2024年 4月 27日 (土)

コロナ禍で拡大する在宅勤務 時間外対応を迫られるケースが増えている

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   コロナ禍で企業の働き方改革が進んでいるなか、在宅勤務で働く人が就業時間外での対応を迫られているケースが増えていることが、NTTデータ経営研究所の「新型コロナウイルス感染症と働き方改革に関する調査」でわかった。2021年4月23日に発表した。

   2020年は、過去最多の56.0%の企業が働き方改革に取り組んでいる一方で、在宅勤務をめぐる課題として、これまで指摘された「紙文化の弊害」よりも、従業員が社内の状況がわからず不安になることのほうが深刻であるとも指摘した。

  • 在宅勤務、ボトルネックは「紙重視」よりも…
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働き方改革で「収入」「生産性」は二極化

   調査によると、働き方改革に取り組む企業は、2019年5月の前回調査と比べて6.7ポイント増加して、過去最多の56.0%となった。取り組んでいない企業は29.1%と、3割を下回った。

   働き方改革に取り組む企業は、従業員規模にかかわらず割合が増加している。従業員1000人以上の規模の企業では77.1%が働き方改革に取り組んでいる一方、100人未満の企業では微増したものの34.0%と3割強にとどまる。取り組んでいない企業は47.6%だった。 働き方改革に取り組んでいる企業では、「休暇の取得しやすさ」(33.4%)や「労働時間の減少」(30.6%)にプラスに働いた。

   「休暇の取得しやすさ」は、前回調査(37.3%)と比べて3.9ポイント減少したが、これについてNTTデータ経営研究所は「『休暇の取得しやすさ』は定着傾向にあるとみられる」と分析している。

   働き方改革のプラスの変化は「気持ちの余裕」(前回比7.85ポイント増の29.5%)、「生産性の向上」(同4.6ポイント増の15.6%)、「健康状態が良くなっている」(同2.7ポイント増の14.2%)などを挙げる人が増えている。

   その一方、「収入の減少」(17.5%)や「生産性の低下」(11.0%)を、マイナスの変化に指摘する人は多い。とはいえ、前回調査から「収入の減少」(25.4%)を指摘する人は減っているほか、「生産性の向上」を指摘した人は4.6ポイント(前回調査11.0%→15.6%)増えており、働き方改革をめぐる収入や生産性の変化に対する評価は「二極化がみられる」と、NTTデータ経営研究所はいう。

在宅勤務、1回目の緊急事態宣言後は3割前後で推移

   今回の調査では、新型コロナウイルス対策として導入が進んだ在宅勤務の取り組みについても、働き方改革に取り組んでいる企業に勤める572人に聞いた。このうち、1回目の緊急事態宣言を含む2020年3月~5月に在宅勤務で働いていた人は36.7%(「出社をせず在宅勤務中心」18.7%、「在宅勤務と出社の組み合わせで在宅勤務が多い」12.6%、「在宅勤務と出社の組み合わせ(それぞれ50%程度)」5.4%の合算)。

   その後、この割合は6月~8月時点で32.2%、9月~11月では29.1%、12月は28.6%。2度目の緊急事態宣言が発出された21年1月は30.1%で、2~3月は31.1%で推移した。

   20年3月以降に在宅勤務を実施した人に「在宅勤務(テレワーク)で感じたボトルネック」を聞くと、「社内の状況がよくわからない」(38.7%)が最も多く、「相手・同僚の顔が見えない」(33.1%)、「手元に必要な情報がない」(31.9%)、「光熱費・通信費がかかる」(26.3%)、「紙の書類を前提とした押印、決裁、保管等の手続きがあること」(24.6%)の順で挙がった。

   同研究所は「紙文化の弊害や自宅の仕事環境の未整備よりも、社内の状況がわからないことが大きなボトルネックと感じている結果となった」と指摘。こうした結果から、「ウェブ会議、電話会議でのコミュニケーションで雑談の機会をさらに増やすことが重要と思われる」とみている。

   調査では、在宅勤務でウェブ会議、電話会議を行ったことがある人のうち、25.8%が雑談を目的としてウェブ会議、電話会議を実施していたことがわかった。

「就業時間外に緊急性のない連絡がある」

   さらに、調査では就業時間外の連絡に対する「従業員の意識」を聞いたところ、「就業時間外に業務に関して緊急性のない電話やメール(LINE等を含む)があり、通話・返信などの対応をしている」人で、「上司」からの連絡に対して毎日対応している人は8.3%で、前回調査(5.6%)から2.7ポイント増加した。週1、2回程度の対応は4.9ポイント増えて14.2%だった。

   また、「同僚」からの連絡に、毎日対応している人は4.0ポイント増の8.6%、週1、2回程度の対応が7.5ポイント増の16.4%だった。

   就業時間外の連絡について、「できれば対応したくないが、対応するのはやむを得ない」と考えている人は46.7%(前回46.5%)。一方、「連絡があれば対応したいと思う」は18.6%(同18.4%)。「対応する側は『できれば対応したくない』と考えている結果が浮き彫りになった」。

   なお調査は2021年3月6日~9日に、NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション株式会社のリサーチサービス「NTTコムリサーチ」登録モニターを対象に実施。有効回答者数は1021人で、いずれも従業員規模10人以上の企業の従業員。

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