2024年 4月 20日 (土)

五輪中止「島根の乱」!「頑張れ」と応援エール殺到 「注意する」と豪語したあの人に丸山知事の対応は......(2)

「聖火リレーを中止する!」

   東京五輪開催に公然と反旗を翻した島根県の丸山達也知事(50)に共感のエールが広がっている。「♯頑張れ島根県知事」がツイッターでトレンド入りし、「島根の乱」という言葉まで生まれた。

   2021年2月25日、その丸山知事が直談判のために上京、関係省庁や国会議員などを回ったが、どこでもけんもほろろに近い扱いを受けた。しかし、丸山知事はぶれずに五輪開催の問題点を訴えて回ったのだった。

   なかでも注目されたのが、「知事を呼び出して注意する」と豪語していた「島根のドン」竹下亘・竹下派会長(74)との会談だったが......。

   丸山知事の「オトナの対応」に称賛の声が集まっている。

  • 東京オリンピックの聖火(東京五輪組織委員会公式サイトより)
    東京オリンピックの聖火(東京五輪組織委員会公式サイトより)
  • 東京オリンピックの聖火(東京五輪組織委員会公式サイトより)

「純粋」のあまり小池百合子都知事に「怨念」?

   それにしても、島根県の丸山達也知事はなぜ、「東京五輪開催」に激しく怒っているのだろうか。毎日新聞(2月26日付)「聖火リレー中止検討『死者ゼロ島根』の怒り」がこう伝える。まず、東京都の小池百合子知事への「怨念」があるよううだ。

「『私自身の力不足もあり...成果が出ていない。大変申し訳なく思っている』。2月17日、聖火リレー中止検討を表明した後の記者会見。心境を問われた丸山知事は涙ぐみ、声を詰まらせた。コロナ第3波以降、政府や東京都のコロナ対策を再三非難しても『無視』されてきたことを『わびた』のだ。小池都知事について『自分と大きな力の差を感じているが、この差を県民に及ぼしてはいけない』と感情をあらわにする場面もあった」
「丸山知事の人柄について、ある県幹部は『純粋』と評する。『しがらみが少なく、自分が与えられた権限を全部使って県民の命や生活を守るという信念がある。(聖火リレー中止検討は)なるべくしてなった。意外ではない』と語る」

   強固な保守王国の島根県。竹下登元首相と桜内義雄元衆院議長、「参院のドン」青木幹雄氏らが権勢をふるい、そのお眼鏡にかなう人物が知事になってきた。丸山氏は初の島根県外(福岡県)出身者で、しかも2019年の知事選では竹下亘氏ら地元保守本流が推す候補を破って当選した。

   その島根県で何が起きているのか――。島根県は、新型コロナの死者数が全国唯一ゼロで、感染者数も284人と3番目に少ない(いずれも2月24日現在)。それでも、感染を抑え込む自粛生活で街は深く傷ついている。毎日新聞が続ける。

「『風が吹けば飛ぶような店ばかりですよ』。松江市内隋一の夜の街・伊勢宮地区を歩くと、200メートル四方のこぢんまりした繁華街で、実に100軒以上が休廃業している。国は緊急事態宣言地域では時短要請に応じた飲食店に1日6万円の協力金を支給しているが、非宣言地域は対象外。自前の協力金を設ける自治体もあるが、島根県は財源不足で手を打てない」

   感染拡大を抑え込んでいるのは、自主的に時短に協力している飲食店主ら県民の努力が大きいのに、丸山知事はその県民に何もしてやれないばかりか、東京五輪の聖火リレーのために約9000万円もの予算を使わなければならないのだった。

   丸山知事の言動には、

「国の支援格差はあまりにも不公平だ」

ということを訴えるために、あえて聖火リレー中止を持ち出した「したたかな政治手法の計算」があると、毎日新聞は指摘するのである。

中央へ忖度なしにモノを言える人こそ日本に必要だ

   ネット上では、丸山知事に対して、こんなエールの声があふれている。

「聖火リレーが中止になればいい。オリンピックが中止になればいい...ではなく、オリンピックをやるには、事前の問題であるコロナ対策をしっかりやったうえでコロナ対策が終えてからオリンピック開催の是非があるのではないか。それができていないなら聖火リレーの協力は降ります...と言っているわけだよね、この県知事は? ごく真っ当な意見ではないでしょうか」
「丸山知事のように中央への忖度なしにしっかりとモノを言える人こそ今の日本には必要なんだよ。オリンピックなんかより地元第一主義、地元の住民の暮らしが一番大事。当たり前のことじゃないですか。オリンピックで地方は潤うんですか?一部の人間だけが得をするイベント、夢やら希望やらアスリートファーストやら、キレイ事ばかりを並べて国民を騙す、五輪スポンサーの大手マスコミの誘導。本当にウンザリする。健全なみなさまは丸山知事を応援しよう」
「政治家として、人としての器は、現代の腐り切った国会議員や霞が関官僚よりもはるかに大きい事がわかりました。島根県民の目線にちゃんと寄り添って、戦うべき時はちゃんと戦ってくれる。有権者が政治家に期待する姿そのものです。その一方、派閥の長とはいえ竹下議員の器の小ささは論ずるに値せず。菅首相の女性広報官がらみの敵前逃亡(記者会見スキップ)は、ただただ情けない、の一言です」
聖火リレーセレモニーで走った石原さとみさん(東京五輪組織委員会公式サイト動画より)
聖火リレーセレモニーで走った石原さとみさん(東京五輪組織委員会公式サイト動画より)
「都道府県会館での会見は予定時間を大幅に超える1時間半にも及び、司会者が『それでは時間がまいりましたので...』と会見終了を促したが、丸山知事は挙手する記者を指名し続けた。島根県民のために現状を訴え、何とか改善したいという真剣な気持ちが記者らにヒシヒシと伝わってきた。島根県人としてこの人が知事で本当によかったと思います」
「私は隣の鳥取県民ですが、丸山さんが島根知事になられてから鳥取と島根の連携が強くなり、平井・丸山ラインで暮らしやすい山陰が進んでいます。両知事共に地元に目を向け県民本位で行政を行っておられるのが県民に伝わってきます。今までの因習を壊してでも県民本位で進められる中で古参の敵も多いとは思いますが、頑張って欲しいです」
「もう3~4人こういう発信をする知事が現れれば、政府もその主張に耳を傾けざるを得ないと思うのだが残念だ。オリンピック開催に懸念を抱いている国民が8割近くいるのだから、もっと全国の知事や地方議員はその思いを代弁してほしいと思う」

聖火リレーやりたければロボットに走らせて

   竹下氏については、こんな意見が。

「竹下議員は本人の思い通り丸山知事に注意したと、意気揚々で記者発表したようですが、そもそも丸山さんは『島根県民の総意』の結果選出された知事です。島根2区でどれほど竹下氏が強かろうが、立場の違いは明確です。『注意する』とはどの口が言うのか」

   聖火リレーや東京五輪に対しては、こんな意見が多かった。

「国民には歓送迎会、花見、卒業旅行、謝恩会もダメ...と我慢をさせている時期に、聖火リレーは何があってもやるわけですね。聖火リレーを都内だけでやればいいのに、なぜ全国でやろうとするの?ワクチン接種に向けてスケジュール調整や会場用意で地方は大変なんじゃないの?」
「みなさん、愛媛県今治市での先日発生したクラスターを知っていますか? 新造船のために来日したバングラデシュ船員からクラスター発生、変異株が疑われています(編集部注:2月19日発表、1人死亡18人が感染、うち7人がバングラデシュ国籍の船員。変異種の可能性が高く26日現在調査中)。五輪開催となれば日本全国で同事例が同時発生する蓋然性が高い」
「そもそも過半数以上、統計によっては8割の国民が今年の五輪開催に反対している中、やっと国民の気持ちがわかる知事がいたのかと安心した。逆に、このコロナ対策が万全でない中で聖火リレーを断行するという知事がいたら、堂々と『実行宣言』をすればよい」
「こんなにIT化、オンライン化、機械化が進んでいるのだから、ロボットにでも走らせたらいい。見たい人はテレビやスマホで見たらいい。どうしてもやりたいのなら。でも、どうしてもやりたいと思う人がどの程度いるのだろう」

(福田和郎)

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