2024年 3月 29日 (金)

【SDGs大学長がゆく】NGO、NPOとの距離感 企業のSDGsを外部から客観的に検証できる存在

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   企業がSDGs経営を進めるにしたがって、より専門的な知識とそれを裏付けるエビデンスが必要となってくる。その際にはNGO(非政府組織)、NPO法人(特定非営利活動法人)が持つ知識や情報が大きな「戦力」となるのは言うまでもない。

   今回は、企業が求めるゴール、ターゲットに対して連携のできるしっかりした考えの持つ、NGO、NPOとのつながりをどのように持てばよいのか。また、そのメリットについて、国内外のNGO、NPOに詳しい「NPO法人 泉京・垂井(せんと・たるい)」の副代表理事である神田浩史氏に、企業とNGO、NPOとの協働について話を聞いた。

  • 「環境NGO・NPOの交流会@垂井」のもよう(2020年2月8日開催。「NPO法人 泉京・垂井」提供)
    「環境NGO・NPOの交流会@垂井」のもよう(2020年2月8日開催。「NPO法人 泉京・垂井」提供)
  • 「環境NGO・NPOの交流会@垂井」のもよう(2020年2月8日開催。「NPO法人 泉京・垂井」提供)

183か国、2万4000人が参加した「世界水フォーラム」

清水一守学長 国内外のNGO、NPOにお詳しいと聞きました。どのような経緯でつながりができたのでしょうか――。

神田浩史氏「大学を卒業後、開発コンサルタントの企業に勤務し、タンザニア、ナイジェリア、バングラデシュなどでODA(政府開発援助」の農業開発事業に従事。企業を退職後は、主に東南アジア各地の地域づくりの現場の調査研究などで日本政府の国際協力やODA政策策定に携わった経緯があるのと、2003年に京都で開催された183か国、2万4000人が参加した『世界水フォーラム』で、事務局次長として、国内外のNGO、NPOとの窓口になったのが大きなきっかけだったと思います。
『世界水フォーラム』では、特に開催前は参加の呼びかけを、国内外のさまざまな団体に向けてしていましたからね。また、1990年ごろから全国各地の行政や大学、団体からの講演依頼があり、多い時で年間100講演をこなしていましたから、その際に知り合った団体とのつながりも次第に多くなってきました。それにより、全国の主だった団体とのつながりができました」
NGO、NPOに詳しい神田浩史氏
NGO、NPOに詳しい神田浩史氏

清水学長 SDGsを進めるうえで、今後NGO、NPOとの協働が重要になってくると思います。その点について、どのように考えていますか――。

神田氏「企業がSDGsを進めるにあたり、一番神経を尖らせるところは『SDGsウォッシュ』(=SDGsの本質や狙いを理解せずに実態を伴わないビジネスを進める、見せかけのSDGs活動のこと)でしょうね。SDGsのゴールに向けて取り組んでいることが、知らず知らずのうちに企業活動と相反する活動になっていることがあります。そうなると企業イメージが悪くなり、株価にも影響を与えかねません。そのようなウォッシュ対策としてNGO、NPOの意見が重要になってきます。 持続可能な開発目標の三つの側面のうちの社会的側面と、環境的側面においての専門的な意見を得ることが、目標に向けた道筋を見出しやすくなるのではないでしょうか。また、企業の取り組みに対しての第三者意見として評価ができるということも利点ですね。それと情報化時代の中で欲しい情報が得やすくなっているとはいえ、NPO、NGOだからこそ入ってくる情報があります。企業にはあまり伝わってこない情報がありますから、それらを知ることはマイナスではないと思います。それに、社会課題に対して見たくないものは見ない、聞きたくないものは聞かないとする企業もありますよね。企業の状態を理解したうえで、うまく仲介することができるNGO、NPOも多くありますから、活用しない手はないですね」

清水学長 「SDGsウォッシュ対策」で第三者意見を得られるのは心強いですね。一方で、企業がNGO、NPOの活動に参加することも大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか――。

神田氏「そうですね。企業とNPOの連携が重要と肌で感じたのは、『世界水フォーラム』で、全日本水道労働組合や全日本自治団体労働組合に所属の若い方々が、仕事関係者との関わりだけの毎日から、市民活動に参加したことで、利益追求だけではなく市民社会との連携が企業活動にとって必要と感じ、その重要性が組合活動にも波及したこと。そして、若い人たちが積極的に組合活動に参加しはじめ、組合が開かれたものとなり、組合員の士気が上がり、以来NGOとの連携ができているとの報告を受けたときでした。そのようなこともあり、現在、『NPO法人 泉京・垂井』では企業の新人社員研修として、ボランティアへの参加や、環境活動を通して企業活動と社会活動が密接に関係していることを体感するカリキュラムを実践しています」
清水一守(しみず・かずもり)
清水一守(しみず・かずもり)
一般社団法人SDGs大学 代表理事/公益財団法人日本ユネスコ協会連盟・ユネスコクラブ日本ライン 事務局長/英国CMIサスティナビリティ(CSR)プラクティショナー資格/相続診断士
日本大学文理学部を卒業。大学では体育を専攻。卒業後、家業である食品販売店を継ぐも新聞販売店に経営転換。地域のまちづくりとして中山道赤坂宿のブランド化を推進した。その後CSR(企業の社会的責任)の重要性を学び、2018年7月から名城大学で「東海SDGsプラットフォーム」として月2回の勉強会を開催中。SDGsを広めるための学びの場として2019年9月に一般社団法人SDGs大学を開校。現在、SDGs認定資格講座やSDGsイベントなどを開催中。
岐阜県出身、1960年生まれ。
一般社団法人SDGs大学
SDGsを広めるために、誰もが伝道師となるような認定資格講座を3段階で設定。SDGsを学ぶきっかけの資格としてSDGsカタリストから始まり、その上位資格としてのアドバイザー資格、さらにカタリストを育成するカタリストトレーナー資格を設け、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsを他人事ではなく、『ジブンゴト』としてとらえ、実践していけるようにSDGsの研究・周知・教育を行っています。校訓として学び・実践・達成・及人を掲げ、物心両面の幸せを追求し、真の『自分ごと』を探求できる学びの『場』として、誰もが参加ができるインラインによる「SDGs大学プラットフォーム」、「SDGsキャンプ」などのセミナー、イベントを提供しています。
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