2024年 4月 18日 (木)

リアル就活生が実態調査 オンライン面接は対面とはこんなに違う?

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   新型コロナウイルスの影響で、にわかに就活のメーンイベントになった「オンライン面接」。ITや通信の進化で今後も一定の割合で定着することが考えられる。はたして、コロナ禍ではどのように実施され、その中でどのような可能性と課題がわかったのか――。

   立教大学経営学部の中原淳研究室は、企業の採用活動におけるオンライン面接の課題や可能性に関する調査報告書を、2020年5月31日に発表。就活中の学生が自身の就活と並行して実施した、リアルな調査結果に注目が集まっている。

  • 対面で必ず聞かれる「学生時代の経験に関する質問」はオンラインでも9割がテーマに
    対面で必ず聞かれる「学生時代の経験に関する質問」はオンラインでも9割がテーマに
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95%の企業が1次面接で「オンライン」

   中原淳教授によると、調査したのは研究室所属の経営学部4年生で、実際に就職活動中の柴井伶太さんと佐藤智文さん。2人の提案でスタート。就職活動中の学生232人と企業の採用担当者176人に質問を投げ、その回答を分析した。

   調査によると、オンライン面接がどの段階で、どれほどの割合で実施されたのか、採用担当者に聞く(5月3日時点)と、会社説明会の段階で83.1%、1次面接が95.6%、2次面接で71.3%の企業がオンラインを活用。内定を決める最終面接でも、58.1%の企業が実施していた。

   一方、学生は5月15日時点で、55.4%が3次面接以降まで、オンラインで通過したと回答。143人の回答者のうち、同日時点で内定を獲得した学生は48.3%で、この内定獲得組をみると、「3次以降までオンライン面接」だった学生が55.4%という割合でいた。

   このことから、「内定までフルオンラインで(内定を)取得した可能性が高い」と指摘。報告書では、採用・就活プロセスの「フルオンライン化」が「急速に進行している」と結論づけている。

オンライン採用、入社後の早期離職を防止が必要

公開した調査報告書「オンライン面接はどんな特徴を持ち、何が可能性で、何が課題なのか?」
公開した調査報告書「オンライン面接はどんな特徴を持ち、何が可能性で、何が課題なのか?」

   報告書では、さまざまな角度の質問から、採用・就活プロセスでにわかに主流となったオンライン面接の問題点を指摘する。

   一つ目は、学生・採用担当者ともにITスキルやオンライン会議のツールへの習熟が必要になるということ。オンライン面接で、志望理由や自分の強みや弱みを伝えることができたと考える学生の大半は、ふだんからパソコンや基本的ソフトに親しんでいたが、そうではない学生では、うまく主張できたと考える割合が低かった。

   オンライン面接で「自分の志望理由や強み・弱みを伝えることができた」と考えている学生は、マイクロソフト・オフィスを「ある程度使うことができる」人で43.6%、このソフトを「満足に使え、パソコンを使って創造的な作業をすることができる」人で54.5%だった。

   また採用担当者には、ITスキルについて「オンライン面接の案内時に、学生に安定的にアクセスするための情報環境を伝えることができたか」を質問。「できた」と回答したのは、オンライン会議ツールを「日常的に使用している」人で18%、ツール使用の「経験なし・必要な時のみ使用」という人で11%だった。

   外出自粛がはじまって以降、ウェブ会議ツールを使ったミーティングなどが広まり、ビジネスパーソンのITスキルが向上。ツールの習熟度が深まったようだが、採用プロセスのオンライン化当初は、学生のほうが経験では勝っていたこともわかった。

   さらに対面の面接に比べると、オンライン面接は事務的になりがちで、「働くイメージ」が広がりにくい。採用担当者に面接での手応えを聞くと、対面面接で「学生に入社したい気持ちを高めることができた」と考える人が79.7%なのに対し、オンライン面接では60.3%。また、「学生に、自社で働くイメージをもたせることができた」と回答した採用担当者が、対面面接では78.8%だったのに対し、オンライン面接は55.1%と、23.7ポイントもの差があった。

   報告書は、「会社のイメージを持てないままだと、入社後の組織社会化に影響を及ぼすぁ脳性がある」と指摘。

「就職するにあたって、学生はより志望企業で働くイメージについて情報が必要になる!」
「採用担当者は学生の入社後の早期離職を防ぐため、自社で働くイメージ付けに関する工夫が必要!」

と訴える。

オンライン面接で90%の企業が聞くこととは?

   就活中に気持ちの盛り上がりや働くイメージづくりでオンラインに難点があるのは、学生も同じのようだ。

   学生に「入社したい気持ちの向上」について聞くと、対面面接で77.5%が効果を感じたのに対し、オンライン面接では67.8%。「その会社で働くイメージの向上」では、対面が78.5%に対し、オンラインは43.4%と35.1ポイントも低かった。

   オンライン面接は、学生が企業を訪問して社風を体感することができなくなったうえに、面接自体が簡潔になり、その会社で働くイメージを感じることが難しくなったという実態を浮き彫りにした。

   報告書は、対面とオンラインを混在させた採用形態に「変化する必要がある」と指摘した。

   報告書によると、対面面接の長さの「最頻値」は45~60分。これに対し、オンラインではこれが30~45分という。オンライン面接の時短化で、対面時に想定していたさまざまな質問が省かれることが起こる。しかし、学生・採用担当者双方から明らかになったところでは、「学生の過去の経験に関する質問」は90%程度が聞かれている。

   報告書は、オンライン面接では、「学生時代の経験を語ることの重要性が増している」と指摘。「学生時代にユニークな経験をすること、そしてそれを内省し、魅力的に語れるようにすることが面接の準備をするうえで最も重要」としている。

   なお調査は、学生への調査が4月29日~5月15日。採用担当者への調査は4月28日~5月3日に実施した。

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