2019年 11月 18日 (月)

「終身雇用」の終焉に企業はすでに動いている そのとき、個人はどうすればいい?(城繁幸)

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新卒一括採用や初任給はすでに見直しが始まっている

   また、終身雇用を見直すのであれば、新卒一括採用や横並びの処遇も見直さないと、まともな人材が採れなくなるのでは? という質問もいくつかあった。

   この点については、すでに昨年(2018年)の経団連による「就活ルール廃止宣言」以降、新卒一括採用見直しの動きは顕在化している。インターンによる優秀な人材の早期採用は各社でスタートしつつあり、新卒採用は二極化しつつある状況だ。

   いずれ新卒採用は担当職務を明確にしたジョブ型が中心となり、その動きは組織全体に拡大するだろう。

   【参考リンク】仕事は3年1本勝負に ジョブ型採用が変える就業観(日本経済新聞電子版2019年5月13日付 キャリアコラム)

滅私奉公は一部の人に押し付けられる

   「終身雇用を辞めるのであれば、それを前提とした転勤や長時間残業といった不利益もなくすべきではないか?」との声も多かった。

   筆者自身、そうあるべきだと思う。忙しくなったら素直に人を雇い、田舎で欠員が出れば地元で採用するのが自然だろう。

   だが、解雇規制を緩和して文字どおり「終身雇用を全廃」しない以上、その枠組みは残り続け、それを支えるために誰かが残業し、転勤を受け入れねばならない。

   というわけで、そうした不利益は「転職できず、会社に『NO』と言えない弱い人間」に押し付けられることになる。

   イメージとしては、「終身雇用見直し宣言」のニュース記事に、真っ昼間からアンチコメントを連投しているような暇な中高年社員を思い浮かべるといいだろう。

愛社精神はむしろ高まる

   「終身雇用を辞めれば、日本が世界に誇る愛社精神が損なわれる!」と危惧する声も2、3あった。

   これはそもそも前提条件が間違いで、実際は「日本人の愛社精神=仕事へのコミットメントは世界で稀に見る低さ」である。

   【参考リンク】「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査(日本経済新聞2017年5月26日付)

   こうなってしまう理由はシンプルで、多くの人が会社から与えられた仕事と自分のやりたい仕事の間にミスマッチが存在するためだ。

   最低でも部長以上にまで出世していれば「今の仕事は最高だ。生まれ変わってもまたこの会社で働きたい」と思えるようになるかもしれない。でも、そうではない大多数の人にとっては、目の前の仕事は会社から押し付けられたものにすぎず、処遇も含めもっと他に希望の職が存在するに違いない。

   そういう意味では、終身雇用を辞めて、各人がより自分に相応しい職探しを始めることは、長い目で見れば、むしろ日本人の愛社精神の底上げにつながるだろう。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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