2024年 4月 17日 (水)

USENが飲食店の食品衛生チェックアプリ「お店のHACCP」を開発 記録、保存の負担軽減めざす

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   食品衛生法が改正され2021年6月から、食品の安全を確保する手法であるHACCP(ハサップ)による衛生管理が完全制度化される。食品を扱う全事業者が対象。飲食店などは食中毒防止のため、食材の仕入れから製品の提供までを通して、食品の衛生管理計画を立て、ポイントごとに毎日チェックして記録を保存しなければならない。

   飲食店のこうした負担を軽減しようと、幅広く飲食店を支援しているUSEN-NEXT GROUPの「USEN」が、HACCPによる衛生管理を実施して記録を保存できるアプリ「お店のHACCP」を開発した。USENインシュアランス事業推進部長の富田晃さんに聞いた。

  • USENがHACCPによる衛生管理の完全制度化に合わせ開発した「お店のHACCP」
    USENがHACCPによる衛生管理の完全制度化に合わせ開発した「お店のHACCP」
  • USENがHACCPによる衛生管理の完全制度化に合わせ開発した「お店のHACCP」

衛生管理計画の策定から実施記録の保存まで

   飲食店などの衛生管理は、従来は手洗いの徹底や器具の消毒などを記録する義務はなかったが、それに比べるとHACCPによる衛生管理は手間や時間がかかる。飲食店は、素材の仕入れから調理、提供など、衛生管理計画書と手順書の作成、それぞれの実施状況の記録、保存、さらには効果を定期的に検証することが求められるからだ。

   それらの作業をスマートフォンやタブレットを使って素早く処理できるのが、USENの「お店のHACCP」だ。

   USENの富田晃さんは、

「これらの記録や保存はデジタルで管理して必要に応じて書面に出力ができればよいと考えます。衛生管理の計画書や記録は、すぐに(保健所などに)提出するようなものではないので、個人経営の飲食店などでは後回しになりがちになります」

と指摘する。

   HACCPによる管理を実施しないことに対して明確な罰則はないが、怠ると店舗の衛生管理が問題視され、5~8年で更新される飲食店営業許可の阻害要因になる可能性がある。そうしたリスクを避けるためにも、「アプリを役立ててもらいたい」と開発の狙いを語る。

富田晃さんは「お店のHACCP」を、ゆくゆくはUSENの店舗DXのソリューションセットに組み込みたいと考えている
富田晃さんは「お店のHACCP」を、ゆくゆくはUSENの店舗DXのソリューションセットに組み込みたいと考えている

   HACCPは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略。厚生労働省によると、食中毒菌による汚染や異物混入などの危害要因(Hazard=ハザード)に、どのようなものが考えられるかを把握して、サービスの全工程の中で、危害要因を除去また低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保しようとする衛生管理の手法だ。

「HACCP」知っていますか?(出典:USEN)
「HACCP」知っていますか?(出典:USEN)

   国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している。日本では、2018年6月に改正された食品衛生法で、東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、20年6月1日から義務化がスタート。1年間を猶予期間とし、この6月から完全制度化される。

   「お店のHACCP」の販売を担うのは、同じUSEN-NEXT GROUPの一員であるUSEN少額短期保険。同社は、飲食店などの店舗運営にあたり必要不可欠となる保険によるケアを担い、2018年に事業をスタート。飲食店には「食中毒などをリスクヘッジする商品」などを手がけている。

   そうした中でHACCPという衛生管理手法が制度化されたことで、「保険会社として、食中毒の損害を補償する保険だけではなく、食中毒を発生させないようにする取り組みであるHACCPも同時に訴求することで『飲食店の安心・安全な店舗運営の提案』ができるとの考えがありました」と、富田さんは説明。保険商品以外の支援策を模索したことが、「お店のHACCP」の開発を加速させた背景にある。

   富田さんは、

「厚生労働省や保健所では、新型コロナウイルス対策に人手が割かれ、なかなかHACCPの啓蒙や推進活動ができていない、という記事を読みました。私たちは、飲食店と日ごろから向き合う事業者として、HACCPを広めていくのは、意義のある活動の一つであろうと思っています」

と、控えめに胸を張った。

   「お店のHACCP」は、USEN少額短期保険のPL保険(生産物賠償責任保険)「お店のあんしん保険(飲食業オプション)」(月額460円から)に加入した契約者(飲食店)に、無料提供している。

日本食品衛生協会の手引きに準拠

   そんな「お店のHACCP」は、日本食品衛生協会が厚生労働省と連携して作成した、小規模な飲食店向けの手引書の内容に準拠して設計している。

   富田さんは、

「店のオペレーションで忙しいオーナーでも簡単に操作できるようになっています。高齢の方でも使えるUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)をとことん追求しました」

と話す。

   アプリはお店の従業員のスマホでも操作でき、複数の端末で衛生管理が可能。記録はクラウドに保存され、いつでもダウンロードできるので、保健所への提出や食品衛生監視員のチェックなどの必要に応じてアプリで開いて見ることも、印刷することもできる。さらには、従業員の健康チェックもできるサブ機能も付属している。

   富田さんは、

「今後は、USENで提供しているタブレットを使ったレジシステムや非接触のキャッシュレスツールなど、USENの店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みと『お店のHACCP』を、ソリューションの一つとして組み合わせていくことを検討したい」

と意気込む。

   保険商品とのセット提供にとどまらず、「持続可能な店舗づくり」の一つのツールに育てたい意向だ。

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