話題のお店に、年代がわかるAIカメラあり! お客好みのBGMがかかるシステムをUSENが開発

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   喫茶店でコーヒーを飲んでいるとき、好みの曲が流れてくると、なんだか気分がウキウキしたり、ワクワクしたり......。それが店の居心地の良さにつながったりする。音楽配信事業をはじめとして店舗DXを推進している株式会社USEN(USEN-NEXT GROUP)が、AI(人工知能)を使ったカメラによる顧客の属性分析により、顧客の好みに応じてAIが選んだ音楽を配信するシステムを開発。その日の天候も考慮してBGMを流す仕組みも作り上げた。

   同社は、これまで蓄積した知見や技術を生かして店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業を本格化している。このBGMのシステムはその一環。このほど、東京都内の店舗が採用。先端的なDX店舗化した、そのリアルを見せてもらった。

  • 入店客をカメラがキャッチ、AIが属性分析
    入店客をカメラがキャッチ、AIが属性分析
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集客数や売上伸ばす重要指針に

   USENのサポートで先端的なスマート化を実現したのは、「ギンダコハイボール横丁 東銀座店」(東京都中央区)。USENが提供するDXのサービスを「ほぼフルスペックで導入」しているという。

   ビル3階にある同店に客が足を踏み入れると、上部に設置されたAIセンサーカメラが容貌を捉えて、性別や年代、来店歴の有無について即時に分析する。お客がマスクを着用している場合でも分析可能だ。

   店舗側では画像や分析情報を、付属タブレットの「BIダッシュボード」で確認できる。これが「U EYES」と名づけられたプラットフォームサービスだ。

   BIダッシュボードは、会社や店舗の経営管理をサポートするBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの一つ。データをグラフなどに視覚化して表示するほか、蓄積して増えたデータを分析して経営に関する意思決定をサポートする。

   「U EYES」について、アシスタントスーパーバイザーの橋本雅之さんは「属性分析で時間帯により客層が変わることを確認できた。店のスタッフに時間帯によるオススメ提案を変える指示がしっかりできるようになった」と言う。

   顧客情報の分析は、一つの情報だけで、また注文データなどと合わせることで、新メニューの作成に役立つなど、集客数や売り上げを伸ばすための効果的な施策を考える重要な指針になる。

ギンダコハイボール横丁 東銀座店の橋本さん
ギンダコハイボール横丁 東銀座店の橋本さん

業種や客層に合わせ曲編成 AIに数十万曲読み込みモデルに

   これまでUSENは、店舗などへ音楽配信を行う有線放送事業を手がけてきたが、インターネット時代を迎えて事業の拡大と多角化を成功させた。今ではさらに踏み込んで、店舗DX支援の事業に取り組んでいる。その中にあって、主力の一つである音楽配信の進化にも怠りはない。

   AIを採り入れて作り上げたのが、「ギンダコハイボール横丁 東銀座店」に導入されている「U MUSIC」と名付けたサービスだ。AIが店舗の業種や雰囲気、客層、また店舗運営者の好みや傾向を学習し、営業時間帯別に最適なBGMを編成して配信する。約60年にわたるUSENの音楽配信事業の中でもランドマークの一つといえる達成度だ。

   USEN のIoT PLATFORM事業推進部でサービス企画推進課長を務める亀割誉(かめわり・ほまれ)さんは、こう説明する。

「時間帯によって来店客層が変わる店は多々あるのですが、お店の方は忙しいので、それに合わせて音楽のチャンネルを調整することがなかなかできない。お店の方々から要望されていた課題解決として、調整が自動化できたことは、このサービスでの進化の一つ」

   亀割課長によると、約60年の音楽番組の制作で培った知見を生かして、ベースとなる数十万曲を選んで、それぞれに「晴れの日に合う」、「雨の日に合う」などのほか、「合う」と思われる業種を割り当てて分類している。そのデータをAIエンジンに学習(ディープラーニング)させ、以後は新しい曲を読み込ませれば自動で分類するようにして、サービスを可能にした。開発着手から、約2年を要したという。

   意外なことにUSENで顧客の問い合わせで最も多いのは、業務用インターネット環境の整備依頼。USENでは無線接続のWi-Fiの普及の流れに合わせ、回線工事が不要で端末をコンセントに接続するだけでインターネットが使える「U AIR」を用意。その延長線上の新たな試みとして、コンセントを差し込むだけで音楽のチューナーが使え、同じ端末から通信供給も可能となる一体化サービスとして「U MUSIC」を開発した。

来店客に合わせたBGMを自動選曲

   「U MUSIC」はまた、「U EYES」とのコンビネーションで、「来店客分析用のカメラでお客さまの年代を感知して、その年代に合わせたヒット曲をBGMとして流すことができます」(亀割課長)。お客が着席し、メニューの検討を終えて注文をするころの来店15分後ぐらいに、選ばれた曲がスタートする。

   亀割課長は、

「たとえば、お客さまが20代後半と判断されると、10代のときにヒットした曲がかかります」

と説明する。

   「ギンダコハイボール横丁 東銀座店」でも、このシステムは用意しているが、橋本さん によると、お客に合わせた曲になっても、それまでと違和感がないので気が付かないことが多いという。だが、「親しみのある曲が流れれば居心地の良さにつながるのではないか」と話した。

配膳ロボットも活躍。非接触化、省力化ばかりか、お客向けのエンタメにも
配膳ロボットも活躍。非接触化、省力化ばかりか、お客向けのエンタメにも

   ギンダコハイボール横丁 東銀座店では、BGMの自動選曲のほかに、お客が自分のスマートフォンでメニューを閲覧して、オーダーできる「Uレジ モバイルオーダー」システムや、配膳・運搬ロボットを使ったサービス、最新情報が届くアプリ「ギンダコスピリッツ」を導入。「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」でも接客のスタンダードとなりそうなサービスの配備に取り組んでいる。

   橋本さんは、店舗DXについて

「使いやすさや対応の速さに、導入した甲斐があったと感じている。(緊急事態宣言が明けて6月21日から営業を再開し)お客さまのありがたさを実感した。先端的な設備を生かして、安心して食事を楽しんでもらえるようにしたい」

と話した。

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