てるという相乗効果を意識して、識別力を引き出し、元号名の商標規制に挑んではいかがかと思う。(田村新吾)


プロフィール

田村 新吾(たむら・しんご)

(株)ワンダーワークス代表取締役、日本創造学会理事長
早稲田大学理工学部卒業後、ソニーに入社、音響機器開発、CD--ROM開発、二足歩行ロボット開発に従事。パソコン系事業部長、社内横断型企画マンの育成。その後、北海道大学、慶應義塾大学、早稲田大学の講師、企業顧問約30社を歴任。
著書に「二宮尊徳と創造経営」(カナリヤコミュニケーションズ)、「実践的MOTのススメ」(慶應義塾大学出版会)がある。

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