2024年 4月 19日 (金)

ハンコ出社をなくし印鑑決裁を不要に 「クラウドサイン」の新戦略

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   新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークが拡大。在宅勤務にもかかわらず、書類の決裁や承認で印鑑を押すだけのために出勤する「ハンコ出社」。

「取引先の発注書にハンコがいるって...」
「ホント、バカバカしい。なんとかならんのか!」
「ハンコ押すのも命懸けだな(笑)」

   昨春の緊急事態宣言時には、こんな悲鳴が多く聞かれた。

   そうした中で、企業でにわかに注目されたのが「電子契約」サービス。紙と印鑑を「クラウド」に置き換え、契約作業をパソコンだけで完結できる、弁護士ドットコムの「クラウドサイン」はその一つ。同社は、今後のテレワーク人口のさらなる増加を見据え、契約時の社内決裁や契約書の保管など、プロセスのデジタル化に向けた新機能を付加していく方針を、2021年1月21日に明らかにした。

  • オンラインでの「クラウドサイン 新戦略発表会」であいさつする弁護士ドットコムの内田陽介社長
    オンラインでの「クラウドサイン 新戦略発表会」であいさつする弁護士ドットコムの内田陽介社長
  • オンラインでの「クラウドサイン 新戦略発表会」であいさつする弁護士ドットコムの内田陽介社長

在宅勤務の広がりを受け、ニーズが急増

   じつは、弁護士ドットコムの「クラウドサイン」が登場したのは2015年10月。「紙と印鑑」による従来の方法では、契約書のプリントアウト、郵送、受理、押印、返送と手続きを重ね、契約関係者の都合によっては遠方に出向かなければならず、締結までに数週間要することもあった。

   それがクラウドサインによる電子契約書では、「いつ、だれが、どの契約に合意したか」を証明する電子署名とタイムスタンプの機能で、契約締結のスピード化とコスト削減を可能にした。

   企業の導入が進んだ背景は、もう一つ。2020年7月、政府が企業のテレワークの推奨を後押しする狙いから、電子証明書のない電子署名も法的に有効と認める見解を公表。9月には電子署名法第3条の「本人による電子署名」として、クラウドサインの規格が法的に有効との基準が示された。

   契約の正当性や有効性といった、クラウドを使った企業間契約の不安が払しょくしたことで、クラウドサインをコロナ対策として導入する企業が増えた。

   弁護士ドットコムの内田陽介社長は、

「クラウドサインは、契約締結のスピード化やコスト削減に資するサービスとして開発したが、コロナ禍で生まれた『ニューノーマル』で、従業員の健康を守る目的で、在宅業務のツールとしても重視されるようになった」

と話している。

   コロナ禍の外出自粛で在宅勤務が急速に進展。「ハンコ出社」が疑問視されたことで、電子契約サービスのニーズは高まった。現在、クラウドサインは電子契約サービスで、80%のシェアを占めている。

マイナンバーカードを活用してBtoCも

   11都府県に2回目の緊急事態宣言が発令された今、改めて「電子契約」サービスの必要性を感じている企業は少なくない。こうしたことから、弁護士ドットコムは、テレワークがますます普及する事態に対応。「2021年 機能開発ロードマップ」と名づけた事業戦略を策定し、1月21日にオンライン発表会を開催した。

   その機能の一つが、「エンタープライズ企業向け機能」。契約書類の閲覧権限を高度に管理する「キャビネット機能」などを今春以降に、次々と開発する。

   たとえば、締結した契約書は通常、管理部門で保管され、当事者である事業部門からの閲覧が容易ではない。テレワークの中で、契約書を確認する場合には出社が必要になることが少なくないが、これを今春までに「ユーザーグループ管理機能」や「特定ユーザーのみに送信できる機能」「監査ログ機能」などをクラウドサインに加えることで、オンラインでの操作を可能にする予定だ。

   もう一つの柱は、「マイナンバーカードによる電子署名機能」だ。これはBtoBばかりでなはく、BtoCにも電子契約の利用範囲を広げるもの。マイナンバーカードに内蔵された電子証明書による電子署名を、印鑑証明書と同等に機能するようにして、公的機関の証明や実印が必要な個人との契約の締結を、クラウドサインによって電子化することを可能にする。

   弁護士ドットコムでは、「2021年 機能開発ロードマップ」に則ったステップで、時代に即した契約のカタチと信頼を築いていきたいとしている。

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