2024年 4月 26日 (金)

ロックダウンが生んだネットスーパーの活況! ドイツでは配達員の待遇めぐる労働争議も勃発(高橋萌)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています
「10分でお届けします」

とは、ネットスーパーの売り文句。

   コロナ禍のドイツでは、インパクトのある売り文句でユーザーにアピールするネットスーパーが次々に現れました。

   注文から支払い、配送完了までアプリで完結。もちろん、配達員の動きはマップ上に表示されます。ウーバーイーツなどのフードデリバリーサービスで日本でもお馴染みのスタイルですね。

  • コロナ禍において急成長を続けるデリバリーサービス。街のいたる所に看板が掲げられている。
    コロナ禍において急成長を続けるデリバリーサービス。街のいたる所に看板が掲げられている。
  • コロナ禍において急成長を続けるデリバリーサービス。街のいたる所に看板が掲げられている。

本当に10分で配達される? ネットスーパーGorillasを体験

   小売店の閉鎖を含む厳格なロックダウンが実施されていた時期も、スーパーマーケットは営業を許可されていました。しかし、人数制限があるなか、時間帯によっては長蛇の列ができていましたし、濃厚接触者となり自宅待機を余儀なくされた人にとってはライフラインとも言えるサービスでした。

   ドイツにおいてネットスーパーそれ自体は目新しいものではなく、大手スーパーのREWE(2011年)やEdeka(2017年)がサービスを提供していました。そこへ新型コロナウイルスのパンデミックです。急成長する市場で、GorillasやFlinkなどベルリン発のスタートアップは創業1年未満でユニコーン企業(評価額10億ドル以上)に名を連ねるなどブームをけん引しています。

   デルタ株の拡大が懸念されるなか、人との接触を極力避けられる手段は確保しておきたいですし、それでなくとも小さな子どもを連れて買い物をするのはひと仕事。食材や日用品を玄関先まで届けてくれるというのは大変魅力的なサービスです。

   じつは、私のスマートフォンの中には数か月前からPicnicのアプリが入っています。Picnicはオランダから進出してきたネットスーパーで、配送無料ですが最低購入価格が35ユーロ(約4500円)、配達は翌日以降の時間帯を選べます。同社のキャパを超えるユーザーが殺到しているそうで、現在ウェイティングリストの順番は1万2752番です......。

   利用開始まで、まだ何か月も待つ必要がありそうなので、次にダウンロードしたのが冒頭のキャッチフレーズ「10分でお届けします」でお馴染みのGorillasです。私が住む地域がサービス対象地域になったばかりということもあり、こちらはすぐに利用可能でした。

   Gorillasの場合、最低購入価格はなく、送料は1.80ユーロ(約230円)。それぞれの商品の価格は格安スーパーに敵わないまでも、よく抑えられています。

   自宅の住所を登録すると、「12分」と表示され、配達員がスタンバイしていることがわかりました。アプリ内の買い物カゴに購入したい商品を入れて、オンライン決済完了。

「本当に12分で来るのかな?」
「野菜の鮮度はどうかな?」

と、ドキドキ待つこと12分。時間ぴったりに配達員が電動自転車に乗って家の前に到着!

届いた食材とGorillasの紙袋。精肉など要冷蔵の商品は保冷バックの中に入っていて、ひんやりしていました。
届いた食材とGorillasの紙袋。精肉など要冷蔵の商品は保冷バックの中に入っていて、ひんやりしていました。

   ロゴの入った大きなリュックサックから取り出された野菜は新鮮、商品の入れ間違えもなし。配達員のお兄さんはフレンドリーな笑顔で、英語で対応してくれました。

   ドイツ語は話せないそうです。

   スマホから指一本で注文し、十数分後には「ピンポーン」と呼び鈴がなるという新しい体験から得られた軽い興奮。しかし、同時に「このビジネスは成り立っているのかな?」という疑問が頭をもたげます。

高橋 萌(たかはし・めぐみ)
高橋 萌(たかはし・めぐみ)
ドイツ在住ライター
2007年ドイツへ渡り、ドイツ国際平和村で1年間の住み込みボランティア。その後、現地発行の日本語フリーペーパー「ドイツニュースダイジェスト」に勤めた。元編集長。ドイツ大使館ブログでは「ドイツ・ワークスタイル研究室」を担当。サッカー・ブンデスリーガ大好き。日本人夫とバイリンガル育児に奮闘中。
Twitter: @imim5636
神木桃子(こうぎ・ももこ)
神木桃子(こうぎ・ももこ)
ドイツ在住ライター
島根県生まれ、東京・多摩育ち。物事の成り立ちを知りたいと大学では有機化学を専攻。小売業界でのオーガニック製品や地域産品のバイヤーを経て、2014年よりドイツに移住。「もっと心地よくグリーンな暮らしへ」をテーマに、ドイツのマーケット情報やトレンド、ライフスタイルについて執筆活動中。3歳になる娘と日本人の夫との3人暮らし。
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