2020年 3月 29日 (日)

【日韓経済戦争】「米国大使の首をはねろ!」トンデモ反米パフォーマンスの陰に文在寅大統領? 韓国紙で読み解く

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   韓国では日本との関係悪化ばかりではなく、駐留米軍の負担金などをめぐり米国との対立も高まっている。

   そんななか、駐韓大使の首をはねるパフォーマンで抗議する集会が開かれる。その名も「ハリス米大使斬首競演大会」。なんとも幼稚かつ無礼な集会だが、韓米関係は大丈夫なのか。韓国紙で読み解くと――。

  • 「米大使斬首」パフォーマンスを伝える朝鮮日報(12月12日付)
    「米大使斬首」パフォーマンスを伝える朝鮮日報(12月12日付)

「ハリス野郎のひげを1本ずつ抜いてやろう」

   なにやら物騒だが、いったいどんな集会なのか――。朝鮮日報(2019年12月11日付)「韓国の親北団体、あす『米大使斬首競演大会』」が、こう伝えている。

「『ハリス野郎のひげを1本ずつ抜いてやろう』『割り箸でハリス野郎に拷問を加えてやる』『爪切りでハリスの口を引き裂いてやる』。(左派系団体の)国民主権連帯と青年党は12月13日午後4時からソウル市中区の米国大使館周辺で上記の内容を訴える『ハリス斬首競演大会』を開催する」

   「ハリス斬首」とは穏やかではないが、ハリス氏とは、ハリー・ハリス駐韓米国大使(63)のこと。アメリカ太平洋軍司令官も務めた元米海軍の軍人で、2018年7月に着任した。ハリス氏の人形をつくり、それに思う存分いたずらをしたあげく、最後は人形の首をはねるというのである。

   それにしても、左派系団体はなぜ、こんな過激なパフォーマンスをするのか。朝鮮日報は、こう続ける。

「主催団体は、ハリス大使が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を『従北左派』などと主張し、在韓米軍駐留費の5倍引き上げを強要するなど、まるで内政干渉を行う総督のように行動しているからなどと主張している」

   これは、今年9月にハリス大使が与野党の議員と懇談した際、「文大統領が従北左派(編集部注:北朝鮮に迎合する左翼グループ)に囲まれているという報道があるが、どう思うか」と話したことを指す。この報道が伝わると、韓国の左派系の世論は激高した。駐在大使がその国の大統領をあからさまに批判することは珍しいからである。

   また、ハリス大使は11月下旬、駐韓米軍の防衛費分担金をめぐる米国と韓国側の交渉の際も5倍増を迫る米国側に立ち、韓国国会議員に対して、「防衛費分担金を50億ドルに増額すべきだ」という発言を20回も繰り返した。

   「本来、駐韓大使は韓国側の言い分を本国に伝える立場でもあるのに、傲慢無礼だ。外交官ではない」と与党・共に民主党の怒りを買った。「まるで、植民地の総督のように内政干渉をしている」というわけだ。

トランプ大統領が来た時も「死刑台」が登場

   ところで、主催する国民主権連帯と青年党は、ともに北朝鮮を礼賛する「親北団体」として知られている。両団体は昨年(2018年)「白頭称賛委員会」などを結成し、「金正恩(キム・ジョンウン)ソウル訪問歓迎行事」を企画した。「白頭」とは北朝鮮の聖地・白頭山のことだ。

   じつは、こうした親北団体が「斬首刑」パフォーマンスを行うのは、今回が初めてではない。主催団体の一つ、国民主権連帯は2017年9月にもトランプ米大統領が初めて韓国を訪れる直前、米国大使館前で「トランプ斬首競演大会」を開いたのだった。朝鮮半島に関するトランプ大統領の放言に抗議するため、というのが理由だ。トランプ大統領の肖像画に向かってBB弾用ピストルを撃つ「トランプ死刑台」も登場。最後に参加者は、爆竹でトランプ大統領の肖像画に火をつけた。

   朝鮮日報(2019年12月12日付)「警察『米大使斬首刑など過激パフォーマンスやめよ』、親北団体に集会制限を通告」によると、

「国民主権連帯はフェイスブックで、12月13日に米国大使館前で『ハリス斬首競演大会』を開催すると予告していた。そして、フェイスブックで『ハリス斬首アイデア』を募集した上、反応が良かったアイデアは競演大会で実行に移すと明らかにしていた」

というのだ。

   これに対してソウル鍾路警察署は12月12日、集会中の過激なパフォーマンスや脅迫めいた発言などを控えるよう主催団体に集会制限措置を通告した。興奮した群衆が大使館に乱入しないよう抑え込む構えだ。

文政権では問題を起こしても処罰される心配はない

   ただ、やっかいなのは、今回の集会のバックに文大統領の側近たちがいるとみられることだ。

   朝鮮日報(2019年12月12日付)は、

「これら抗議行動の背後には与党・共に民主党関係者による直接・間接の介入があるとの指摘もある。ムン・ジョンイン大統領府統一外交安保特別補佐官は、今年9月に行った講演で『米国大使館前でデモを行う市民の行動だけが、(米国の態度を)変えることができる』と主張した。共に民主党のイ・ジェジョン・スポークスマンは記者団に、ハリス大使について『あれほど無礼な人間は初めて見た』などと非難した。また、大統領直属政策企画委員会のチェ・ミンヒ委員は、米大使公邸侵入事件などを起こした新北団体のメンバーと12月4日に会合を行ったばかりだ」

と報じている。

   そして、朝鮮日報はこう結んでいる。

「韓国の情報当局の関係者は『親北・反米団体の会員たちは、今の文政権では(問題を起こしても)処罰される心配はないと認識している』と指摘した」

   何か問題が起こった場合、韓米同盟は大丈夫なのだろうか――。

(福田和郎)

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