週刊ダイヤモンドは「最新の塾選び」、週刊東洋経済は「ビジネスと人権」を特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

※「週刊エコノミスト」は、先週合併号が発売されたため、お休みです。

   3連休だったため、9月21日火曜日発売となった「週刊ダイヤモンド」(2021年9月25日号)は、「まだ間に合う!最新の塾選び術」と題した特集を組んでいる。

   大手、個別、家庭教師、オンラインとさまざまな塾と予備校について紹介。小中高大、この1冊で全部OK!という充実の内容だ。

  • 9~10月は塾選びの絶好のタイミング! 週刊ダイヤモンドが大特集
    9~10月は塾選びの絶好のタイミング! 週刊ダイヤモンドが大特集
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難関校を目指すならば、やっぱりアノ塾!

「週刊ダイヤモンド」2021年9月25日号
「週刊ダイヤモンド」2021年9月25日号

   小中高の各学校で新学期が始まった。9~10月は塾選びの絶好のタイミングだという。中学受験塾の多くは、来年2月からの新年度の生徒募集を11月にスタートさせる。それを前に塾選びをする時期なのだ。

   まずは、定番の中学受験の話題から。2021年度入試では、首都圏の受験生が09年度に次ぐ過去2番目の多さとなり、東京都の受験率は10年ぶりに30%を突破した。22年度入試も激化が予想され、遅くとも小4には塾に入るのが常識になっている。

   「塾ソムリエ」として知られるプロ家庭教師集団名門指導会の西村則康代表によると、四谷大塚、日能研、サピックス、早稲田アカデミーの四大塾の中でさえ、志望校によって選ぶべき塾は変わるという。

「難関校を目指すならば、やはりSAPIX(サピックス)がトップ。続いて、他の3つの塾のいずれか。逆に中堅校を目指す場合、この3つの塾のいずれかが第一選択肢で、次にSAPIX。また、現在小5で、例えばサピックスに通っていて、特に算数で付いていけなくなり転塾を考えるならば日能研が良い。カリキュラムが少しゆっくりしているので、つまずいた単元をもう一度指導してくれる」

   特定の学校に強い塾もあるそうだ。浅野、麻布に強い啓進塾をはじめ、武蔵ならアントレ、国学院久我山に強いおぎしん、都立中高一貫校ではenaやE-style、早稲田アカデミーの名前が挙がっている。有名校における塾別合格発表リストも掲載している。21年度、開成では、SAPIX269人、早稲田アカデミー127人、四谷大塚106人、日能研30人となっている。

   関西では、最難関の灘中への合格実績がすべてだという。21年度のトップは東のSAPIXと並び称される浜学園が96人でトップ、それに続くのは馬渕教室の71人だ。首都圏とは有力塾の顔触れも変わるようだ。

   主要高校の塾別合格者数リストも掲載している。首都圏の有名校では、SAPIX、ena、市進学院、臨海セミナー、早稲田アカデミーなどが上位に並んでいる。

   大学受験となると、予備校の存在感が増してくる。東大、京大、早慶生など難関大学生280人に聞いたアンケート調査が興味深い。大学受験のために通っていた塾・予備校は、1位が駿台予備学校61人、2位が河合塾44人、3位が東進ハイスクールと東進衛星予備校の14人、5位が河合塾マナビスと鉄緑会の10人となっている。

   人数ではやはり、駿台予備学校と河合塾が多いが、東進ハイスクール、東進衛星予備校、河合塾マナビスなど、対面授業ではなく映像授業を受講できる予備校のランクインが目立つのが最近の傾向だ。

◆「授業をしない塾」や安い学習アプリも登場

   「授業をしない塾」として知られる武田塾についても詳しく紹介している。全国に400校舎以上あり、参考書の中からわかりやすいものを厳選し、志望校別のカリキュラムを作って1冊1冊を完璧にしていく学習方法を指導している。

   最強の参考書リストとして、英語では「システム英単語」(駿台文庫)、国語では「ゼロから覚醒 はじめよう現代文」(かんき出版)、数学では「基礎問題精講シリーズ」(旺文社)などを勧めている。

   さらに、スタディサプリ、スマイルゼミなど、AIツールやICT学習教材の台頭も著しいという。この手のアプリだけで東大に合格する生徒も登場。リクルートホールディングスが提供するスタディサプリは月額980円という破格の価格設定で利用者が急増している。

   塾に頼らずとも、受験勉強は出来る時代になってきたのは、歓迎すべきことだ。

人権では低い評価の日本企業

「週刊東洋経済」2021年9月25日号
「週刊東洋経済」2021年9月25日号

   「週刊東洋経済」(2021年9月25日号)は、「SDGsが迫る企業変革 ビジネスと人権」という特集。欧米では企業に対し、人権リスクの把握と対策を求める動きが高まっている。遅れを取る日本企業が対応すべき課題に迫っている。

   今年6月に公表された東京証券取引所の「改訂コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」に、「人権の尊重」が盛り込まれた。強制力はないが、従わない場合は投資家などへの説明が求められる。

   企業は人権に関し、どんな取り組みをすればいいのだろうか。国連のSDGsの指導原則は、以下の3つの事柄を求めている。

・人権方針の策定
・人権デューデリジェンスの実施
・苦情処理メカニズムの構築

   2つ目の「人権デューデリジェンス」は、耳慣れない言葉だが、事業活動で生じる人権侵害のリスクを企業が把握し、予防策や軽減策を講じることを指している。

   児童労働、ハラスメント、強制労働、低賃金、性別・国籍・人種による差別、安全性や衛生管理の欠如といった人権侵害がないのか、自社、直接取引先だけでなく、サプライチェーン全体が対象になる。人権対応では日本企業の取り組み不足が指摘されており、人権団体からは低い評価を受けている。

   特集では、「サプライチェーンを総点検せよ」とリスク確認に動いた味の素と花王の取り組みを詳しく報じている。

   サプライチェーン上の人権リスクに味の素が本格的に直面したのは2014年のこと。「タイ産エビの安さの理由は奴隷労働にある」と報じられた。さらに16年にはタイ産鶏肉のサプライチェーンにおける強制労働が発覚。問題が起きたのは、味の素の取引先である養鶏場だった。そこで人権侵害が起こっていることをフィンランドのNGOの情報で把握した。タイで現地調査を実施、第三者の視点も取り入れた報告書を作成・公表した。

   花王もシャンプーや化粧品など、多くの日用品に使用されるパーム油に注目。農園開発に伴う森林破壊や土地収奪、強制労働や児童労働などの問題がないか、確認を進めている。

   独裁を強めるミャンマー国軍との関係が顕在化し、不買運動に直面している日本企業も少なくない。キリンは国軍系企業と合弁していたため、都市部を中心にボイコット運動が広がり、ビール製品の売り上げが落ち込んだ。

   キリンは事業見直しを決断したが、多くの企業は今後の方針を決めることが出来ないと指摘している。

   日本国内でも外国人の技能実習制度の人権リスクが問題になりかけている。実習生の雇用状況を調査し、公表する大企業も増えてきた。

   「今われわれが襟を正さなければ、いずれ外国から労働者が来てくれなくなる」と関係者は話している。

   SDGsを掲げる企業が増えてきたが、サプライチェーンも含めて人権を守ることが要請されるようになり、その内実が問われていると言えそうだ。(渡辺淳悦)

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