2020年 4月 9日 (木)

「こどもホスピス」の社会的意義 すべての命には生きる権利がある!

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   家族のように、友のように、病児に寄り添い、最期まで支える。日本ではまだ少ない「こどもホスピス」の設立のために活動する著者が、わが子を亡くした自分や患者会遺族の体験を踏まえ、「こどもホスピス」とは何か、その必要性とともに語ります。

「こどもホスピス―限りある小さな命が輝く場所」(田川尚登著)新泉社
  • 障害者とともに生きる社会の実現は……(写真はイメージ)
    障害者とともに生きる社会の実現は……(写真はイメージ)

デリカシーのない主張が蔓延する日本

   最近、「生産性」という尺度で人の価値を測る風潮が強くなっています。とくに障害者を「お荷物」とみなす主張を目にすることもあります。先日も、あるニュースサイトで「ダウン症は幸せか否か」という投稿が話題になりました。

「ダウン症や障害者は生きてる価値はあるんでしょうか?」
「私たちが税金を支払って、障害者を助けなければならないのですか?」

   このようなデリカシーのない主張する人が増えています。

   しかし、

「障害者は不幸ではない」
「誰にでも幸せに生きる権利がある」

という説明をするのも簡単ではありません。

   2015年、ハフィントンポストに掲載されたダウン症の娘をもつ、キャロライン氏のメッセージに注目が集まりました。

「これが私の娘、ルイーズです。娘は生後4か月で、2本の腕、2本の足、2つの素晴らしいふっくらした頬、そして1つの余分な染色体があります」

   キャロライン氏は「ダウン症」を可哀想だと決めつけることで、多くの親が苦しんでいると訴えます。

   「障害」とはいったい何なのでしょうか――。アカデミックでは、インペアメント(個人の障がい)とディスアビリティー(社会の障がい)について、系譜や概念から区別しています。

   米国と英国では研究が盛んですが、米国では「社会の偏見」「健康な者を中心とした価値観」、英国では「社会制度上の障害者差別や排除システム」などが該当します。

   障害を「個人の属性」ではなく「社会の障害」として捉えることは、日本で話題になる「障害」を「障がい」と表記することの議論にも似ています。

   しかし、障害の問題とは、「障害」を「障がい」に変えれば解決するような問題ではなく、このようなことが議論になること自体が「社会的障害」であるといえるわけです。障害者が、障害のない人と同じように生活するには、周囲の人が障害を正しく理解することが大切です。

障害者政策は喫緊の課題である

   1972年に米ペンシルバニア州裁判所は「Pennsylvania Association for Retarded Children」を宣言しています。これは、差別的な教育に対する是正を求めたもので、教育のダンピングを招く危険性があることへの警告になります。

   内閣府の「2017(平成29)年度 障害者白書」によると、身体障害者は392万2000人、知的障害者は74万1000人、精神障害者は392万4000人とされています。国民の6%が何らかの障害を有するとも言われるなか、障害者政策は私たちにとって喫緊の課題です。

   なお、筆者は表記について「障害者」を使用しており、「障がい者」は使用しません。過去には、多くの障害者が権利を侵害されてきた歴史が存在します。それらの歴史について、言葉を平仮名にすることで本質がわかりにくくなる危険性があるため、「障がい者」を使用していません。

   障害者や家族は世の中の偏見に苦しんでいます。偏見をなくすには、啓蒙と理解を深めなければなりません。本書は、命の尊さを学ぶことができる秀逸な一冊です。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員。
代議士秘書、大手コンサルティングファームで、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事。IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/故・橋本龍太郎元首相夫人)を運営。NHK、民放各社のテレビ出演、協力、経済誌などの掲載多数。著書は多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。
経営学修士、経済学修士。東京都出身。
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