2020年 4月 8日 (水)

【どこゆく子育て】「しつけ」と「体罰」の境界線、判然とせず 本当に議論は出尽くしたのか!?(鷲尾香一)

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   2020年4月から児童福祉法等改正法が施行され、子どもの「しつけ」に体罰が禁止される。

   親のしつけでの体罰の禁止が決定すると、SNS上やテレビのワイドショーなどでは、

「しつけと体罰の線引きはどこにあるのか」
「しつけは体罰にはならない」
「しつけにとって、ある程度の体罰は必要ではないか」

など、さまざまな意見が出され、白熱した議論が行われている。

  • 子どもの「しつけ」と「体罰」の境界線はどこだ!?
    子どもの「しつけ」と「体罰」の境界線はどこだ!?

あれもこれも体罰なのに、「親は子どものモデルになる」とは?

   厚生労働省は2019年12月3日、「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」を開催し、「体罰等によらない子育てのために(素案)」を公表した。そこには、しつけであっても、体罰に該当するものが例示され、また子どもに対する「虐待の定義」が列挙されている。

   素案の中では、「体罰」について、「たとえしつけのためだと親が思っても、身体に何らかの苦痛または不快感を引き起こす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止される」と定義されている。

   そして、「しつけ」とは、「子どもの人格や才能等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすること等の目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為」としている。

   また、体罰の具体例として、「頬を叩く」「長時間正座させる」「罰としてお尻を叩く」「ご飯を与えない」などを挙げ、怒鳴りつけたり、子どもの心を傷つける暴言等も、子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があり、子どもをけなしたり、辱めたり、笑いものにするような言動は、子どもの心を傷つける行為で子どもの権利を侵害する」と指摘している。

   さらに、虐待の具体的な例として、「身体的虐待」「性的虐待」「子どもの健康・安全への配慮を怠っているなどのネグレクト」「心理的虐待」を取り上げている。

   そのうえで、「保護者の行動は子どもにとってのモデルになる」とし、「親が子どもを叩いたり怒鳴ったりすると、子どもは他人に対して同じようなことをしてしまうかもしれない」と指摘し、「悪いことを、身をもって覚えさせる」という行為は、子どもが暴力を学ぶきっかけになるとしている。

   さらに、体罰により子どもが親に恐怖等を持つと、信頼関係を築きにくくなり、子どもがSOSを伝えられなくなる。それが、いじめや非行などより大きな問題に発展してしまう可能性があると指摘している。

叩かれた人の痛み、子どもにどう伝える?

   さて、いかがであろうか。さまざまな反論があるのではないだろうか。たとえば50歳代の女性は、「悪いことを、身をもって覚えさせる」という行為は、子どもが暴力を学ぶきっかけになるとしているが、

「叩かれた人の痛みを言葉で伝えるのは難しい。幼児に対して、叩いてはいけないという言葉だけでわからせることはできない。軽く手の甲をツネルといった行為は体罰ではなく、必要なしつけではないか」

とSNS上で反論している。

   確かに、「悪いことを、身をもって覚えさせる」という行為が、一概に子どもが暴力を学ぶきっかけになるとは言えないだろう。しつけには、親の考え方が強く反映される。また、地域性や民族性といったものの反映されているだろう。

   もちろん、「しつけ」の名の下に行われる「体罰」は決して許されるものではない。だが、親の考え方や家庭における教育方針といった点にも配慮が必要なのではないだろうか。「しつけ」について、すべての親を一つの考え方で統一するのはかなり無理があるような気がする。

   この「しつけ」と「体罰」の問題は、もっと多くの、さまざまな意見を交わして考え方を深めていく必要があるのではないだろうか。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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