2021年 10月 21日 (木)

ホントに所得倍増できるの? 岸田政権の経済政策はどこまで期待できるのか エコノミストが分析(1)

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   2021年9月29日の自民党総裁選挙で岸田文雄氏(64)が新しい総裁に選ばれた。10月4日の首相指名の臨時国会で第100代の総理大臣になる。

   岸田政権になると、日本経済はどう変わるのか。日本株の行方はどうなるのだろうか。私たちは暮らしに期待が持てるのだろうか。

   経済シンクタンクの4人のエコノミストが分析した。

  • 経済政策が注目される岸田文雄・自民党新総裁(9月29日の記者会見、自民党公式サイトより)
    経済政策が注目される岸田文雄・自民党新総裁(9月29日の記者会見、自民党公式サイトより)
  • 経済政策が注目される岸田文雄・自民党新総裁(9月29日の記者会見、自民党公式サイトより)

「令和版所得倍増」は電卓を叩いただけで無理とわかる

   自民党の岸田文雄・新総裁はアベノミクス推進派の人々の支援を強く受けているので、一見するとアベノミクス継承に向かうとみられているが、じつは路線修正を図っているとみるのは、第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストだ。

   「岸田文雄新総裁の経済政策~アベノミクスからどのように軌道修正するか?~」(9月30日付))の中で、こう説明する。

「岸田氏自身は、『小泉(純一郎)政権以来の新自由主義的政策からの転換』という言葉を使っている。アベノミクスからの修正をしたいという願いも込められているのだろう。新自由主義の転換とは何かと言えば、企業重視・成長一辺倒の発想を変えるということだろう。成長が企業部門を中心に行われれば、その恩恵が自然と家計などに及ぶというのはトリクルダウン(編集部注:富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなるという理論)の発想だ。分配は自然に任せておけばよいというのが新自由主義だ。
アベノミクスの下、日本経済にはトリクルダウンは十分に働かず、企業の金あまりが問題視された。賃金上昇が不十分だから、『分配なくして次の成長なし』も、岸田氏が強調する言葉だ。アベノミクスでは、本物の好循環が生み出せなかったという批判がにじんでいる。これに対して、菅首相は最低賃金の引き上げを推進した。岸田氏からみれば、これもまだ不十分だったということになる」

   そして、熊野氏はこう続ける。

「やはり、ベースアップ率が上昇することでしか、平均賃金は大きく上がらない。賃上げが安定的に起こってこそ、分配メカニズムも機能したと言える。この考え方には筆者も100%同意する。また、賃上げを積極化させることこそ、デフレ脱却を成功させる鍵だ。金融政策一本槍だけではダメだ」

   もう一つ、岸田氏が打ち出した政策に「令和版所得倍増計画」があるが、成功するのだろうか。熊野氏は単純な数字を出して、その難しさをこう述べる。

「令和版所得倍増計画は、岸田氏の看板政策と言ってもよい。2020年の民間給与平均は433万円(国税庁『民間給与実態統計調査』)だから、それが866万円に増える計算になる。素朴に考えると、どのくらいの期間で所得は2倍になるのか。単純計算では、毎年5%の賃金上昇率で15年間を要する。7%ならば11年、10%ならば8年、15%で5年はかかる。電卓を叩いただけで倍増計画がかなり高いハードルであることがわかる。財務省『法人企業統計』(2020年度)では、労働分配率は71.5%である。この分配率を100%にしても総人件費は1.4倍にしかならない。このことは、付加価値を引き上げなくては、家計所得を2倍にできないことを示している。
具体的な方策として、岸田氏が提唱するのは、法人税減税を梃子に賃上げをする手法だ。しかし、この政策は2013年から現在まで所得拡大促進税制という名称ですでに推進されている。残念ながら、2013年以降の賃上げ率は、それほど大きなものではなかった。従来の法人税の減税は、賃金増加額の15~25%を還元するものだった。より大胆な賃上げを促進するには、もっと還元率を大幅に引き上げることが必要になる」
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