2020年 3月 29日 (日)

名選手で名将の野村監督 その言葉からつかむマネジメントのヒント(大関暁夫)

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   日本プロ野球の歴史をつくった名選手であり、名将であった野村克也氏が、亡くなられました。享年84歳。野村氏は、選手としては戦後初の三冠王に輝いたほか、9度の本塁打王を獲得。生涯本塁打数657本は王貞治氏に継ぐ歴代2位という輝かしい記録を残しています。何より野球が最大のエンターテイメントだった時代に育った私には、大変なヒーローでした。

   また、現役引退後は監督として9度のリーグ優勝と3度の日本一に導き、指導者としても超一流であり、氏の「ID野球」と言われるデータ重視の采配や選手指導方針および名言の数々には、企業経営にも応用可能なものが多いと常々感心させられてもいました。

   今回は追悼の意を込めて、野村監督の監督時代の名言からいくつかを取り上げて、企業マネジメントのヒントを探ってみたいと思います。

  • 数々の名勝負とともに多くの言葉を残した名将、野村克也監督が逝く……
    数々の名勝負とともに多くの言葉を残した名将、野村克也監督が逝く……

「ボヤキ」と「愚痴」の違い?

   まずは、試合終了後インタビューの名物もなった監督時代の「ボヤキ」から。ボヤキというと選手に対する不平不満を口にしているように思われがちですが、ボヤキと愚痴の違いが、そこには明確にあるのだと語っています。

「不満を表現するのは愚痴。チームを強くするための理想を掲げ、それが頓挫した時に口をついて出るのがボヤキ。つまり、理想と現実の差を認識し、それを表現するのがボヤキなんだな。愚痴とは断じて違うものだよ」

   ここで言う「理想」とは、中期的な「めざす姿」であり、これはマネジメント上絶対に必要なものであります。そして、「理想=めざす姿」と「現実」のギャップをしっかりと認識することは、正しい「戦略」を立てる上で必要不可欠なことでもあるのです。

   なぜならば、「戦略」とは「理想=めざす姿」と「現実」のギャップを埋めるための方策であると定義されるわけですから。

   まずは「理想=めざす姿」を描くこと。そして「現実」を正しく認識してそのギャップを把握すること。それが、有効な戦略を立てるための必須条件なのです。

   野村監督のボヤキは次なる正しい戦略を立てるための、「理想」と「現実」のギャップを口にしていたのだとは改めて驚かされます。ボヤくことによって何を解決すればいいのかが明確化され、次なる正しい「戦略」が立てられる。その繰り返しが、監督として弱小チームをも強くしてきた実績につながったのだと言えそうです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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