2024年 4月 27日 (土)

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「先履行の抗弁権」と約定がすべての中国契約法

   1999年に制定された統一契約法は、グローバル化した市場経済を見据えて、ウィーン売買契約条約(国連国際動産売買契約条約)の影響を受け、違約責任にかんする、過失がなくても責任を負わせる厳格責任や、履行期前の契約違反などの規定がある。19世紀末に制定された日本民法には存在しないものだ。

   日本の契約法に比べてはるかに国際的立法の影響を受けているにもかかわらず、中国契約法の特質として、「先履行の抗弁権」をまず挙げている。「当事者が相互に債務を負い、履行順序に先後があり、先に履行すべき一方の当事者が履行しなかったときは、後履行者はその履行を拒むことができる」(民法典526条)という規定である。

   企業間の取引では、甲が先に目的物を引き渡し、半年後に乙が代金を支払うといった契約が普通である。だが、甲が履行期日が到来したにもかかわらず目的物を引き渡さない履行遅滞がズルズルと続き、そうこうするうちに乙の代金支払期日が到来したケースで説明している。

   日本を含め中国以外の大半の国は、「同時履行の抗弁」といい、乙が代金を払わない限り、物を引き渡さないことが認められる。もし乙が物を引き渡してほしいと思えば、乙が代金を払って甲の抗弁権を取り消さなければならない。常識的には甲は理不尽のように思えるが、甲の抗弁を認めるのだ。

   小口さんはその理屈を、こう説明する。

「日本では、甲は履行期日が到来しているのに履行しないのだから、それで乙の側に損害が発生すれば、損害賠償を請求できるし、また甲に対して履行を促すべく催告し、それでも甲が履行しなければ、契約を解除し、生じた損害の賠償請求もでき、それで十分であり、あとは甲と乙は同時履行の関係で調整すればよいと考える。それ以上に、先履行の抗弁に担保的意味合いを含めるべきではないというわけである」

   ところが、中国では、甲の側からの同時履行の抗弁を認めない。人的・物的担保が期待できない場合を想定して作られたのが先履行の抗弁だという。

   「対中ビジネスのおいては、相手が一筋縄では契約を履行しないことを想定して、契約締結の交渉段階で積極的にこの先履行の抗弁条項を約定に書き込め」とアドバイスする。

   「先履行の抗弁」も約定にそれを書き込まなければ、効力が生じない。中国では約定こそが原則なのだという。約定がなければ同時履行に戻るのだ。

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