2019年 10月 19日 (土)

「同一労働同一賃金」Q&A...... ガイドラインに説明のない点も解説(気になるビジネス本)

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   「働き方改革」の段階的着手が2019年4月から始まった。来年4月からは「大企業」を対象に、同じ仕事をしながら雇用形態の違いで生じる格差の解消を目指す「同一労働同一賃金」が適用される。

   本書「ガイドライン・判例から読み解く 同一労働同一賃金 Q&A」(経団連出版)は、この改革についての解説書。著者は労使関係に詳しい弁護士だ。分かりにくいと指摘される法律や「ガイドライン」では説明されていない点についても、関連の判例を集めて立体的に説明している。

「ガイドライン・判例から読み解く 同一労働同一賃金 Q&A」(高仲幸雄著)経団連出版
  • 来年の「働き方改革」は「同一労働同一賃金
    来年の「働き方改革」は「同一労働同一賃金

判例を追っても判然としない部分も

   2018年6月に成立した「働き方改革関連法」により、非正規社員の均衡待遇・均等待遇に関する法改正が行われ「同一労働同一賃金」の原則が適用されることになった。「中小企業」については21年4月から。

   政府は法案成立後の18年12月、「同一労働同一賃金ガイドライン」を公布。ガイドラインの正式名称は「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」で、各企業はこれに応じて、非正規社員の待遇見直しのほか、待遇差についての説明義務を果たすための準備をしなければならない。

   本書は「Q&A編」と「資料編」の2部構成。「Q&A編」では、相談に答える格好で「同一労働同一賃金」の主要なポイントをQ&A形式で、判例などの関連情報をまじえ網羅的に解説。「資料編」では、関係する法律の改正前と改正後の対照のほか、関連する規則、判例・裁判例が紹介されている。

   Q&Aを読み進めると、ガイドラインには企業が知りたくてもその答えが用意されていないケースが少なからずあることが分かる。たとえば「配偶者手当や扶養手当のような家族手当」について「待遇差を検討する場合、どのような点に注意すべきか」という質問が想定されているのだが、それに対する答えは「ガイドラインには説明がありません」。

   著者の回答はそれで終わるわけではなく、関連する判例をいくつか紹介。最新の最高裁の判例(18年6月1日)は「待遇差にも相応の理由がある」としたが、それ以前の別の事例の裁判では家族手当の待遇差は均衡違反と判断するなど一貫していない。つまり「最高裁による統一的な判断が出るまでは注視が必要な状況」というのが現状だ。

まだまだ肉付けが必要

   「同一労働同一賃金」に関連した最高裁の判例は少なく、本書に集められている裁判例は地裁・高裁のものが多い。家族手当の例のように、同じような問題でも判決が振れていることもあり、なかには、著者が疑問を提示する判決もある。ガイドラインでは、家族手当以外にも退職手当や住宅手当などで検討がされておらず、この分野での「働き方改革」はまだまだ肉付けが必要なようだ。

   非正規従業員の割合は、総務省の労働力調査によれば、37.3%(2017年)。本書は主に、企業の人事労務担当者向けだが、「同一労働同一賃金」の対象である非正規の労働者にとっても、20年以降に変わる待遇の予想をアシストしてくれそうだ。

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「ガイドライン・判例から読み解く 同一労働同一賃金 Q&A」
高仲幸雄著
経団連出版
税別2000円

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