2024年 4月 27日 (土)

中国経済の減速止まらない! エコノミストが警戒する「ゼロコロナ」政策の「固執」、習総書記の「思惑」

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「ゼロコロナ」でサプライチェーンが大混乱

   野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏も強権的な「ゼロコロナ」政策が、世界経済の大きなリスクになっている、と警鐘を鳴らす。コラム「中国ゼロコロナ政策が日本・世界経済の下振れリスクに」(1月20日付)のなかで、都市封鎖(ロックダウン)によって工場の操業停止が相次いでいる、と指摘する。

「トヨタ自動車の天津の合弁工場では、1月10、11の両日に稼働が停止された」「独フォルクス・ワーゲンの天津市内の工場も閉鎖された」「西安では、世界の半導体メーカー大手2社で生産に支障が生じている」「半導体メーカーの韓国サムスン電子や、スポーツ用品大手の米ナイキ、独アディダスなど世界的な大手企業を顧客に抱える中国の繊維企業の生産に支障が生じており、グローバル・サプライチェーンの混乱が始まっている」

   それも、寧波などでは10件の感染が確認されために、ナイキやアディダス、ユニクロなどのサプライヤーである申洲国際集団の生産拠点が閉鎖に追い込まれる厳しさだ。

「ゼロコロナ」政策で北京冬季五輪を乗り切ろうとする習近平総書記だが...(北京五輪パラリンピック組織委員会公式サイトより)
「ゼロコロナ」政策で北京冬季五輪を乗り切ろうとする習近平総書記だが...(北京五輪パラリンピック組織委員会公式サイトより)

   そのうえで木内氏は、米ゴールドマン・サックスが感染拡大を理由に、中国の2022年のGDP成長見通しを前年比4.8%から4.3%へと下方修正したことなどをあげ、

「中国経済の減速は、今年前半中は続くのではないか。その影響は、グローバル・サプライチェーンの混乱を通じて世界経済にも及び、世界経済の大きな下振れリスクとなってきているのが現状だ」

と警戒している。

   今年秋、中国共産党は5年に1度の党大会を開く。党大会がある年は、党幹部たちの昇進がかかっているため、経済政策の業績誇示をもくろんでGDPの成長見通しが上がるのがこれまでの「常識」だった。

   しかし、中国経済の減速によって、そのシナリオも危うくなったと指摘するのが、大和総研主席研究員の齋藤尚登氏だ。齋藤氏のレポート「中国:『ゼロコロナ』への固執がリスク要因に」のなかで、やはり「ゼロコロナ」政策が元凶だと指摘する。

「こうしたシナリオが画餅に帰す可能性を高めるのが不動産市場の低迷と『ゼロコロナ』政策の行方である」「かつて2003年の新型肺炎(SARS)を『終息』させた成功体験を持つ中国が、党大会で共産党統治の優位性の証左としてゼロコロナをアピールしたい気持ちは分からなくはない」「しかし、外部との接触を完全に断つのは不可能であり、いずれ『ウィズコロナ』への道を模索する必要性が高まろう」「ゼロコロナへの固執如何によって、景気下振れ懸念が高まることに留意したい」

   独裁体制だからできる「ゼロコロナ」政策が、中国経済の首を絞めているといえよう。そして、習近平総書記の独裁がますます強まれば、世界経済の首まで絞めかねない危険性をはらんでいる。

(福田和郎)

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