11月に入り、凍える日々が増えてきました。アメリカ大統領選はバイデン氏が勝利し、加えて新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感から、米ニューヨーク株式市場のかダウ平均株価が史上初の3万ドルを突破しました。新型コロナウイルスの感染拡大以前の最高値を更新している現状です。日経平均株価でも、29年ぶりの高値を付けたことで話題になりました。コロナ禍の影響から、実態経済が打撃をうける中で、株式市場は好調なように見えます。実態経済との乖離がしばしば批判されますが、この状況で株式市場までもが低迷しては負の連鎖が続いてしまうため、個人的には日米欧の中央銀行の決断は英断であると考えます。2019年にNYに上場したばかり冬に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が再び勢いを増してきました。外出・外食の自粛が、東京や大阪などでは再び求められています。その中で今回見ていくのは、UberTechnologiesInc.(ウーバー・テクノロジー)です。ウーバーはアメリカに本社を置き、自動車の配車や食事デリバリーシステムを提供している会社です。日本では、UberJapan株式会社として日本法人が作られています。ウーバーはウーバーイーツのサービスを提供しており、良くも悪くも知名度があります。日本においては、新型コロナウイルスの感染拡大による配達需要の増加とともに、一気に成長したイメージが強いです。UberJapanは非上場ですが、決算期は12月であり、2019年度の純利益は3億3659万円となっています。一方で、親会社であるウーバー・テクノロジーは19年に米ニューヨーク証券取引所に上場を果たしています。上場してから日が経っていない若い会社です。ウーバーは、プラットホームを提供しているサービス業であるとも言えます。ウーバーイーツの場合は、店と注文者と配達員の間に立ち、注文と配達をマッチングさせるオンラインフードデリバリーサービスを提供することで利益を得ています。プラットホーム型事業は、利用者が増えるほどにその優位性を確立していく事業形態です。注文者と配達員、店が増えるほど柔軟に多くのものを速く配達することができるようになり、利便性が向上していきます。また、プラットホーム型の事業としてはTwitterやFacebookなどが有名で、近年開発された事業形態であると言えます。安定しない収益と巨額の赤字そして、ウーバー・テクノロジーの財務ハイライトは、以下のようになっています。(表)直近5年の財務ハイライト(出典:UbertechnologiesInc.InvestorFinancial,p47)厳しい経営状況がうかがえます。利益も安定していなく、直近5年のうち、4年は赤字を計上しています。この赤字の理由としては、事業の拡大による支出の増加などがあると思います。現在では70か国で事業を展開しています。また、ウーバーの提供しているサービスは、参入障壁が低いために、他会社の参入による価格競争の影響を強く受けていることが考えられます。米ウーバーを見てきましたが、いかがだったでしょうか。知名度があり、結構儲かっているのではないかと、私も最初は思っていましたが、利益は安定性に欠け巨額の赤字を計上していることがわかりました。しかし、日本法人に限れば黒字を計上していることから、日本において他企業の参入が進み、競争がさらに激しくなることが考えられます。また、配達員の事故やマナー違反が多く報じられるようになっており、プラットホームを提供しているウーバー・テクノロジーに責任はあるのかという論点のもと、風当たりは強くなりそうです。UberEatsをはじめ、一消費者としてはとても便利なサービスですが、株式を買う際の目安としている「収益の安定性」に大きく反しているため、今回は買うのを見送りたいと思います。ウーバー・テクノロジー(NYSE)株式取得は見送り52週高値(2020年11月24日) 51.26米ドル52週安値(2020年3月18日) 13.71米ドル直近の株価(2020年11月30日) 49.66米ドル【株式取引ルール】月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。1年間のトータルで損益を競います。プロフィール早稲田大学 AM基幹理工学部3年。資本主義では資本家が頂点にいることを察し、またインフレリスクを回避するため、消極的に株式投資をはじめる。趣味は読書、料理とバイト代で株を買うこと。資本主義における株式の力を強く信じており、その力に魅了されている。好きな言葉は「BeFearfulWhenOthersAreGreedyandBeGreedyWhenOthersAreFearful.」。東京都出身。
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