2024年 4月 27日 (土)

これだけ広がった「東京五輪中止」包囲網! 「日本が滅びる」「五輪が放射能になった」の声続々(2)

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「何が何でも東京五輪・パラリンピックはやる!」

   2021年7月23日の開幕まで残り60日余に迫った5月21日、IOC(国際オリンピック委員会)とIPC(国際パラリンピック委員会)、日本政府、東京都、大会組織委員会の5者会議が開かれ、緊急事態宣言下でもやることが改めて確認された。

   しかし、五輪中止を求める包囲網がますます激しくなっている。強硬派と中止派のバトルはいつ終わるのか――。

  • 世論の反対を無視、五輪強硬開催に突き進む菅義偉首相
    世論の反対を無視、五輪強硬開催に突き進む菅義偉首相
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埼玉県坂戸市長「五輪やったら日本は滅亡する」

   地方の市長や議員たちからも、いたたまれない思いの人々が声を上げ始めた。読売新聞(5月21日付)「五輪『もしやったら日本は滅亡するのでは』...市長が危機感」が、埼玉県のある市長の悲憤慷慨をこう伝える。

「『命を守ることが一番だと思うので、オリンピックには反対』――。埼玉県坂戸市の石川清市長は5月20日の定例記者会見で、東京五輪開催反対の考えを明らかにした。石川市長は『感染症との戦いの中でも五輪の開催は異常なものだと思う。感染者は昨年よりずっと多い。変異型も出ている。国はやる方向だと思うが、もしやったら日本は滅亡するのではないか、と思うくらいの危機感を抱いている』と語ったうえで、『政治家は嫌われても、決断するときはするべきだ』として中止を訴えた」

   朝日新聞(5月20日付)「『五輪中止、速やかに判断を』小金井市議11人が要望書」が東京都小金井市議会の有志の動きを、こう伝える。

「東京五輪・パラリンピックをめぐり、東京都小金井市議の有志11人が5月19日、開催中止を求める『緊急要請書』を菅義偉首相や小池百合子都知事らに送付した。小金井市は東京五輪で自転車競技ロードレースのコースの一部に含まれている。要請書では、大会中止を速やかに判断し、医療崩壊の回避や生活困窮者の救済に力を入れるよう求めた。市議会会派『情報公開こがねい』代表の渡辺大三氏が、ほかの10会派に呼びかけ、7会派11人での共同提出となった。渡辺氏は『開催地である都内の自治体の議員として意思表示が必要と考えた。まずは有志で要請書を送ることにした』と話した」

「五輪中止」が都議選公約トップの共産党

   地方議会でさえ声が上がっているのだ。国会は何をしているのだろうか――。野党各派からようやく反対論が出始めたことを産経新聞(5月21日付)「野党、五輪開催後ろ向き」が、こう報じている。

「国民民主党の玉木雄一郎代表は5月20日の会見で、『かなり無理をして、強引に開こうとしているという感じが否めない』として、政府が第三者機関を設けて検証し、開催困難な場合は再延期すべきだと提案した。今年1月から中止を訴えてきた共産党は『野党の足並みがそろってきた。野党共闘の課題として五輪はやめるべきだという1点で協力していきたい』(志位和夫委員長)と歓迎している」

   そして、こう結んでいる。

「立憲民主党も5月に入って中止論を唱えた。枝野幸男代表が(5月)10日の衆院予算委員会で『国民の生命を守ることと五輪開催を両立させることは、不可能と言わざるを得ない』と訴えた。ただ、開催の流れは変わらないとみてか、枝野氏は19日の記者会見で『どうしても開催するのなら、こういうことだから大丈夫だと明確に示す責任が政府にある』と言い回しを変えた。一方、日本維新の会も決して積極的とは言いがたい。馬場信幸幹事長は12日の会見で、『4年ずつずらすのが正解だったが、もう不可能。ここまでくれば開催やむなしだ』と述べた」

というから、本気で開催反対を貫こうという立場は共産党くらいか。

都議選で「五輪中止」を第1公約に掲げた共産党の志位和夫委員長
都議選で「五輪中止」を第1公約に掲げた共産党の志位和夫委員長

   共産党は7月の東京都議会選挙でも公約トップに「東京五輪中止」を掲げている。都議選の争点になるのは必至で、他党にも影響を与えそうだ。

米紙「復興五輪のはずが放射能になった」

   こうした日本の反対論の高まりを見て、東京五輪の中止を訴える海外メディアが増えている。米の有力紙ロサンゼルス・タイムズが5月18日、「Olympics must be canceled after Japanese flip from fans to protesters amid COVID strain」(新型コロナ感染拡大による緊張が続き、日本人がファンから抗議者へと転向した今、オリンピックは中止しなければならない)というタイトルのコラムを掲載した=写真参照

「五輪が放射能になった」と報じるロサンゼルス・タイムズ紙電子版(5月18日付)
「五輪が放射能になった」と報じるロサンゼルス・タイムズ紙電子版(5月18日付)

   同紙の主張は辛らつだ。

「東日本大震災からの復興を祝う『復興大会』と呼ばれた東京五輪だが、皮肉なことに今は東京五輪そのものが放射能になっている」

と指摘し、五輪開催に猪突猛進する日本政府や大会組織委を厳しく批判。

「日本では五輪メダリストが引退後に政治家やタレントに転身して人気を博すほど五輪好きなのに、日本人の7割が自国で開催される五輪の中止を望むのは異常事態だ。そのクレイジーな状態の中で東京五輪が開かれようとしている。日本のワクチン接種率は3%未満で、感染力の強い変異種のまん延により、いくつかの都道府県で緊急事態宣言が出されている。医療体制がすでにひっ迫しているのに、これ以上の医療資源を転用する理由はない」

と主張。こう結んでいる。

「国民のアンチ五輪感情は、リカコ・イケエらのアスリートに向けられ、著名人が聖火ランナーを次々に辞退した。そんな状況下でも総理のスガは『国民の命と健康を守りつつ、アスリートにとって安全安心な大会を行う』と主張しているが、楽天のミキタニや、ソフトバンクのソンら財界人がCNNなどに訴えているように『五輪を開催すると壊滅的な被害が出る。これ以上被害を拡大させないためにも中止するしかない』だろう」

(福田和郎)

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