2024年 4月 27日 (土)

今年合併で誕生したみずほ銀行系シンクタンクが総力結集した経済予測【12月は、2022年をのぞき見する一冊】

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企業収益が悪化する3つのリスク

   多くの論点の中から、気になるものをいくつかピックアップして紹介しよう。まずは「国内景気」から。「ワクチン普及で経済活動は回復。GDPは2022年にコロナ禍前水準に」と予測している。疫学モデルを用いたシミュレーションを行い、2021年ほどの医療体制のひっ迫は回避できると試算している。だが、検査体制の拡充、ブースターショット、ワクチン接種証明の国内活用、抗体カクテル療法、重症病床の積み増しなどの政策を実施しない場合、緊急事態宣言は2022~2023年にかけて4回発令され、対人接触型サービス消費の低迷が続くと予想している。

   自動車産業などを悩ませた半導体不足は、2022年には解消が見込まれる。設備投資も、堅調な輸出やサービス業の持ち直しがプラスに寄与し、緩やかな回復基調となる見込みだ。

   一方、政府の資金繰り支援は縮小される見通しで、倒産リスクが顕在化する可能性もある。事業転換支援が重要な局面になると見ている。

   企業収益は、製造業は138%とコロナ禍前を上回る一方、非製造業は87%と回復が鈍い。格差は大きく、「K字形」回復の構図となっている。2022年は非製造業も緩やかに回復するが、3つのリスクに留意が必要だ、としている。

   1つ目のリスクは、交易条件の悪化だ。資源価格が高騰した結果、交易条件指数(=輸出物価指数÷輸入物価指数)は急激に悪化した。消費者物価には上昇の兆しがなく、企業は輸入コストの増加を十分に価格に反映できていない。

   2つ目は、半導体不足などの供給制約の長期化だ。2022年半ばまで長期化した場合、生産・収益回復の足かせになる恐れがある。

   3つ目は、新たな変異株の出現により、ワクチンの普及が遅れる新興国で感染が再拡大し、経済活動正常化の時期が遅れるリスクを挙げている。本書では、オミクロン株について言及していないが、オミクロン株の感染やその影響を見極める必要がありそうだ。

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