2024年 4月 19日 (金)

いまの新入社員は、入社前の「社会的活動」経験当たり前? 「まったくない」は少数派

   新入社員の入社前の社会的な活動経験が、入社後の企業、職場への認識に強く影響している可能性があることがリクルートワークス研究所の「新入社員の入社前の社会的活動調査」でわかった。2022年2月25日に発表した。

   コロナ禍にあって、職場環境が大きく変わってきているなか、新入社員の中には「入社前に地元のコワーキングスペースの運営に携わって...」「スタートアップで2年間働いて...」といった社会で活動した経験を持つ若手が一定数存在。

   同社によると、その多くに社会活動の経験と現在の職場環境を比較する視座を持っていたという。「入社前の社会的な活動経験の多寡から、新入社員の企業・職場観の多様性が見えてくる」と指摘する。

  • もうすぐ新年度がはじまる!(写真はイメージ)
    もうすぐ新年度がはじまる!(写真はイメージ)
  • もうすぐ新年度がはじまる!(写真はイメージ)

46%超が「複数の企業・職場の見学」に参加

   調査は、リクルートワークス研究所が大学・大学院卒で就業年数3年未満、初職・現職が正規雇用者であり従業員数1000人以上の会社に勤めている人を対象に実施した「大手企業新入社会人の就労状況定量調査 2021」(2021年11月15日~22日に実施。サンプル数は2680人)をもとに、企業・職場観に与える影響が大きい要素として、「入社前の社会的活動量」に着目した。

   入社前の社会的な活動について、2019~21年卒業の人に、

(1)中学・高校時代に、複数の社会人から仕事の話を聞く経験があるか
(2)複数の企業・職場の見学に参加した経験があるか
(3)複数の企業や社会人が参加するイベントの主催・運営に携わった経験があるか
(4)期間が1か月以上にわたる長期のインターンシップへの参加経験があるか
(5)起業や法人設立の経験があるか
(6)ビジネスプランコンテストやハッカソンに参加した経験があるか
(7)知人ではない多人数の前のプレゼンテーション・スピーチの経験があるか
(8)営業のアルバイトなど、企業の商品・サービスを売る経験があるか
(9)ゼミ・研究室で行なった学外の社会人と連携して行う活動に参加した経験があるか
(10)地域や会社と連携して行う講義・授業を受けた経験があるか
(11)社会人と一緒のチームで成果を出すプロジェクト・活動の経験があるか
(12)あてはまるものはない

   以上の12項目に分けて「参加した」「実施した」かどうかを聞いたところ、最も多かったのは「複数の企業・職場の見学」で46.2%。「中学・高校時代に、複数の社会人から仕事の話を聞く経験」が25.5%、「複数の企業や社会人が参加するイベントの主催・運営」の20.8%と続いた。

   最も少なかったのは、「起業や法人設立の経験」で2.9%だった=表1参照。

【表1】入社前の社会的活動の実施率(2019~21年卒)
【表1】入社前の社会的活動の実施率(2019~21年卒)

   こうした活動について、各年代別に経験量を測定してみると、年代を追うごとに、社会的な活動の経験量が増えているという傾向を確認できるとしている。

   下の表2にあるように、「4回以上」と答えた人は5.4%から11.5%へと倍増しており、同様に「2~3回」と複数回を経験していた人も32.5%に増加。2回以上の複数回以上を経験している人は、合わせて44.0%にのぼった。

   また、経験が「まったくない」人は、現在の新入社員では27.5%と少なくないが、各年代に比べて低いことがうかがえる=表2参照。

【表2】入社前の社会的活動経験(年代別)(%)
【表2】入社前の社会的活動経験(年代別)(%)

社会的活動の経験が多い新入社員は「不安」を感じる?

   一方、新入社員にとって会社や職場への不安はつきものだが、社会的な活動経験が多い新入社員ほど、「不安」を感じることが少なくないことがわかった。「不安」という項目に、「あてはまる」と答えた人は「4回以上」の経験で41.9%と、「まったくない」人の26.2%と比べて高い傾向がみられた=表3参照。

【表3】「不安だ」という項目にあてはまると答えた割合(2019~21年卒)
【表3】「不安だ」という項目にあてはまると答えた割合(2019~21年卒)

   リクルートワークス研究所は、かつて多数派だった入社前の社会的な活動経験が「まったくない」人は、すでに今の新入社員においては少数派(4分の1程度)。活動内容も多様化しており、多彩な若手が存在している、と指摘。一定の新入社員が入社時に「白紙の状態」はなくなっている可能性が高く、「こうした新入社員に一律のオンボーディング(組織社会化)施策で良いのか、ゆるい職場を前提とした育成の見直しが必要なのではないだろうか」としている。

姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中