2024年 4月 26日 (金)

ソニー×ホンダ EV開発で異業種連携 米IT大手の動きにらみ「号砲」!

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   ソニーグループとホンダが電気自動車(EV)で手を組む。年内に合弁で新会社を作り、2025年の販売開始と、自動車向けサービスの事業化を目指すという。

   ソニーグループの吉田憲一郎社長とホンダの三部敏宏社長が2022年3月4日、記者会見を開いて発表した。

   電機業界、自動車業界で戦後日本のベンチャー企業の代表として世界に名を轟かせる両社の動きを、「おとぎ話のような提携」(日経ビジネス)と評するメディアもある。テスラやアップルをにらんだものといわれ、EV開発における本格的な異業種連携の「号砲」になりそうだ。

  • ソニーとホンダがEV連携、日本の自動車産業大きく変わる!?(写真はイメージ)
    ソニーとホンダがEV連携、日本の自動車産業大きく変わる!?(写真はイメージ)
  • ソニーとホンダがEV連携、日本の自動車産業大きく変わる!?(写真はイメージ)

ソニーとホンダ、それぞれの思惑......

   ソニーとホンダ。両社はソニーの盛田昭夫氏、井深大氏とホンダの本田宗一郎氏という、ともにカリスマ創業者のもと、日本を代表する企業になった。今回の提携発表の会見では、両社創業者と、ソニーの「ウォークマン」、ホンダの「スーパーカブ」といった日本発の名品の写真を大きく映し出す演出もあり、両社長が会社の歴史に触れ、「独創性にこだわるなど歴史的、文化的に非常にシンクロする点が多い」(ホンダの三部社長)などと語った。

   この点は戦後の日本の高度成長を体感した世代、その歴史を知る人の気持ちに響く話だろう。そんな両社の提携に、期待感も高まるところだ。

   新会社は、EVの企画や設計、開発、販売などを行う。ホンダが開発するEVをベースに、車体や安全機能など機械的な技術を提供。ソニーは自動車の頭脳といえるソフトウエアや社内でのエンターテインメントなど「モビリティ・プラットフォーム」を提供する。また、自動運転に必要な画像センサーで、ソニーが高い技術力を持っており、これを活用する。

   ホンダの工場で生産し、販売、アフターサービスも既存のホンダの販売網を活用する見込みだ。

   とはいえ、限られた分野での提携であり、両社それぞれの思惑、狙いがあり、さまざまな評価がある。

   発表会見でソニーの吉田社長は「ホンダとの提携を通じてモビリティー(乗り物)の進化に貢献したい」と強調。ホンダの三部社長は「異業種の化学反応を起こして顧客の期待を超える価値を作り、競合他社と戦っていきたい」と話した。

   ここに、両社の目的が現れている。

日本の自動車産業の未来、大きく左右する連携

   ソニーの狙いはかなり明確だ。自動運転に必要な画像センサーで高い技術力を持っていることは前述の通りで、これを生かして2020年にEV試作車「VISION―S(ビジョンS)」を発表。22年1月にはEV市場に本格参入する方針を掲げた。そこに示されたのは、培ってきたテレビやスマートフォンなどの技術を生かし、「動くエンタメ空間」としての自動車であり、これに「リカーリング」(継続的に収益を生み出すビジネス)のサービスを載せて稼ぐビジネスモデルを志向している。

   ただし、自前で製造するのは容易でなく、量産・販売できる事業パートナーが必要だ。試作車の生産は、オーストリアの自動車受託製造大手に任せたが、量産して広く市場で販売するには、アフターサービスを含めたノウハウが欠かせず、ホンダに白羽の矢を立てたわけだ。

   こうした狙いがはっきりした今回の提携は、ソニーにとってはメリットが大きいとの見方が多い。

   一方のホンダは2021年3月、一定条件の下で前方を見ずにハンドルから手を離したまま走れる自動運転「レベル3」の搭載車を世界で初めて市販。同年4月には2040年に世界で販売する新車をすべてEVか燃料電池車(FCV)にする方針を打ち出し、日本メーカーとしていち早く「脱エンジン」を明確にしている。

   そのホンダの今回の提携の狙いは「新しい面白い価値をつくる」(三部社長)こと。そのため、ソニーとのあいだで「化学反応」を起こそうというが、いかにも抽象的な表現だ。

   もちろん、共同開発するEVの生産を担うことで工場の稼働率が上がるなど直接的なメリットはあるが、三部社長は提携による短期的な収益は「そこまで期待していない」と述べた。

   そう語る三部社長は、率直に危機感も露わにしている。

「電動化・知能化をはじめ革新的なテクノロジーや新たなモビリティ、モビリティサービスの担い手は、必ずしも従来の自動車メーカーではなく異業種のプレーヤーや新興企業に移行しているように見える」

   EVというハードをつくるだけでは生き残れない。データを集め、コンテンツやサービスと一体化してネットワーク化することで新たな価値を生み出す「ソフト主導」の未来のモビリティを生み出すには、自動車メーカーの発想の枠を越えた提携が必要と判断したとみられる。

   EVをめぐっては、急成長した米テスラを含む世界の自動車メーカーだけでなく、自動運転の開発に力を入れるグーグルや、いずれEVに参入するとみられるアップルなど、米IT大手も競争相手になる。ソニーとホンダの提携がどのような果実を生んでいくか。日本の自動車産業の未来も大きく左右する可能性がある。(ジャーナリスト 済田経夫)

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