2024年 4月 19日 (金)

この10年で「働き方改革」はここまで進んだ! トヨタ、博報堂、清水建設、野村不動産、大和証券、三菱地所...社員の生の声は?

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「組合のプレッシャーで全員が年間20日の有休」

   さて、有休消化率の推移はどうだろうか。

   10年間で有休消化率が大きく上がった業界は「証券会社、投資ファンド、投資関連」「建築、土木、設備工事」「不動産関連、住宅」「小売」(百貨店・専門店・量販店・コンビニエンス・ストア)で、10年前は2割~3割程度の有休消化率だったのに対し、大きくポイントを上げた。

   2021年で有休消化率が高かった業界は「通信、プロバイダー、データセンター」「コールセンター、業務請負」「自動車、自動車部品、輸送機器」で、いずれも7割を超えている。特に「通信」と「自動車」はもともと10年前から6割以上の消化率を達成しており、さらにポイントを上げている。

   それぞれの業界を代表する企業の現役社員の生の声を見ると――。

しっかり「育休」をとるイクメン社員が増えた(写真はイメージ)
しっかり「育休」をとるイクメン社員が増えた(写真はイメージ)
(1)証券会社、投資ファンド、投資関連業界
大和証券「年休は本当に取りやすい。最低限取得する日数については上司から促され、取ることができる。曜日も自由である。また、通常の有休に加え、夏季休暇や、子供のイベント(運動会など)があったときに別で取れる休暇、親の長寿祝い休暇などもある。休んだ分がんばろう!という社風である。体調を崩し何日か休んだこともあるが、柔軟に対応してもらえた」(営業、女性)
(2)建築、土木、設備工事業界
鹿島建設「1年以内に義務付けられている有給5日取得については、ほぼ強制的に実施される。加えて、記念日休暇やほかの独自の休暇についても、必ず取得させるよう強い指示が管理部門から現場の幹部クラスにきているようで、上司指示で無理やり休暇を取得する場面もある。全体的に休暇を取りやすい環境である」(施工管理、男性)
(3)不動産関連、住宅業界
三菱地所「休暇取得の推奨は、実際に必達目標を各人に課し、定期的に人事部から取得状況が部署長に送られ、未取得の社員に対し部署長からも働きかけをするよう強く求められる。残業についても単に時間短縮を社員に迫るのではなく、生産性を高めるための効率化 提案等積極的に受け入れ、よいものは採用・即実践している」(開発、男性)
(4)小売(百貨店・専門店・コンビニエンス・ストア・量販店)業界
ファミリーマート「最近力を入れて取り組んでおり、以前に比べて休みを取得しやすい環境が整いつつある。有給休暇を使い切るまではいかないが、部署ごとに取得率を公表することで、進捗の悪い部署が『見える化』され、急激に改善されてきた」(営業、男性)
(5)自動車、自動車部品、輸送機器業界
トヨタ自動車「業務負荷はそれなりに高いが、年休は取りやすい。自分の担当業務次第で、仕事の負荷が高い時期と低い時期がだいたい予想がつくため、それ以外の時期であればプライベートを優先させることも可能だ。特に年休は、労働組合からのプレッシャーがあり、ほぼ全員が年間20日は取得している」(営業部門、女性)

   こう見ていくと、10年前と比べて、日本の働き方はいい方向へと進んでいるといえそうだ。もっとも、ここ数年はコロナ禍のなか、リモートワークなどの新しい働き方も出てきた。2022年およびその先に向けて、アフターコロナにおける働き方はどう変化するのだろうか。

   なお、調査は、OpenWorkに2012年1月~2021年11月の期間、回答時に現職の社員による投稿をもとにした。残業時間は34万2737件、有休消化率は34万6506件を対象データとした。

(福田和郎)

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