2024年 4月 25日 (木)

災害の教訓、忘れないで... 東日本大震災から11年 自治体との「災害協定」進むアクティオの取り組み

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   災害の教訓、忘れないで――。総合建設機器レンタルのアクティオ(東京都中央区)は、拓殖大学大学院特任教授・防災教育研究センター長の濱口和久さんを招いたオンラインセミナーを2022年3月10日に開催した。

   アクティオでは自治体との「災害協定」進めているほか、災害時には同社が扱う発電機、車両、トイレやハウスなどの資器材を供給する取り組みを続けている。

   東日本大震災から11年。10年ひと昔というだけに、あらためて防災意識を高めたいものだ。濱口さんも「災害に対する無関心がよくない。災害の風化を防ぐこと、災害の教訓を忘れないことが大事」と呼び掛けていた。

  • 災害の風化を防ぎ、後世に伝えることが大事(写真はイメージ)
    災害の風化を防ぎ、後世に伝えることが大事(写真はイメージ)
  • 災害の風化を防ぎ、後世に伝えることが大事(写真はイメージ)

「『自分ごと』としてとらえる意識が重要」

   オンラインイベントでは、まず濱口和久さんが登壇し、「災害の日常化と、災害の備え」をテーマにスピーチした。最も伝えたいことは「災害に対しての無関心がよくない」ということだ。

「自衛隊や行政など誰かが助けてくれる、という意識を持っているのは厄介です。本来、災害を考える場合、災害対応を他人ごとではなく、『自分ごと』としてとらえる意識が重要です」(濱口さん)
拓殖大学大学院特任教授・防災教育研究センター長の濱口和久さん
拓殖大学大学院特任教授・防災教育研究センター長の濱口和久さん

   地震大国の日本の場合、世界主要都市のリスク指数を見ると、首都圏に位置する東京や横浜は飛びぬけて高い、と濱口氏は指摘する。しかも昨今、地球温暖化にともなう気候変動がもたらす災害の「激甚化」への懸念もある。

   そのうえで、かねてから30年以内発生率が高いとされる「首都直下地震」が起きた場合の危惧について、

「首都直下地震により、東京発の世界恐慌を引き起こす可能性がある。また、南海トラフ地震は、阪神・淡路大震災と東日本大震災が同時に起きるような状態。そうなれば、多くの太平洋側に集中している企業の研究所や工場などが被害を受けるので、サプライチェーンの崩壊が起きてもおかしくない」

と、濱口さんは話した。

   また、こうした事態を想定して、企業には「BCP(事業継続計画)」の早急な策定が求められると指摘。従来は、地震、台風、豪雨など自然現象を対象としたBCPでよかったが、コロナ禍で感染症の脅威も出てきたことも踏まえ、現在はあらゆる有事、緊急時へ対応できるBCPが必要だと強調した。

「感染症で社会が麻痺した場合の事業継承もしっかり考える必要があります。なかでも、企業のサプライチェーンへの影響です。たとえば、生産現場で感染者が出て、モノをつくることができなくなったらどう対応するか、事前に準備することが喫緊の課題です」(濱口さん)

   平時に有事を想定することには「そこまで準備しなくても」「そこまでお金をかけなくても」という考えになりがちだが、濱口さんによると、事前に準備しておくことが結果として、災害後の復興後の時間、コストがからない、などのメリットがあるとした。

災害時に最も困る「電気」を、オフグリッドシリーズで供給

   続いて登壇した、アクティオの上席執行役員 広報部長の進浩(しん・ゆたか)さんは、自社の災害支援の取り組み事例を紹介した。

   同社は、全国の自治体と「災害協定」を結んでいる(2022年2月末時点で304件)。災害などが起こると、ふだん自社で扱う発電機やバックホー(アーム先端に取り付けたショベルの向きがオペレータ側にある油圧ショベル)、車両やトイレやハウスなどの資器材を被災地に供給する体制だ。

アクティオ 上席執行役員 広報部長の進浩さん
アクティオ 上席執行役員 広報部長の進浩さん

   同社は、全国に支店19か所、営業拠点425か所、工場・センター数156か所におよぶ広いネットワークを持つことが強みだ。災害時は、全国から機械を被災地近くに集め、いったん大型工場に集約してから、必要な場所へ供給。場合によっては、足りない機材を購入して対応することもあるという。

   過去には、東日本大震災発生から1週間で発電機約2000台、バックホー150台、トイレ400機などを被災地に搬入した。2018年に西日本を襲った豪雨では、沿岸部の被災だったことから、鉄道に影響した。そこで、同社は鉄道復旧に必要なレールの上を移動できる「軌陸車」「軌陸ダンプ」を搬入、社員も応援にかけつけた。

   進さんによると、災害時の支援経験のなかで、多くの人が困っていたのは「電気」だという。この問題に対して、同社のオフグリッドシリーズ(平時は工事現場などで利用)が、被災地では電源供給に役立ちそうだ。

   オフグリッドシリーズには、「オフグリッドハウス」と「オフグリッドカー」がある。

アクティオのオフグリッドシリーズ(セミナーでの資料から)
アクティオのオフグリッドシリーズ(セミナーでの資料から)

   「オフグリッドハウス」は、太陽光パネルと蓄電システムを搭載したユニットハウスだ。太陽光で発電した電気は、室内の照明やエアコン、電源などに利用できる。設置したら、すぐにでも電力供給できるのが特徴だ。平時は、工事現場などでの仮設ハウスとして、作業員の休憩室などに利用されている。

   一方で、ユニークなのが「オフグリッドカー」。オフグリッドシステム(リチウムイオンバッテリーと300W仕様の太陽光パネル)を搭載したクルマである。「移動する事務所」として、平時では車内がすぐに仮設の現場事務所となり、複数の現場を掛け持ちする、移動の多い現場監督は重宝するようだ。

   ラインアップには、トヨタの「ハイエース」をベースとする「オフグリッドオフィスカー」、HONDAの「N-VAN」をベースとする「オフィスカー/軽バン」のほか、日産の「NV200」をベースとしたシンクやトイレ付きの「レストカー」などがある。いずれも、個人での利用含め、レンタルが可能。

   災害時は、「オフグリッドハウス」を活用することで、早期の業務再開を目指して、事業継続のための拠点事務所として利用できる。機動力のある「オフグリッドカー」ならば、移動式事務所や避難所としてはもちろん、通信やパソコンが必要な司令拠点として、スマホなどの充電基地として、バッテリーや電力を必要とする災害現場で存在感を発揮しそうだ。トイレ付きの「レストカー」などは、清潔なパウダールームとして安心に使用できる。

   備えあれば、憂いなし――。こうした選択肢があることを知るとともに、災害時を想定した準備がいまこそ必要だ。

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