2024年 4月 30日 (火)

目指すはウェルビーイングな会社! オンライン研修で引き出す社員のホンネ リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義氏に聞く(前編)

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   コロナ禍で社員教育の現場が大きく変わってきた。

   変化の背景には、会社の日々の業務でリモートワークの機会が増えていること、またZ世代といわれる新卒者などの若手社員は大学や高校でのオンライン授業を経験しており、リモートワークに慣れていることがある。「教える側」「教わる側」の双方のコミュニケーションの仕方に変化が起こったのだから、社員教育の現場が変わらないわけにはいかないのだ。

   今回は新年度のスタートを前に、Z世代への社員教育について、リクルートマネジメントソリューションズ HRDサービス開発部主任研究員、桑原正義さんに話を聞いた。

  • 桑原正義さんは新入社員などの若手領域の研修プログラムの開発を手がけている
    桑原正義さんは新入社員などの若手領域の研修プログラムの開発を手がけている
  • 桑原正義さんは新入社員などの若手領域の研修プログラムの開発を手がけている

Z世代が持つ「みんなで力を合わせて前進する」という価値観

――社員研修などのトレーニングの研究開発というのは、どのようなお仕事ですか。

桑原正義さん「私は、とくに入社1年目~3年目向けの新人若手領域の研修プログラム開発を手掛けています。そのために、受講者となる新人若手の世代――1990年代後半生まれ以降のいわゆる『Z世代』の研究など、研修開発の手前となる部分から取り組んでいます。
   現在はリモート環境などでの新しい働き方も含めて、大きく職場は変わっています。研修も既存のスタイルから、新しい方法論へのアップデートが求められています。オンライン研修はもちろん、職場での実践を交えながら学びの定着を進めていくタイプの新しいトレーニングなどを探究し、お客様と一緒に実験しながら、新しい研修プログラムを開発しています」

――そもそもZ世代とは、どのような世代なのでしょうか。

桑原さん「弊社のアンケート結果からZ世代の特徴をみると、今までと違う価値観が現れてきています。たとえば、『お互いに鍛えあう』という考え方が、この10年間大きく減っています。その一方で、『助け合う』が大きく増えていて、新しい軸だと考えられます。つまり、『一人ひとり、厳しい環境で鍛えあって成長していく』のがこれまでの価値観だとすると、Z世代は『みんなで助け合って、力を合わせてやっていきましょう』という価値観になっています」

――Z世代が生まれた背景には、時代的な流れもあるのですか?

桑原さん「今まさにVUCA(社会やビジネスに正解がなく未来の予測が難しくなる状況。Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語)の時代の真ん中で、大きな転換期のフェーズに来ていると思います。1990年代前半ぐらいまでは、これまでの価値観で、世界も日本企業も大きく成長してきました。
   ところが、最近のSDGs(持続可能な開発目標)などに見られるように、その持続性につながる事業成果やソーシャルインパクト、さらにはWell-being(肉体的、精神的、社会的すべてが満たされた幸福な状態)という従業員の健康や幸福を尊重した方向が出てきています。とはいえZ世代にとっては、ある意味、生まれながらこうした価値観の中で生きてきた人たちです。彼らにしてみれば、今の時代の流れは自然なこととして、とらえているのです」

――ということは、社員研修も時代によって変わっていくのですね。

桑原さん「これまでの価値観では、会社が決めた事をしっかりやる。社員の育成は、上司や経験が豊富な優れた人に指導を受けながら、みんなで戦っていく。そうすると、会社も成長して報酬や昇進、見返りがたくさんあるので、自分自身の個性や多様性を重視するよりも、そのほうが結果的にはうまくいく。――そういう考え方でした。そして、多くの人が幸せになれるやり方でした。
   ところが、現在の環境ではそれだけで幸せになれない、とみんなが気づいた。そして、今の価値観が出てきたと思います。多様性を生かすのは右倣えではありません。これまでの全員で一致団結していく価値観からすると、非効率で難しい面が出てきます。でも、一人ひとりの意見や個性を尊重することで、新しいアイデアや創造が生まれやすくなったり、従業員のエンゲージメントも上がりやすくなったりするのです。
   これは、どちらがよいかという議論ではなく、必要に応じて使い分けられるべきだと思います。とはいえ、一気にこの価値観でやろうとすると、社内がバラバラになってしまうかもしれません。強いリーダーが引っ張っていく、言うべきことをフィードバックして成長を促す、ということもまだまだ必要です。つまり、これからの価値観をバランスよく取り入れられるか、がキーワードです。『両利き経営』といわれますが、そうした経営スタイルやマネジメントに向けて、アップデートしていくことが求められていると思います」
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