2021年 8月 1日 (日)

高齢者の運転免許の自主返納 着実に進展も、地域格差は広がるばかり(鷲尾香一)

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   警察庁が2020年3月24日に発表した「運転免許統計(令和元年版)」によると、高齢者の運転免許の自主返納は、着実に進んでいることがわかった。

   その半面、運転免許証を返納する高齢者の数は都道府県によって、格差が広がっていることが明らかになった。

  • 高齢者の運転免許の自主返納、地域格差をどう縮めていく?(写真はイメージ)
    高齢者の運転免許の自主返納、地域格差をどう縮めていく?(写真はイメージ)
  • 高齢者の運転免許の自主返納、地域格差をどう縮めていく?(写真はイメージ)

運転免許の自主返納、2019年は過去最多の60万人超

   2019年末の運転免許保有者数は、前年比0.2%減の8215万8428人(男性4477万8696人、女性3737万9732人)となった。

   このうち、65歳以上の高齢者を年齢階層別でみると、

65歳以上1885万1637人 (男性1148万1918人、女性736万9719人)
70歳以上1195万3118人 (男性768万8597人、女性426万4521人)
75歳以上582万6673人 (男性409万183人、女性173万6490人)
80歳以上が228万5660人(男性176万417人、女性52万5243人)

となっている。

   これに対して、運転免許の自主返納は前年比17万9832人(42.7%)増加して、60万1022人と過去最多となった。

   年齢階層別は、以下のとおり。

65歳以上57万5559人(前年比16万9042人増)
70歳以上51万5324人(前年比13万9533人増)
75歳以上35万428人 (前年比 5万8339人増)
80歳以上22万6466人(前年比 4万4784人増)
85歳以上8万8562人 (前年比 1万9239人増)

   運転免許証を自主返納した場合、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として利用できる「運転経歴証明書」を取得する人は、前年比16万448人増加して51万9188人となった。

   このように、2019 年4月に東京都豊島区東池袋で発生した高齢者が運転する自動車の暴走死傷事故により、高齢者の意識が高まったことを背景に、運転免許返納が大幅に増加している。

   しかし、返納は都道府県により大きな差があり、格差が広がっている。

地域格差が解消できないワケは......

   都道府県別の返納数の上位と下位は、以下のとおり。

<返納数の上位>      <返納数の下位>
 東京都  6万6288人    鳥取県  2660人
 大阪府  4万6619人    高知県  3115人
 神奈川県 4万6159人    山梨県  3160人
 埼玉県  3万5564人    福井県  3226人
 愛知県  3万4357人    島根県  3836人

   警察庁が2月13日に発表した「令和元年(2019年)における交通死亡事故の発生状況等について」によると、交通事故死者数は前年比317人(9.0%)減少し3215件だった。このうち、65歳以上は同184人(9.4%)減少して1782件となった。

   75歳以上の高齢者による交通死亡事故は、前年比59件(12.8%)減少し、401件となった。このうち、80歳以上は28件(11.1%)減少の224件となっている。

   運転者(原付以上・第1当事者)による年齢層別免許人口10万人当たり死亡事故件数では、75歳未満が3.1件、75歳以上が6.9件、80歳以上が9.8件となっており、75歳以上で7件を割り込み、80歳以上で10件を割り込むなど着実に減少している。

   こうした高齢者の自動車運転による死亡事故の減少の背景には、運転免許の返納増加が寄与していることがある。しかしながら、前述のように運転免許の返納には都道府県で大きな格差があり、この地域格差は拡大傾向にある。

   この運転免許返納の地域格差には、簡単に解決することが難しい「高齢者が運転免許を返納した後の移動手段が確保」という問題が大きくのしかかっている。

   今後も高齢者の自動車運転事故を減少していくためにも、公共交通手段の拡充や高齢者運転教習の充実など、多方面からの対策を行うことが重要だ。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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