2024年 4月 16日 (火)

【襲来!新型コロナウイルス】「コロナ大恐慌」が来る? リーマンを上回る過去最悪のGDP落ち込み シンクタンク予測を読み解く

経済活動、7月以降の「感染第2波」が懸念

   さて、これから経済活動はどうなるのだろうか――。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は、景気は5月で一応底を打ったのではないかとみて、こう説明している。

「5月25日に緊急事態宣言が解除されたことを受けて、経済指標の多くは6月には上向いており、6月の経済活動の水準は4~6月期の平均を明確に上回っている。景気は5月を底に持ち直しに向かっている可能性が高い。7~9月期は高い発射台からスタートすることもあり、現時点では年率10%超の高成長を予想している」

   ただし、まだ外食、宿泊などのサービス消費の持ち直しが限定的にとどまっていること。7月に入り、新型コロナの陽性者数が再び増加したことを受けて自粛を求める動きが強まっていることから、経済活動の正常化は遅れていると指摘する。そして、こう結論付けている。

「7~9月期の実質GDPは表面的には高い伸びとなる可能性が高いが、4~6月期の急激な落ち込みの後であることを踏まえれば、回復ペースは鈍いとの判断が妥当だろう」

   日本総研調査部の成瀬道紀副主任研究員は、内閣府発表と0.1ポイントしか違わないマイナス27.9%と予測していた。7月31日に発表したリポート「2020年4~6月期GDP予測 -前期比年率マイナス27.9%と過去最大のマイナス成長-」の中で、これからの展望について厳しい見方を示している。

「7~9月期を展望すると、内外の活動制限緩和を受けて持ち直しに転じるものの、V字回復は期待薄だ。7月に入り、感染再拡大を受けて、国内の小売・娯楽施設への人出の回復が頭打ちとなるなど、消費の回復力は脆弱。入国制限の緩和は当面、一部の国からのビジネス目的に限られるとみられるなか、インバウンドも実質ゼロの状況が続く見通し。さらに、進捗ベースで計上される住宅や建設などは、今後一段と悪化する見込み」

   やはり、7月に入ってからの感染再拡大がネックになっているというわけだ。

   第一生命経済研究所・調査研究本部経済調査部の新家義貴主席エコノミストも、内閣府発表と0.2ポイントしか違わないマイナス27.6%の予測だった。7月31日に発表したリポート「2020 年4~6月期GDP(1次速報)予測 -前期比年率マイナス27.6%と、記録的な落ち込みを予想-」も、今後の見通しについて厳しい見方を示している。

「緊急事態宣言解除後に営業再開や自粛緩和の動きが急ピッチで進んだことや、特定定額給付金の支給もあって、6月の個人消費は予想以上の反発を見せた。プラスのゲタが大きいこともあり、7~9月期は高成長が見込める。もっとも、これはあくまで急激な落ち込みからのリバウンドにとどまり、3~5月の落ち込みを取り戻すには到底至らない。新型コロナ感染拡大前の水準に戻るには長い時間がかかるだろう」

   そして、こう付け加えた。

「足元で新型コロナ感染拡大が再び進んでいることは懸念材料だ。再度の全国的な緊急事態宣言発令は回避されるとみているが、今後の感染状況次第では、業種や地域を限定した形での自粛要請等が実施される可能性は残る。家計の自粛ムードの強まりから外出の手控え・消費の抑制に繋がることも考えられる。景気の腰折れまでは想定しないが、今後の回復ペースは緩やかなものにとどまる」
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