2024年 4月 26日 (金)

目標達成できる営業担当とダメな担当者との違いは「有効面談時間」にあった (大関暁夫)

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   前回までは、営業活動で成果が上がる仕組みを示す「営業成果の法則(営業成果=営業知識×営業活動量)」における営業知識の考え方とオンライン営業化で、それがどのように変質するかについて、株式会社カレンの藤崎健一社長から具体的な事例を含めて説明をしてきました。

   今回からは、法則のもう一つの要素である営業活動量について、解説していきます。

  • できる営業担当者とそうでない担当者の違いはどこに?(写真はイメージ)
    できる営業担当者とそうでない担当者の違いはどこに?(写真はイメージ)
  • できる営業担当者とそうでない担当者の違いはどこに?(写真はイメージ)

デキる営業担当者は1日平均180分を確保している

   リアルの営業活動における「営業活動量」は、売り込みのターゲットとの相対での面談量になります。この面談量は当然、時間で表されるものなのですが、単純な面談総時間ではなく、いわゆる雑談を除いた面談時間、すなわち有効面談時間という考え方で捉えます。

   雑談には二種類あって、下世話な世間話と若干でも仕事に関わるような業界話や景気や経済動向などに関する雑談です。有効面談時間に前者は含まれませんが、後者はこれに含めて考えます。

   多くの企業のお手伝いをしてきた私の蓄積データから、この営業活動量を分析すると、業種や売るモノあるいは営業地域などの条件によって若干の例外はありますが、おしなべて目標を達成できる営業担当者は1日平均で有効面談時間を180分以上確保している、という結果が出ています。

   すなわち、リアル営業中心の営業活動では、10時から17時を営業活動のコアタイムとすると、1時間の昼食休憩を除く6時間=360分が1日の営業活動時間となり、その約半分を有効面談に充てられれば目標が達成できるということが言えました。

   ちなみに、1日平均240分以上の有効面談時間を確保できている営業担当者は、例外なくトップ営業担当者でした。逆に1日平均有効面談時間が120分以下の営業担当者は、こちらもほぼ例外なく目標未達成者でした(もちろん、平均120分以下でもフロックで1期だけ目標を達成するということは例外扱いです)。

   結論として、まずは1日平均180分以上の有効面談時間をいかに確保させるか、というのが営業管理者の仕事になるわけです。

   なぜ、有効面談時間の確保が営業管理者の仕事と申し上げたかですが、これは常に目標達成している営業担当者とそれができない担当者の違いはどこにあるのか、ということに関連しています。その違いは、担当者が自己管理できるか否かということです。

   私が見てきた常に目標を達成できる営業担当者は例外なく、今週は何件アポを入れ、何件訪問し、何件クロージングさせるかなど、自分で計画的に物事をすすめ、それを着実に実行するという自己管理ができていました。

   一方、目標を達成できない営業担当者は、こういった自己管理が十分にはできていないのです。ならば、その管理を本人に代わって管理者がしてあげれば目標達成に近づくという考え方から、管理者が担当者の有効面談時間の管理をすべきであると申し上げました。

   余談ですが、世のスーパー営業マンたちが書いた「営業成功法」的なビジネス書を読んだ中小企業の社長や営業担当管理者が、その本の中身に感心し、そのやり方をマネて担当者に指示をしても、なぜか担当者の成績向上にはほとんど役に立ったためしがないという話をよく聞きます。これも同じく管理ができているか否か、という問題です。

   つまり、スーパー営業マンたちは当然のごとく、自己管理ができるからそのやり方が有効に働くわけです。一方、その方法をマネてみたところで、担当者が実行上の自己管理ができず、また管理者が「この方法でやれ」と指示だけして管理をしないなら、成果が上がらないのは当然なのです。営業において管理は本当に重要であると、改めて実感するところです。

渉外活動に専念できる環境を整備する

   では、担当者の1日平均180分以上の有効面談時間の確保に向けて管理者はいかなる管理をするべきかですが、まずは彼らが渉外活動に専念できる環境の整備をしてあげることです。言い換えれば、営業担当者に余計な仕事をさせないということ。すなわち、営業事務については係内に事務担当を置くなどして極力、営業担当者の手から放させる、あるいは他係に任せられる事務作業は管理者が係間で調整して営業の負担を軽くする、などです。

   管理者自身も手を動かす必要もあります。たとえば報告書の類とか、あるいは稟議書など、管理者が自ら担当することで、営業担当者の事務負担が軽くなるようなものがあるなら、積極的に引き受けることも大切です。

   売込先に対する提案書についても、基本方針を担当者と相談した後に、素案づくりや添付資料作成、あるいはプレゼンテーションの資料整備なども、できる部分は管理者が率先して手伝うという心掛けも重要。職場によっては、渉外担当と書類などの作成担当を組ませる(ペアにする)というやり方も有効です。基本は折衝担当が渉外活動に出られないという言い訳を作らせない環境をつくり、日々の営業面談時間の管理をするのが肝要なのです。

   もう一点、業務環境整備と並ぶ管理者の重要な仕事は、効率的な営業活動ができているか否かの管理です。言い換えると、アポイントの取り方が悪く移動時間に必要以上のムダが生じていないか、の管理です。担当先の割り振りをする際に、効率性を重視し担当先を立地を踏まえて検討するのは何より当然のことです。

   また担当者のアポイントの取り方も、黙っているとABC管理の、いわゆるA先に分類される重要取引先を優先的したアポ取りとなって、地域の離れた複数のA先を同じ日にアポ取りしたり、結果的に非効率な営業活動になっているというのはよくあることです。

   まず1社A先のアポを取り、そのA先から効率的に訪問できるB先やC先を同一日の訪問先としてアポ取りする、そんな指導が日常的な移動時間の圧縮を生み、有効面談時間を増やすうえでは重要です。

   次回はこのようなリアル営業の営業活動量に関する考え方が、オンライン営業でどのように変わるのかについてお話しします。(大関暁夫)

★大関暁夫氏、藤崎健一氏が共同で、定期的に「成功するオンライン営業」に関する無料セミナーを開催しています(主催:株式会社カレン)。4月は22日、23日にそれぞれ別内容で開催予定です。各日セミナー内容詳細、その他の開催日時およびお申し込みは、こちらのページからお願いいたします。
大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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