2024年 4月 19日 (金)

「伝わる説明」ができれば仕事の効率もアップ 必要なのは自分と相手の「常識」を一致させること

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   少し前まではビジネスシーンのプレゼンテーションで決め手になったのは、見た目がきれいな提案書や「最低価格」だった。ビジネスパーソンの勤務先内外での評価や評判のポイントは、お酒の付き合いや、上司にどれだけ気に入られるかが大きな割合を占めたものだ。

   グローバル化が進む中で様変わりが進み、現代でビジネスの現場に関わる人たちに最も求められるのは、優れたプレゼンスキルであり、優れたコミュニケーション能力という。

「仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方」(車塚元章著) 日本実業出版社
  • 人の数だけ「説明」の仕方はあるが、「伝わる」ものは限られる
    人の数だけ「説明」の仕方はあるが、「伝わる」ものは限られる
  • 人の数だけ「説明」の仕方はあるが、「伝わる」ものは限られる

「伝える」と「伝わる」

   ところが、本書「仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方」によると、多くのビジネスパーソンが「自らの説明する力」について、何らかの悩みを抱えているのが現状。著者の車塚元章さんは、人材育成コンサルティングなどを行う会社の代表で、企業などで論理的な思考、交渉や説得の仕方をテーマにした研修の講師を務めているが、出向いた研修の場でしばしば、そうした悩みの相談を受けるという。

「上司が納得する、簡潔で説得力のある説明ができない」
「後輩や部下に伝わる、わかりやすい説明ができない」
「自分の説明する力に自信がない」

   ......など。

   「相手にわかりやすく説明する力は、職種や役職に関係なくすべてのビジネスパーソンにとって必要」と考える車塚さんは、そのスキルをもっと広く伝えようと著作活動も行っており、本書はその中の一冊だ。著書に「会社では教えてもらえない 上に行く人の 報連相のキホン」(すばる舎)、「プレゼンできない社員はいらない」(クロスメディア・パブリッシング)など多数。

   「説明」は、ほとんどの人がふだん行っている。その本質は、伝えたいことを、相手に正しく理解してもらうこと。ところが現実の「説明」をつぶさに検討してみると、それが「単に知ってもらう」だけで終わっていて「説明」になっていないことが少なくない。本質的意味の「説明」は「相手が『わかる状態』にならないといけない」のであって、じつは「とても難しくて大変なこと」なのだ。このことを覚悟するところから成長は始まるという。

   基本のポイントの一つは、「伝える」と「伝わる」の違いを認識すること。言葉として似ているが、その内容はまるで異なる。「伝える」主体は自分だが、「伝わる」主体は相手。自分が一生懸命に伝えようとすると、その気持ちが前に立ち、回りくどくなるなど、かえってわかりづらくなることがある。相手が理解できないと説明はむだになるから「伝わる」ことを心がけねばならない。

相手の「常識」で説明する

   「伝わる説明」をするため、最初に心得ておきたいのは、なにかを説明する際、自分と相手の「常識」が一致していればスムーズに話が進むということ。たとえば「顧客」という言葉は、顧客以外にもビジネスでは「お客さま」「お客さん」「お得意先」「クライアント」などさまざまな呼び方があるが、相手が「お得意先」という言葉を使っているなら、同じ言葉を使って話をすることが大切だ。

   この相手に対して、自分のほうが「クライアント」という言葉を使って説明し始めると、相手は「クライアント? ああ、お得意先のことね」というように、自分のことばに置き換えてから理解しなければならず、そこから齟齬(そご)をきたして伝わるものも伝わらなくなってしまう可能性がある。自分の常識ではなく、相手の常識で説明することが、「伝わる説明」の第一歩だ。

   相手の常識で説明することが最も重視されるケースの一つは「顧客・取引先に納得してもらう説明」だ。いわゆる「ウケ」に気を遣うあまり、カタカナ言葉、専門用語を使いがち。「共通語」と勘違いして社内用語を使ってまったく気にしないなどという場合もある。

   「オルタナティブ投資のカテゴリーに属する今回のストラテジーは、いわばアンチテーゼとして...」などとやっては、相手は全く理解できないだろう。専門用語はだれにでも理解できる簡単な言葉に言い換えることが必要。正確な情報を伝えるためには業界用語などを使わざる得ないことがあるが、その場合は、「つまり~ということです」「言い換えると~」など、補足説明を加えることが提案されている。

   他方、顧客の取引先が普段から使っているカタカナ言葉や専門用語、相手の業界用語で説明することで、スムーズな意思疎通ができるようになることがある。たとえば、広告・放送業界のマーケティング用語で「F1層」「M1層」というのがあるが、それぞれ「20~34歳の女性」「20~34歳の男性」の意味。本書では、効果的な使い方が説明されている。

   製造業でよく使われるフレーズの一つに「ご安全に」というあいさつ言葉があり、その意味するところは「おはようございます」であり「こんにちは」であり「お疲れさまです」「お気をつけて」などさまざま。製造会社の社員に対しての業務連絡で「ご安全に、○○会社の△△です」などと始めると、相手の見方が変わり、その後の関係がスムーズに進む可能性があるという。

   本書では「顧客・取引先」のほか「上司」「後輩や部下」「会議」など、シーン別に最適な「説明の仕方」を解説。スムーズなコミュニケーションのためには非常に実用的な一冊で、ビジネスパーソン以外でも、面接を控える就活生などにも役立ちそうだ。

「仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方」
車塚元章著
日本実業出版社
税別1400円

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