2024年 4月 16日 (火)

【日韓経済戦争】また「日本車いじめ」が始まる!? ロシア向けトヨタ車の放射線基準オーバーを問題視する韓国

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   ようやく日本車の不買運動が収まりつつある韓国で、トヨタ自動車が思わぬピンチに陥っている。ロシア向けの輸出車の中に、放射線検査で基準値をオーバーした車両が1台だけ出たのだ。

   これを問題視したのが、当のロシアではなく韓国だった。さっそく韓国に輸入されるトヨタ車を集中的に検査することになった。

   トヨタ車だけにとどまらず、全日本車に波及する可能性もまったくないとはいえない。いったい日本車はどうなるのか。韓国紙で読み解くと――。

  • トヨタ車の「放射線検査」を伝える聯合ニュース(2020年1月30日付)
    トヨタ車の「放射線検査」を伝える聯合ニュース(2020年1月30日付)
  • トヨタ車の「放射線検査」を伝える聯合ニュース(2020年1月30日付)

発端はロシアメディアのほんの数行の記事だった

   ひょっとしたらすべての日本車まで影響を受けるかもしれないと、におわすのは、聯合ニュース(2020年1月30日付)「トヨタ車の放射線量検査強化へ 全ての日本車への拡大は未定=韓国」だ。

「ロシア極東ウラジオストクに輸出されたトヨタ自動車の乗用車から基準値を超える放射性物質が検出されたことを受け、韓国関税庁が同社の車両について、放射線量検査を強化する貨物品目に指定したことが分かった。韓国政府関係者が1月30日、明らかにした」

   トヨタ車から基準値を超える放射性物質が検出されたという情報の元になっているのは、ロシアメディアのスプトニクニュース(2020年1月21日付)の、次のような短い記事だ。

「ウラジオストクの税関は、日本から到着した船の船内で3年ぶりに放射能汚染車を発見したと発表した。税関職員は、トヨタプリウス・ハイブリッドからベータ線の放射線を検出した。税関によると、日本の福島第一原子力発電所事故後、2011年4月から2017年6月までに放射能汚染された875物品が見つかった。過去3年間、放射能汚染車は確認されていなかった。今回のケースは、事故の影響が完全になくなっていなかったことを物語っている。車両は日本へ返送される」

というものだ。全文5~6行のこの記事には、放射線が基準値よりどのくらいオーバーしているかなどは明らかではない。しかし、この記事が聯合ニュースで報じられるや、韓国政府は敏感に反応したのだった。

トヨタ車を集中的に検査

   韓国では、現在も東京電力福島第1原発事故の後に設けられた「国家危機管理マニュアル」に従い、韓国関税庁は通関の段階で、福島原発から半径250キロメートル以内の空港や港湾から韓国に運ばれる一般工業製品の約5%を無作為に選び、放射線量測定器で検査を行っている。

   全製品を検査すると膨大な作業量になるので、サンプルを抽出して検査する方法をとっている。それを、トヨタ車に限って集中的に検査するというのだ。

   聯合ニュース(1月30日付)はこう続ける。

「政府関係者は『ウラジオストクに入ってきたトヨタのプリウスから基準値以上の放射性物質が検出された』とする報道に接し、翌日の23日に関税庁がトヨタ車を、放射線量測定を強化する指定品目に追加したと明らかにした。これは昨年5月から国民の健康と安全のために導入された制度で、サンプルの抽出検査ではなく、集中的に精密検査を行うもの。だが、旧正月(1月25日)の連休などが重なり、指定品目として検査を受けたトヨタ車はまだない」

   この政府関係者は、聯合ニュースからすべての日本車に対して同様に検査が強化される可能性を聞かれると、「人員や設備などの問題により拡大は容易ではない」と答えたが、「今後検討が必要だ」と含みを残したのだった。

   一方の韓国トヨタは、プリウスの放射線問題や、輸入されるトヨタ車の検査が強化される問題について、聯合ニュースの取材に対して、

「承知している。現在、事実関係を確認中だ」

とコメントした。

超ド級スポーツカー「GRスープラ」で勝負に出る矢先だったトヨタ

韓国でGRスープラを登場させたトヨタ(中央日報2020年1月21日付)
韓国でGRスープラを登場させたトヨタ(中央日報2020年1月21日付)

   韓国では、日本の放射能問題について非常にナーバス、かつ攻撃的になっている。

   日本では東京五輪・パラリンピックを「被災地復興五輪」ととらえ、聖火リレーのスタートや、一部競技の会場を福島県に計画しているが、韓国では「放射能五輪だ!」と猛反発。文在寅(ムン・ジェイン)政権が、ボイコットをちらつかせたこともあったほどだ。

   トヨタ車の検査強化が今後、どんな影響を日本車に及ぼしていくのか――。

   折しもトヨタは、超ド級のスポーツカー「GRスープラ」を武器に、不買運動で落ち込んでいた韓国市場に反転攻勢をかける矢先だったのだ。中央日報(2020年1月21日付)「韓国トヨタ、スポーツカー『GRスープラ』発表......『韓国消費者満足度の強化が核心』」が、ほんの数日前にあった輝かしいお披露目の様子をこう伝える。

「韓国トヨタは1月21日、ソウルでGRスープラ公開記者発表会を開催した。GRスープラは『Supreme(注:最高の意)Fun-To-Drive』というコンセプトで開発されたトヨタの正統スポーツカーだ。韓国トヨタの武村信之社長は『真の運転の楽しさを感じることができるGRスープラとともに、スポーツドライビングの面白さを感じてもらいたい。今後、さまざまなGRラインナップに触れてもらえると思う』と話した」

   GRスープラは、近年、電気自動車や自動運転車の開発にシフトしているトヨタが、初代スープラ以来、17年ぶりに復活させた本格的なスポーツカーだ。レーシングマシンからフィードバックした直列6気筒DOHCツインスクロールターボは、最高出力340馬力・最大トルク51.0㎏-mという圧倒的な力強さを生み出す。ド派手なデザインが記者たちを圧倒した。

   しかし、記者たちからは日本車不買運動に対する質問も出た。これについて、カン・デファン韓国トヨタ常務は慎重に言葉を選びながらも、

「昨年(2019年、さまざまな外部要因で)販売が減少したが、これがすべてではないと考えています。消費者の満足度を高め、安心していただけるようにするにはどうしたらよいか悩んでいます。多くの方に選んでいただくためには消費者満足度の強化が核心です。それがGRスープラです」

と、自信を持って答えたのだったが......。

(福田和郎)

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