2024年 4月 27日 (土)

五輪開催「普通はない」発言が物議 尾身会長の「慎重な物言い」を海外メディアが「誤訳」?(井津川倫子)

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英紙「東京はIOCの人質」「IOCは空気を読め!」

   東京五輪・パラリンピックの開催日が刻々と近づくなか、残念なことに「中止」や「延期を主張する声は、さほど大きく広がってはいません。日本でも、朝日新聞が社説で「五輪中止を」と呼びかけましたが、読売新聞や日本経済新聞など他の新聞社が後に続く気配はありません。

   そんななか、一貫して「東京五輪」について懐疑的なスタンスだった英紙ガーディアンが、「東京はIOCの人質になっている」ので、東京五輪には「参加しないことに意義がある」と訴えるスポーツ専門家の記事を掲載しました。

IOC holds Tokyo as Olympic hostage to fortune with grim Games ahead
(IOCは残酷なオリンピック開催を前に、東京を人質に取っている:英紙ガーディアン)
grim:ぞっとずる、残酷な、厳しい

   筆者は、東京五輪は過去の五輪と異なり「国民の意思に反して強行される」ことに強い違和感を示しています。さらに、「礼儀正しくて海外客を歓迎することで知られている日本人が、五輪開催に反対している」にもかかわらず、IOC(国際オリンピック委員会)が、「steadfastly refuses to read the room and leave」(断固として空気を読まず、立ち去らない)と比喩しています。

   また、相次ぐIOCの強気発言や強行路線とは対照的に、東京の人々は五輪後の感染拡大に「terrified」(恐怖を感じている)が、IOCとの契約上「Tokyo is powerless to stop them」(東京は彼らを止めることはでいない)と、日本の置かれた複雑な立場を伝えています。

   筆者は「オリンピックは勝つことではなく、参加することに意義がある」という近代オリンピックの父であるピエール・ド・クーベルタンの格言を引き合いに出して、次のことばで締めくくっています。

on this occasion, not taking part would unquestionably be the most important thing of all
(今回の五輪は、「参加しないこと」に、最も重要な意義があるだろう)

   それでは、今週のニュースな英語は「normal」(普通)を使った表現を取り上げます。

That is normal
(それは普通です)

That is not normal
(それは普通じゃないですね)

back to normal
(通常に戻る)

Everything should be back to normal
(すべて元どおりになる)

   何が何でも五輪開催に突き進もうとする政府や関係者の姿勢は、決して「normal」とは言えません。人々が心の底から願っているのは、五輪よりもコロナ対策を優先して、一日も早く「back to normal」(日常に戻る)ことだと強く思います。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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