2019年 11月 15日 (金)

考えることは「筋トレ」と同じ! Deep Thinkを脳の関係性を読み解く

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   「脳は、人間が人間らしく生きるための根幹をなす『心』の基盤である。そのため、脳はいつの時代においても人間の科学的興味の大きな対象となってきた。脳科学は、認知、行動、記憶、思考、情動、意志など、人間の心の働きを生み出す脳の構造と機能を明らかにすることを通して、真に人間を理解するための科学的基盤を与えるものである」

   文部科学省は、「脳科学研究の科学的意義」の中でも、こう記している。

   では、「Deep Thinkと脳の働き」においては、どのような関係性があるのか――。今回は、脳神経科学者の青砥瑞人(あおと・みずと)さんに、脳神経科学の観点からDeep Thinkについて、聞いた。

  • 青砥瑞人さんは「脳の働きを理解しながらDeep Thinkすることが大事」と話す
    青砥瑞人さんは「脳の働きを理解しながらDeep Thinkすることが大事」と話す

アイデアを「熟成」する時間が必要だった

―― Deep Thinkと脳の働きには、どのような関係があるのでしょうか?

青砥瑞人さん「『Deep Thinnk =深く考える』という行為は、脳の観点からいうといかに使っている神経回路のactivation濃度を高めるかということです。最近では、『創造性の神経科学』という分野が研究されはじめているのですが、脳が創造性を発揮することの条件としては、『深く使われた神経回路をどれだけ持っているか』が結びつきの発想と原理において重要と言われています。
  では、どのようにすれば『深く使われた神経回路』を持てるようになるのでしょう。
  それは『筋トレ』と同じように、何度もその神経回路を使っていく必要があります。筋トレは、筋肉に負荷をかけて、乳酸が溜まった状態を経て筋肉がついていきます。脳の神経回路もそれと同じで、『アイデアが煮詰まんない』『アイデアが出ていこない』、そんな『熟成期』を経て、神経細胞同士が結びつき、新たな発想に結びついていくんです。
  このように脳の働きを理解しながらDeep Thinkすることが大事なのではないかと思います」

―― よりよいアイデア、発想を生み出すためには、どのようなことが必要だと考えますか?

青砥さん「自分の内側の情報に目を向けるということだと思います。脳神経科学的な話をすると、脳の中には三つのモードがあると言われています。特定の対象に意識を払わない、ぼうっとした状態の脳の回路、つまり無意識下の状態の神経活動『default mode network』。それに対して、積極的に思考を駆使する、意識的な注意を向けている状態および脳回路『central executive network』。そして、最近研究が進み注目されているのが、これら二つの状態をスイッチングしハブ的な役割を果たす『salience network』です。
  『salience network』は、カラダの内側の情報をモニタリングし、内部変化に気づくための脳のモードなのですが、この気づきによって『central executive』のような意識的な思考を可能にしたり、『default mode network』のような無意識的な思考を誘導していると、いわれています。
  世の中が便利になると人間の注意は、より外の世界に向いて広がっていきますが、じつは大事な情報は、自分の内側にこそたくさん眠っています。
  最近、瞑想やDeep Thinkが注目されているのもそのためだと思っており、自分の内側に問いかけることによって情報を得ることも大切だと考えています。
  僕がDeep Thinkしていると、確実にやって来るのが脳の中のモヤモヤ感です。しかし、『わぁ、行き詰まった』という時、そのモヤモヤ感に気づけているということは、自身の内側に目を向けられている証拠であり、そのモヤモヤ感の先に新たな閃きやアイデアが眠っているはずと思い込み、考えるようにしています」

「発想のタネ」は自らの内側にある

「Deep Thinkをする時はふだんとは違う場所に行く」という青砥瑞人さん
「Deep Thinkをする時はふだんとは違う場所に行く」という青砥瑞人さん

―― 青砥さんが、Deep Thinkするのはどのような時ですか?

青砥瑞人さん「僕は、新しいアイデアを考える時は必ずDeep Thinkするようにしています。
  新しいアイデアを生み出そうとしている瞬間の脳は、自分の外側の情報よりも自分の内側の情報に目を向けていることが多いんです。したがって、自分の内側の情報をどれだけ処理しているかどうかが、『発想のタネ』になってくるといった時に、自分の内側の情報処理はまさにDeep Thinkして自分の内側を深く見ないと辿り着けないところにあるなと感じています。
  そのため、アイデアを創出するという場面では、Deep Thinkすることが一番多いのかなと思います」

―― Deep Thinkは、どのような場所で行うのですか? 「さあ、Deep Thinkするぞ」といったスイッチを入れるタイミングがあるのでしょうか。

青砥さん「僕は、Deep Thinkをする時はふだんとは違う場所に行くことを心がけていて、その中でもサウナに行くことが多いですね。人間の脳の中には場所に紐づく記憶をしている場所があり、何回も同じ場所で同じことを考えていると、その場所によって思考が誘導されてしまう可能性があります。これを外させるために、ふだんと違うところでDeep Thinkするようにしています。
  また、サウナは基本的にリラックスモードに誘導してくれますが、リラックスモードでDeep Thinkすると、default mode的な思考ができます。default modeではふだんあまり使えない脳の場所が自動的に今までの情報を探ってくれ、その中で『新たな結びつき=閃き』が生まれることが多いので、サウナでDeep Thinkしています。実際、いくつか特許をいただいているのですがそれらはすべてサウナで閃いたものなんですよ」

(聞き手:井上一鷹)


プロフィール
青砥瑞人(あおと・みずと)
脳神経科学者
日本の高校を中退。米国大学UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の脳神経科学学部を飛び級卒業。脳の知見を、医学だけでなく人の成長とハピネスに応用し、かつAIの技術も活用する、NeuroEdTech??とNeuroHRTech??という分野を開拓。同分野において、幾つもの特許を取得する脳神経発明家。
◆インタビュー動画はこちら

井上一鷹
井上 一鷹(いのうえ・かずたか) JINS MEME事業部 事業統括リーダー/Think Labプロジェクト兼任

慶應義塾大学理工学部を卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルに入社。大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事した。
2012年に株式会社ジンズ入社。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て、現職。集中を計測するデバイス「JINS MEME」のデータをもとに、2017年に「進化し続ける」ワークスペース「Think Lab」のプロジェクトを立ち上げ、一人で深く考える「Deep Think」のための環境、働き方を開発した。
主な著書に「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」(日本能率協会マネジメントセンター刊)ある。
Think Lab:https://thinklab.jins.com/jp/ja/
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