2024年 4月 27日 (土)

【襲来!新型コロナウイルス】「就活生よ、内定取り消しに負けるな!」救済企業と氷河期世代がアツいエール

   新型コロナウイルスの感染拡大で、2020年4月に入社予定だった学生が業績悪化に陥った企業から内定を取り消されるケースが相次いでいる。

   今さら就職活動を再開しようとしても後の祭り。新生活のめどが立たず、学生たちは途方にくれているが、「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもの。「うちで働きませんか」と救済の手を差し伸べる企業が増えている。

   一方、ネット上では就職氷河期で苦しんだ世代からもエールの声が。ネット上の声を拾うと――。

  • また就職氷河期が来る?(写真はイメージ)
    また就職氷河期が来る?(写真はイメージ)
  • また就職氷河期が来る?(写真はイメージ)

「ITベンチャーでよければ新卒の枠が2~3人ありますよ」

   経済産業省は2020年3月13日、内定取り消しの企業が増えているとして、経済団体などに、内定取消しを防止するためあらゆる手段を講じることと、やむを得ない事情により内定を取り消す場合には、就職先の確保に最大限努力するとともに、補償の要求には誠意を持って対応することを要請した。

   こうしたことからインターネット上では、「#コロナ内定取り消しなんかに負けない。20卒の学生に会いたい!」などのフラッグが立ち、支援の動きが広がっている。

   内定を取り消された学生を採用しようという企業や、労務問題の専門家などからエールのコメントが相次いでいる(企業名は原文まま)。

   たとえば、こんなコメントだ。

「メディアエクシードです。この土壇場で内定取り消しというまさかの事態に...... 少しでもお役に立てれば。内定を取り消された新社会人の方、弊社のようなITベンチャーでよければ新卒として迎えられる枠が2~3人はあります。ただ、求人媒体に社員募集は載せていませんので、メディアエクシードのHPから連絡してみてください」
「HRportは、コロナウイルスの影響で内定を取り消しされた学生の採用費用を無償化することを決定しました。これを通して、少しでも将来に不安を抱えている学生の就活支援になればと考えております! テレビ局からの取材依頼が複数件。それだけ内定取消が社会から問題視されているということ。HRportとしてもやれることを全力でやりたい。もし内定取消されて困っている学生がいれば、ぜひ連絡して欲しい」
「内定取り消しで困っている方へ。一緒にOWNDAYS(オンデーズ)で働きませんか? 募集職種 (2020年4月入社の方)・営業職・エンジニア・経理・デザイナー・映像制作。さまざまな分野で活躍できます! 詳細はこちら。2020年春入社の内定取り消しを受けた学生を対象にスピード採用を実施」
「Maenomeryです。内定取り消し等でお困りの学生はDM下さい!お力になれればと思います!」

と、学生に向けて呼びかけている。

「ショック大だけど人生は長い。前を向いて行こう」

「内定」を取り消されたら......(写真はイメージ)
「内定」を取り消されたら......(写真はイメージ)

   一方、労務関係や転職コンサルタントなどのプロという人からも、こんなアドバイスが。

「労務のプロです。コロナ内定取消しについて、企業側は取消し無効となると考えられます。業績不振による人件費の削減を理由とする内定取消や不況を理由とする内定取消は合理性が認められにくいため、企業は違法行為をしていることになります。そのため、労働審判や裁判となるといくらかを支払うことになります。コロナ内定取消しで困っている学生さんや就活生へアドバイスしてくれる、頼るといい方はこちら」

と労務の専門家やNP0法人のサイトへ。

「転職キャリア戦略家のブロガーです。内定取消があったとか、メディアやいろんな人が言って不安をよけい大きくなっているかもしれないが、大丈夫だよ。新卒の採用はそんなに簡単には止まらないし、企業は必ず必要だから。どうしても不安だったら、DMでもなんでもください。納得できる説明します」
「心理カウンセラーです。内定取り消しをされた側はショックだけど、その会社がどういう会社なのかがわかったということ。今それがわかってラッキーなのだ」
「人事のプロです。内定取り消しは人事に計画性がない会社がやること。採用計画をきちんと立案している企業であれば、この時期に内定取り消しはしない。短期的にはショック大だけど人生は長い。リカバリーは十分可能だから、前向いて行こう」

   また、別のサイトでは、こんな大学関係者などからアドバイスの声もある。

「法的な問題も重要ですが、多くの学生にとっては、まずどうしたらよいのか途方に暮れているのが現状でしょう。大学の就職指導部やキャリアセンターでは、就職取り消しが多発した時期の対応経験を持った担当者がいます。まずは、対応の相談にでかけてみましょう。若手の就業人口不足の中で、積極的に採用に乗り出す企業も少数ですが存在します」
「合理的な理由を欠いた事業主による内定取り消しは無効で、通常の解雇と同じ扱いになります。ハローワークに相談すると、内定取り消しの回避に向けた事業主への助言指導(休業補償の助成金活用等)や、就職支援を受けられますので、まずハローワークに相談することをおすすめします」

といった、内定取り消し時の具体的な対処法を授けている。

会社を立て直した社長から「改めて来てもらえないか」

   このほか、ネット上ではさまざまな意見が戦わされている。一番多いのは「内定取り消しをする企業などやめてしまえ」という声だ。

「考えようによっては、たかが1~2か月で経営が傾くような会社に就職しなくてよかったと思う考え方もある」
「確かにコロナが経済に与える影響は大きいと思うが、このタイミングで内定を取り消すような会社なら、たとえ入社しても前途多難だ。後々そんな不安定な会社に入らなくてよかったといえるように就活頑張って欲しい」

   ところが、こうした意見には「今どき、安定している会社などどこにもないぞ」という反発も多かった。

「これぐらいで傾くって簡単にいうが、業績のよかった中小でも今回のコロナショックはかなり打撃を受けているぞ。新規採用をしたら沈没してしまう企業に内定を取り消すなというほうが無理だ。会社の存続や今いる社員の雇用を守るためにやむを得ず内定取り消しとしている企業に対し、上から目線のいい方は不愉快だ。内定を取り消された学生には同情するが......」
「今どき余裕のある会社なんて数えるほどしかありませんよ。特にサービス業界はね。1、2か月業績悪化で倒産するような中小企業ばかりですよ。コロナの終息する見通しが立たない以上、新規雇用者よりも現雇用者を守るのは企業として当然の判断です」

   就職氷河期世代からは、売り手市場を謳歌してきた就活学生に対しての「皮肉」の声と、内定取り消しの事態への「応援」の声が相半ばしている。

「バブル氷河期・リーマン氷河期をあざ笑ってきた若者たちよ、これでわかったかな? いくら努力しても生まれた年によって格差が生まれることを。努力だけではどうにもできないことだってあることを」
「超氷河期から失われた20年を生きてきた者としてはもっと大変なことは人生にいくらでもありました。やけを起こさずに、まずは大学の進路指導担当を頼りましょう。今の日本は人手が足りていません。希望の業種ではないかもしれないけど、若いあなたなら、仕事は見つけられる。仕事をしながら道を探す手もあります。働く気さえあれば食べてはいけるはずです」
「就職氷河期に就職できなくて、勉強して看護学校に入り、看護師になり働いています。結果看護師にやりがいを感じているので、看護の道に進んでよかったと思っています。道はどこにでも通じています」
「リーマンショックの年にちょうど美大卒業だったので、発注元に影響されるデザイン事務所みたいな所はほとんどダメだった。いざ内定をもらっても1年後倒産で失職した人がいくらもいて、バイトの求人すら取り合いだった。ただ、内定を取り消された人が、その後会社を立て直した社長から『改めて来てもらえないか』と声がかかったこともあった。だから、『こんな会社!』なんて言わないほうがいいよ」

(福田和郎)

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