2021年 9月 28日 (火)

「賞味期限切れ」の商品も格安で販売 「ORO フードレス救」設立の経緯を運営会社に聞いた

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   世の中の「食品ロス」を少しでも減らしたい――

   そんな想いから始まった店舗「ORO フードレス救」(れすきゅー)。荒井商事の子会社であるフェリックス(神奈川県平塚市)が運営。賞味期限が迫っていたり、賞味期限が切れたりしている商品を、卸業者やメーカーから引き取って販売している。

  • 多くの人で賑わう東京・大田区の糀谷商店街に「OROフードレス救 糀谷店」はある(写真は、編集部撮影)
    多くの人で賑わう東京・大田区の糀谷商店街に「OROフードレス救 糀谷店」はある(写真は、編集部撮影)
  • 多くの人で賑わう東京・大田区の糀谷商店街に「OROフードレス救 糀谷店」はある(写真は、編集部撮影)

食品ロスに「何とかならないか」

   2021年2月下旬、糀谷商店街(東京都大田区)に「OROフードレス救 糀谷店」を訪ねた。店舗の前の通りは常に人が行きかい、足を止めて商品を眺める人の姿も。価格は500ミリペットボトルの飲料が税抜37円、350ミリリットルの缶ジュースが78円と、かなり安い。

   コロナ禍で経済活動が滞るなか、食品ロスを嘆く声はSNSでも複数見受けられる。フードレス救の取り組みは、食品業界に根付く「3分の1ルール」(賞味期限の3分の1が過ぎる前に、卸業者から小売店に納品する慣習)を見直し、食品廃棄の削減に役立っているとして注目を集めている。

   会社ウォッチ編集部はフェリックス管理部の菅沼利行さんを取材し、「フードレス救」設立の背景を聞いた。

――「フードレス救」を始めたきっかけを教えてください。

菅沼利行さん「フードレス救は2019年11月、『OROフードレス救 横浜橋店』のオープンから始まりました。フェリックス代表の扇谷は前職で卸業に携わっており、他の社員も食品業界に携わっていた人がほとんどです。その中で、売られることなく廃棄されていく食料品を見てきました。
食品ロスに対して、『何とかならないか』という気持ちは食に携わっている人間なら誰しも感じていると思います。とはいえ社内の制約などを考えると、捨てるしかないことがほとんどですよね。同業者があまりないこともあり、事業を始めました」
フェリックス管理部の菅沼利行さん
フェリックス管理部の菅沼利行さん

――「フードレス救」を確立させるうえで大変だったことはありますか。

菅沼さん「大変なことはたくさんありますが...。商品の賞味期限が切れてると、お客さんは思わないことですね。そこの周知徹底が課題です。対策として、商品POPで色わけ(黄色:賞味期限切れ、白色:切れていない)を行い、オープン時はスタッフを配置して説明するようにしています。それでも、賞味期限が切れていることに気づかず購入する方はいるので、そういった場合は返金などで対応しています。
あとは、仕入れの問題ですね。賞味期限切れの商品をくださいと言っても、警戒されることがあります。担当者はおもしろいと思ってくれたけど、上層部に企画が通らなかったとか。知名度が出てきたので、多少話はしやすくなってはいますが、他社がやっていないことをやるのは大変だと感じます」

人気商品から海外の飲料まで充実の品揃え

――「ORO フードレス救」事業の一番の特徴はなんですか。

菅沼さん「賞味期限が切れたものも販売していることです。法律的には問題ありません。メーカーはかなりの安全性をもって賞味期限を設定していますので、期限が過ぎても食べることができます。店舗では賞味期限が切れてから1年以内の商品を販売していますが、購入した方はできるだけ早く召し上がっていただければと思います。
また、賞味期限が切れていなくても、キャンペーンが終わってしまった商品などを引き取って販売しています」
50社ほどの卸売りやメーカーの商品を取り扱っている
50社ほどの卸売りやメーカーの商品を取り扱っている

――現在、何社ほどの商品を取り扱っていますか。

菅沼さん「卸売りとメーカーあわせて50社ほどですが、常に同じ種類や量の商品が出てくるわけではないです。店舗の大きさも違うので、店よって品ぞろえが異なります」

――人気商品から海外の飲料まで販売されており、充実したラインアップですね。

菅沼さん「店舗には普通の商品も並べています。ついで買いを見込んで調味料を置いてますが、こちらも売れています。それが目的で来たわけではないですけど、砂糖も売ってるなら買っていこうかと。訳あり品ではなくても、あればあったで買う人がいます」

――商品はどのように仕入れていますか。

菅沼さん「基本的に、賞味期限が切れている商品を卸してくれる会社はほとんどないです。企業としての責任があるので、メーカーによっては賞味期限の1か月前から出さないところもあります。そんな中でも、賞味期限ギリギリになっても出してくれる企業には、お声がけして引き取っています。
また、これまでに何度かメディアに取り上げられているので、メーカーの方から引き取ってもらえませんか、というお問い合わせはいただいています」

――「フードレス救」の客層に特徴はありますか。

菅沼さん「客層は老若男女問いません。ほとんどの方は少しでも安く買いたいですよね。でも賞味期限が切れている商品は買わないという人も一定数います。そういう人に無理に押し付けるつもりは全くないので、賞味期限の切れていない白いPOPの商品から選んでいただければと思います」

――食品を卸す側のメリットは、どこにありますか。

菅沼さん「賞味期限が切れておらず、他の会社でも売れる可能性があれば、それなりの値段になります。ただ、期限が切れてうちが引き取るしかない場合は、おそらく廃棄のほうが高くつきます。弊社が引き取れば少しでもお金が入ってくるのと、食品を捨てなくて済むということがフードレス救のメリットだと思います」

コロナ禍で買い取りの依頼も...

店舗内にはこんな掲示が!
店舗内にはこんな掲示が!

――新型コロナウイルスの影響はありましたか。

菅沼さん「一般的なスーパーは巣ごもり需要が伸びていると思います。そういう意味では、フードレス救も店舗によっては売れ行きが良かったです。その一方で、人通りが減ってしまう商店街もあり、そういう所の店舗は苦しいですね」

――コロナ禍で食品ロスが話題になっていますが、買い取りの依頼は増えましたか。

菅沼さん「昨年の夏頃にメディアで取り上げられ、それ以降は徐々に増えてきました。特に業務用の商品を扱ってるところは、引き取ってもらえませんかというお話が多いですね。たとえば結婚式など、納入先が決まっている商品が、コロナ禍の影響で余ってしまうので。 ただ、一般消費者に馴染みがない商品や、使い方がわからない商品は、弊社でも取り扱いが難しいと思います」
賞味期限切れでないものも販売している
賞味期限切れでないものも販売している

――店舗の売れ行きは予想と比べてどうですか。

菅沼さん「ほぼ予想どおりです」

――今後の展開を教えてください。

菅沼さん「今後も東京・神奈川の首都圏で店舗を増やしていく予定です。こういうことをやってる会社があるんだというのを、みなさんに知ってもらいたいと思います」

(会社ウォッチ編集部 笹木萌)

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