2020年 4月 5日 (日)

イメージアップは大成功!? 「進次郎大臣の育休」に海外メディアが好感のワケ(井津川倫子)

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   いやはや、驚きました。小泉進次郎環境相(38)が第1子誕生後に「育児休暇」を取得するというニュースに、海外メディアが一斉に飛びついたのです!

   まるで、世界の注目を集めた日産自動車のカルロス・ゴーン前会長のお株を奪うような進次郎大臣の露出ぶり。しかも、日本では炎上ぎみのこの話題、今のところ海外では好意的に受けとめられているようです。

   なぜ、「進次郎大臣の育休」が、海外でトップニュースになるのでしょうか? その理由を探ってみると「意外な事実」が見えてきました。

  • 進次郎大臣の育休に世界は……(写真は、小泉進次郎大臣 2017年撮影)
    進次郎大臣の育休に世界は……(写真は、小泉進次郎大臣 2017年撮影)

スター大臣の歴史を変える育休

   世界の注目を集めたカルロス・ゴーン氏から「主役」の座を奪うように、一夜明けると進次郎大臣が海外メディアの話題をさらっていました!

   欧米メディアはもちろん、アジアや中東のメディアも「進次郎大臣の育休」に大注目です!

   なぜ進次郎大臣の、なかばプライベートな話題がここまで大きなニュースになるのでしょう? 先日、マドリードで開催されたCOP25(気候変動枠組条約第25回締約国会議)では、進次郎大臣の言動がまったく関心を集めなかっただけに、その格差に驚きますが、海外報道の見出しをみると、その理由が伝わってきます。

Japan minister's paternity leave challenges work pressure
(日本の大臣の育休が、職場のプレッシャーに異議を唱える:英国BBC)
paternity leave:父親の育児休業
challenge:挑戦する、異議を唱える

Japan minister Shinjiro Koizumi to take paternity leave, aims to be role model for working dad
(日本の小泉進次郎大臣が、働く父親のロールモデルになることを目指して育休を取る:シンガポールのThe Straits Times)
aims to:~を目指して
role model:ロールモデル

Japan cabinet star set to make history with paternity leave
(日本政府のスターが、育休で歴史を変えようとしている:Bloomberg通信社)
make history with :~で歴史を変える、歴史を作る

   どの報道も、進次郎大臣が日本の現職大臣として初めて育休を取ることを紹介し、「国民的人気を誇る小泉純一郎元首相の次男」であり、「若者を中心に影響力がある」進次郎大臣が育休を取ることが、ワーカホリックな日本人の働き方に影響を与えるだろうと報じています。

   なるほど、進次郎大臣に注目しているというよりも、その影響力に期待をして「好意的」な報道になっているようです。

なんと! 日本は男性育休の先進国だった

   今回のニュースに海外の人々が驚いているのは、「日本では、現職大臣が育休を取得したことがない」という事実です。海外では現職の大臣はもちろん、首相が育休を取得したケースもありますから、日本の「異常さ」が際立って見えるのでしょう。

   実際、米ニューヨークタイムズ紙は、わざわざ見出しで「これは大変なことだ」と説明しているほどです。

A Japanese politician is taking paternity leave. It's a big deal
(日本の大臣が育休を取る。これは大事件だ!)
big deal:大変なこと、大事、重大なこと

   じつは、海外メディアが同時に報じているのは、日本の育休制度と現実とのギャップです。私も今回の報道で初めて知ったのですが、「制度上」は、日本の育休制度、特に父親の育休制度は世界でも恵まれていて、日本は「父親の育休先進国」なのだそうです。

   日本では、母親と同様に父親にも産後1年間の育休が認められています。この、父親にも同等の権利が認められている国は少ないそうで、父親の育休期間を比較したOECD(経済協力開発機構)のランキングによると、日本は他の先進国を差し置いて上位に位置しています。NYタイムズ紙が「極めて恵まれている」と評しているほどです。

On paper, Japan has exceptionally generous paternity leave laws
(書類上は、日本の父親の育休制度は例外的に恵まれている)
on paper:書面では、書類上は、理論上は
exceptionally generous:極めて寛大、極めて恵まれている

   手厚い社会保障で知られる北欧諸国よりも「寛大な制度」というのは驚きですが、この「on paper」(書類上は)がポイント!つまり、日本は制度上、世界トップクラスの父親育休制度を誇るものの、実際に取得している男性はごくわずかにすぎない。しかも、育休を取った男性が職場で嫌がらせをされるケースもある。そもそも、ワーカホリックな職場環境では男性に限らず女性も育休を取りづらい......。

   海外メディアはこういった負の側面も細かく報道していて、表面上は「男女平等」や「子育て支援」をうたっているものの、実態はまったくかけ離れているといった日本社会の二面性を強調しています。そんななか、新進気鋭の大臣・進次郎氏の育休取得が風穴を開けるのではないか、と期待を集めているのでしょう。

父親譲りのイメージ戦略は大成功

   各メディアは、進次郎大臣の育休に対する国内の手厳しい批判や、「大臣はプライベートよりも職務を優先すべきだ」というベテラン政治家のコメントなど「逆風ぶり」も紹介しています。

   「抵抗勢力」に立ち向かって日本の悪しき伝統に風穴を開ける......。まるでお父さんの小泉元首相を思わせる戦術ですが、今のところ国際社会に与えるイメージ戦略としては成功しているのではないでしょうか?

   それでは、「今週のニュースな英語」です。今回は育休に関する基本英語をご紹介しましょう。

paternity leave:男性の育児休暇
take paternity leave:育児休暇を取得する。動詞は「take」を使います。

Japan minister Shinjiro Koizumi will take paternity leave
(日本の小泉進次郎大臣が育児休暇を取る予定だ)

It will be the first time a Japanese cabinet minister has taken paternity leave.
(日本の現職大臣が育児休暇を取るのは初めてのことだ)

In Japan, men are entitled to take up to a year off work when their child is born
(日本では、男性も子どもが産まれた時に最長1年まで休暇を取得する資格がある)
be entitled to:~する資格がある
up to:~まで、最大(最長)~まで

But only 6% of fathers took paternity leave in 2018
(しかし、 2018年に育児休暇を取得した父親はたった6%だった)

   これまでの報道を見る限り、進次郎大臣について、環境大臣としての業績や取り組みに言及しているメディアはありませんでした。海外メディアが本業での業績よりも「父親」としての影響力に注目しているのだとすれば残念なこと。今回の好意的な報道に浮かれていてはダメ、ということではないでしょうか。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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