2024年 5月 1日 (水)

福井発!「食べきり運動」って何? 食品ロス削減は「家庭」から【オンライン座談会】

提供:ニチバン株式会社

全国に広がる「食べきり運動」 自治体関係者の共感を得る

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崎田裕子さん、田村洋子さんともに「家庭での食品ロス削減には、冷蔵庫の管理が大事」だと強調する。

   ―― 福井県が注力してきた食べきり運動ですが、2016(平成28)年度に「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」を立ち上げ、現在では全国の自治体との連携が進んでいます。

崎田さん「当時のことを説明すると、協議会を立ち上げた前年にあたる2015(平成27)年11月、全国の自治体、企業、団体、関係省庁が集まる『3R推進全国大会』が福井県で開かれ、私も主催団体のひとつ『3R活動推進フォーラム』の副会長として関わっていました(3Rとは、リデュース、リユース、リサイクルのこと)。
このとき、食品ロスをテーマとしたパネルディスカッションのコーディネーターを務めましたが、福井県での熱心な取り組みの紹介があったあと、自治体みんなで食品ロスの取り組みに関するノウハウを共有したい、全国でネットワーク組織をつくろう、と呼びかけがありました。そのとき、全国各地にある地場の食材に感謝しながら、しっかり食べきり、捨てるものを減らそうと、食料のライフサイクル全体を視野に入れた考え方がとても好印象でした。だから、その場にいた自治体関係者は共鳴して、設立に向けた話がすぐに進んでいったのだと思います」

杉下さん「各自治体では、独自に食品ロスや食べきり運動に取り組んでいるという背景があって、それぞれのノウハウを共有すれば、みんながもっと取り組みやすくなるのではないか、と考えたのです。福井県が事務局となって設立して、崎田先生には会長となっていただきました。以来、参加する自治体は増え、2019年10月に食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)が施行されてから、さらにそのペースは加速しています。2020年10月現在、47都道府県と426の市区町村が参加しています」

崎田さん「食品ロス削減は、自治体、事業者(企業)、家庭(消費者)それぞれの立場でできることがあります。そのとき、自治体の大事な役目が各関係者をつなぎ、旗を振ることです。ところが自治体のみなさんは、具体的な仕組みづくりや伝達の仕方などで、悩んでいるケースも多いと聞きます。全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会の存在は、さまざまな知恵を共有する良い機会になっているのではないでしょうか」

   ―― 10月30日の「食品ロス削減の日」の認知度も高まり、食品ロス削減の取り組みは今後ますます加速していきそうです。

杉下さん「そうだと思います。自治体としてできることは限られているなかで、婦人会、それから消費者団体、飲食店など事業者の方々とうまく連携すれば、食品ロス削減に貢献できる余地はまだまだある、と実感しています。家庭では身近なこと、できることから始めてみては。私たち自治体も広報の仕方を工夫しながら、みなさんが取り入れやすい活動を推奨していけたらなと思っています」

田村さん「食品ロス削減は家庭から――。私たちはそう思っているのですが、そのときに大事なのはやっぱり、冷蔵庫の見直し。自分の家に見合ったサイズの冷蔵庫を使ってほしいです。冷蔵庫が大きいとモノを詰め込めてしまいますが、小さければ余るほど入りませんからね。これまでを振り返ると、私たちの強みは県との連携でした。婦人会は全国にあって、私が招かれた講演では、自治体の関係者に向けて『婦人会を大いに利用してください』と話したことがあります。良好な関係で活動する自治体が増えれば、食品ロス削減に限らず、暮らしやすい地域として発展していくと信じています」

崎田さん「杉下さん、田村さんのお話から、福井県(自治体)だけでできなかったことを、関心のある婦人会のみなさんに相談して、一緒になって取り組んだのは理想的なご関係だったと思います。本日の座談会は『家庭』がテーマでしたが、福井県では飲食・小売店の方々とも『食べきり協力店・応援店』登録制度で協働するなど、あらゆる方面に気を配っているところもすばらしい。また、楽しく、具体的で、効果が見える活動が、食品ロス削減を促します。ですから、実施予定の社会実験では、初回で手探りの部分もあると思うのですが、今後に生かせる具体的な成果やデータの取得にも期待しています」

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プロフィール
崎田 裕子(さきた・ゆうこ)
ジャーナリスト 環境カウンセラー
全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会 会長

1974年、立教大学社会学部卒業。11年間雑誌編集者を務めたのち、フリージャーナリストに。生活者の視点で社会を見つめ、近年は環境問題、特に「持続可能な社会・循環型社会づくり」を中心テーマに、講演・執筆活動に取り組む。環境省登録の環境カウンセラーとして、環境学習推進にも広く関わる。NPO法人新宿環境活動ネット代表理事。環境省「中央環境審議会」委員、資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会」委員、経済産業省「産業構造審議会」臨時委員等。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「街づくり・持続可能性委員会」委員。「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」会長


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