2024年 4月 26日 (金)

話題のNFTはどこで買える? 豊富なイラストで解説!NFTビジネス全体像

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紛らわしい「アートNFT」と「NFTアート」の違いとは?

   本書では、弁護士の増田さんらしく、トラブル回避のための法律と会計の知識にも多くのページを割いている。

   NFT化されたことで固有性が認められ、希少性に付加価値を見出されたデジタルアート作品だが、その概念の法律的解釈が問題となるらしい。「アートNFT」と「NFTアート」という紛らわしいものについて、こう説明している。

「アーティストとしては、アート作品それ自体の独占権を譲るつもりまではなく、実際に取引されているものも、アート作品それ自体というよりは、それと紐付けされたトークン、すなわちNFT(アートNFT)です。しかし購入者の中には、NFT化されたアート作品それ自体(NFTアート)を購入したのだから独占権を得たのだ、と誤解する人もいるでしょう。取引されているものはトークン(アートNFT)、アーティストが引き続き独占権を有しているのがアート作品(NFTアート)、と区別して考える必要があります」

   さらに、デジタルアートを含むデータは「有体物」ではなく「無体物」なので、民法上は所有権の対象にはならないことにも注意が必要だ。もっとも、NFTについての法整備や見解の統一はいまだにできておらず、トークンで著作権委譲は可能か、という問題も論じている。

   著作権に基づいてNFT保有者に一定の利用許諾を与えるという方法であれば実務的には可能であり、実際にそのようなやり方は多く見られるという。

   増田さんはアートNFTを保有することの本質は、アーティストの芸術活動を支援する「パトロン」のようなものかもしれない、と説明している。

   所有権がないという点では絵画などのパトロンとは違うが、NFTアートは、ブロックチェーン上に保有者を記録していくので、保有者が替わっても名前が消えることはない。「そこに名前を連ねたすべての人を著作者のパトロンと認識することもできます」と書いている。一時保有しただけでも、永遠に名前は残るということだ。

   ほかにも、NFTとメタバースを組み合わせたビジネスの活用など、さまざまな利用法も紹介している。面白いと思ったのはファッション業界との組み合わせだ。ファッション産業が排出するCO2は全産業の10%を占める。仮想空間でのファッションに関心をシフトさせることで、現実世界のファッションの経済活動を緩やかにし、CO2の排出量を減らすこともできなくはない。また、新しいデザインにNFTを付与することで、希少性も高めることもできそうだ。

   10年後にはブロックチェーン上で動く分散型金融「DeFi」が可能になれば、銀行の形が変わるかもしれない、と予測している。ゲームやアートなどに有用と思っていたNFTだが、将来は生活の一部になる可能性がある。使うには暗号資産が必要だから、まずは暗号資産について勉強しようと思った。

(渡辺淳悦)

「NFTビジネス見るだけノート」
増田雅史監修
宝島社
2180円(税込)

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