2024年 4月 20日 (土)

東京に4度目の緊急事態宣言! 五輪強行の陰に「安倍の呪縛」があった!?(1)

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   東京五輪・パラリンピック開催まで残り2週間。それにもかかわらず、東京都の新型コロナウイルス感染急拡大が止まらない。

   菅義偉政権は2021年7月8日、東京都に緊急事態宣言を発令することを決めた。期間は、東京五輪の開催期間中を含む7月12日から8月22日までの42日間。飲食店の酒類提供は禁止される。

   変異ウイルス感染爆発の危険が迫るなか、人々に多くの制限を強制しながら東京五輪を強行することに、怒りの声もまた止まらない。

  • 「コロナに打ち勝った証し」とはいかなかった菅義偉首相
    「コロナに打ち勝った証し」とはいかなかった菅義偉首相
  • 「コロナに打ち勝った証し」とはいかなかった菅義偉首相

菅首相「コロナに負けたみたいだから宣言は嫌だ」

   菅政権は「まん延防止」の延長で何とか乗り切る気だった。それが一挙に崩れたのは7月7日午後5時すぎ、東京都の新規感染者数が920人と発表された時だった。前の週の水曜日に比べ206人も増えた。1000人目前の、驚きの数字だ。

   政権内では、6日までは緊急事態宣言を出すべきだとする西村康稔経済再生相と、宣言に慎重な加藤勝信官房長官などの間で綱引きが続いていたが、一気に決着がついたのだ。

   朝日新聞(7月8日付)「迫る五輪、4度目宣言 感染急増、まん延防止延長方針を一転」が首相官邸の衝撃を、こう伝える。

「官邸幹部は閣僚会議終了後、『感染者がこれだけ増えると、迷うことなく宣言を出せる』と、吹っ切れたように語った。五輪を控える東京に宣言を出せば、首相らが描いてきた『祝祭ムード』の演出に水を差すことになりかねない。腐心してきた『有観客での五輪』の実現が事実上、果たせたくなる。首相周辺は『コロナに負けた感じになる。宣言は避けたい』とギリギリまで語っていた」

   しかし、新型コロナウイルスは容赦しなかったのだ。朝日新聞はこう結ぶ。

「首相が『コロナに打ち勝った証し』と位置付ける五輪を目前に、東京は4度目の宣言に入る。五輪のありようも、首相が思い描いた形とは異なるものになりそうだ。オリパラ対応に関わってきた自民党の衆院中堅は、厳しい口調で語った。『〈復興五輪〉〈打ち勝った証し〉を強調してこのありさまだ。首相は厳しい状況に追い込まれた』」

東京都の感染者は8月に4000人の試算も

   東京都の新規感染者は7月8日も896人に達した。これは前の週の同じ曜日より223人多い。19日間連続で前週より増加したことになる。これほど急拡大している背景には、インド型の変異ウイルス「デルタ株」が急速に広がっているからだ。

   主要メディアの報道をまとめると、新型コロナウイルス対策を厚生労働省に助言する専門家組織(アドバイザリーボード)は7月7日、首都圏での感染者の増加が続き、全国の感染者数の3分の2を占める状況になっていると発表した。

   特に顕著なのが「デルタ株」に感染した人の急増だ。7月5日までに全国で1409人が確認された。前週の842人からさらに増えた。アドバイザリーボードは、関東地方ではこうしたデルタ株が7日時点で感染の約35%を占め、東京五輪が始まる7月23日には7割程度になる、8月末には完全に置き換わる、と推定し、

「散発的なクラスターから、都心部での継続的な流行に移行しつつある。このままの状態が続くと、都内の1日あたりの新規感染者数は7月中に1500人を超える。強い対策をとらないと、8月初めには4000人を超えて、医療体制がひっ迫する危険がある」

という試算を示したのだった。

   国立感染症研究所の脇田隆字所長は、

「高齢者はワクチン接種で一定の効果がみられるが、40~50歳代の重症患者が増加している。今後、4連休や夏休みで県境を越える移動が活発になれば、東京から各地への感染拡大が懸念される」

と、注意を促した。

デルタ株は3回ワクチン接種しないとダメ?

「デルタ株」など猛威をふるう変異ウイルス(イメージ)
「デルタ株」など猛威をふるう変異ウイルス(イメージ)

   デルタ株の怖いところは、ワクチン効果を急激に減少させることだ。ワクチンを3回接種しないとダメかもしれないという恐ろしい報告をするのは、ニューズウィーク日本版(7月7日付)「ワクチン接種先進国イスラエルが、ワクチンの効果が64%に落ちたと発表」という記事だ。

「ワクチン接種が進み、6月半ばにはマスクもしなくてよくなったイスラエルで、新規感染者が再び増え始めた。ワクチンがデルタ株に効いていないという。イスラエル保健省は7月5日、ワクチンは急拡大しているデルタ株に対する発症予防効果は64%にとどまると発表した。ただし、重症化や入院を防ぐ効果は依然として高いという」

   イスラエル保健省が公表したデータによれば、このワクチンが新型コロナの発症を予防する効果は、この2か月で約30%低下した。5月に行われた前回の調査では、予防効果は94%を超えていたが、最新のデータでは、6~7月にかけて64%に低下した、とタイムズ・オブ・イスラエルが報じた。ただし、新型コロナの重篤な症状や入院を防ぐ効果は依然として高い。

   イスラエルでは昨年12月にファイザー製のワクチン接種を始め、国民の6割近い約510万人が各2回の接種を終えている。1日の新規感染者数が一時、10人台にまで減り、6月にほとんどの規制を解除した。ところが6月下旬から感染者数が増え始め、7月5日には1日500人を超えた。新規感染者の90%がデルタ株だ。いったいどうしてワクチン効果が急落したのか。

   国民の多くがマスクをしなくなったために感染が広がったのか、あるいはワクチンを防御する力がデルタ株では強いのか、などさまざまな説がある。ニューズウィーク日本版はこう結んでいる。

「ワクチンが時間の経過とともに弱まる可能性も。新規感染者の増加を受け、ベネット首相官邸は保健省に対し、3回目のワクチン接種の必要性に関する2つの医学研究を推し進めるよう指示した。首相官邸によれば、これらの研究の目的は、『ワクチンの有効性と、時間の経過による効果の減少ペースを評価する』ことだという」

(福田和郎)

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