市場の「質」低下で東証再編 流通株式の定義変更でどうなる?【馬医金満のマネー通信】

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   こんにちは。馬医金満です。

   東京証券取引所の市場再編が、2022年の予定に変更されました。

   東証に上場する企業は2021年5月6日現在、3770社(うち、外国会社が4社)。市場は、市場第一部2191社(1)、市場第二部475社(1)、マザーズ357(1)、JASDAQスタンダード665(1)、JASDAQグロース37(0)、Tokyo Pro Market45(0)の6つに分けられていますが、東証一部上場企業の数が増えすぎて、日本の最上位市場として「質」の低下が起きていると、長年指摘されていました。

  • 東証、市場の「質」の向上目指して再編へ(写真は、東証アローズ)
    東証、市場の「質」の向上目指して再編へ(写真は、東証アローズ)
  • 東証、市場の「質」の向上目指して再編へ(写真は、東証アローズ)

マザーズや市場第二部からの上場基準は「甘い」

   東証一部に上場している企業数は2191社(2021年5月6日現在)となっており、2000年から増加する一方となっています。しかし、市場第一部の上場企業の約33%(734社)は時価総額が250億円を下回っていたり、約46%(1012社)のPBR(株価純資産倍率)が1%を下回っていたりするなど、NYSE(米ニューヨーク証券取引所)などと比較しても、質の低い市場となっていることは明らかです。 ちなみに、PBRが1以下という状況は、上場を続けるよりも解散して会社を売却したほうがトクするということです。

   さらに直接、新規上場する時の基準では、時価総額が250億円に達していること対して、市場第二部やマザーズからの市場第一部への上場(昇格)は、それが40億円と、制度上のねじれも存在していました。

   そんな事情もあって、ここ数年はマザーズに上場してから市場第一部へ市場変更する企業が増えていたことが背景にあるようです。

   こうした問題に、東証は2022年から株式市場を、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの市場に区分することになります。

   ここでの分け方は、株主数、流通株式数、流通株式時価総額、流通株式比率、収益基盤などによって分類されます。つまり、今回の市場再編は売買のしやすさの向上とガバナンス改善の観点から、流通株式比率と流通株式時価総額の基準を明確に定めることになったわけです。

なお少なくない企業間の株式持ち合い

   言うまでもなく、これらは流通株式に焦点が当てられています。これまで、企業間の持ち合い株や政策保有株式が10%未満であれば流通株式として計算されていましたが、今回の市場区分見直しでは非流通株式となってしまいます。

   株式の持ち合いや政策保有している企業は少なくありませんから、東証としては流通株式を重視することで、株式の持ち合いや政策保有株式の売り出しが増加する、と考えているようです。

   逆に、グループ内での株式保有(持ち合い)や政策保有株式が多い企業は、徐々に売ってもらう必要が出てくるわけです。

   ちなみに流通株式数は、「現行の上場株式数-(主要株主10%以上の所有が所有する株式+役員等所有株式数+自己株式数)」に加えて、新たに「国内の普通銀行や保険会社、事業法人などが保有する株式(ただし、直近の大量保有報告書で保有目的が〈純投資〉と記載されている株式は除外)+その他取引所が固定的と認める株式」を差し引いた株数になります。

   もちろん、流通株式比率だけでなく流通株式の時価総額100億円(「プライム」市場の場合)を達成するためには、株価向上につながる積極的なIR活動や成長のための事業運営を進めていく必要があります。こうした考え方は、おおむね納得性が高いのではないでしょうか。

   来年の再編に伴って、注目される企業も増えると思うので、今のうちにいろいろと調べてみるといいかもしれません。

   では、また!(馬医金満)

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