2022年 7月 3日 (日)

好きだから頑張るのはあたり前? 働くこと、生きることの意欲低下「社畜ゾンビ」にご用心【尾藤克之のオススメ】

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   シリーズ累計90万部突破した『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)をわかりやすくしたビジネスマンガを紹介します。本書では、仕事で結果を出せずに苦しみ、ついには「社畜ゾンビ」となってしまった青年が、『アウトプット大全』のメソッドを使って成長していくストーリーが描かれています。

   社畜ゾンビとは、「倦怠感、思考力、言語能力が著しく低下し、働くこと、生きることへの意欲も低下してしまっている」状態を指します。

「【マンガでわかるアウトプット大全】もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら」(樺沢紫苑著、齋藤邦雄イラスト)サンクチュアリ出版
  • あなたの仕事の状況はどうしょうか?
    あなたの仕事の状況はどうしょうか?
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過度のストレスは、逃げ出すという選択肢をみえなくする

   本書の特徴は、読みやすさにあります。マンガと専門書の折衷によって、見事に読みやすさを表現しています。なかには、マンガであることに違和感を覚える人がいるかもしれませんが、私はマンガだからこそ、多くの人に読んでもらいたいと考えています。

   最近は、ストレスによる精神的な疲れを感じている人が少なくありません。そのような人には、文字で埋め尽くされた本よりも、マンガのほうが受け入れやすいと思います。さらに、著者の精神科医・樺沢紫苑氏が専門性の高い考察をしているので、読者は「人生を見つめなおすための道筋」をイメージできるのではないでしょうか。

   「働き方改革」も言葉だけは浸透しています。これは、一億総活躍社会の実現に向けたチャレンジであり、日本の企業や暮らし方を変えるものとして提唱されてきています。一人ひとりのニーズにあった、納得のいく働き方を実現するためのものですから、一定の意味はあるのでしょう。しかし、その実現はかなり難しいと言わざるをえません。

   ブラック企業や自殺問題がクローズアップされるなか、パワハラなどにも注目が集まりました。しかし、これらの問題を解決するための有効な手段が、必ずしも存在するとはいえないような状況でした。本来、必要とすべき人には、なにも届いていなかったのです。

   人は長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれると、その状況から逃れようとする努力を行わなくなります。わかりやすい例では、サーカスのゾウがあげられるでしょう。本来、ゾウは力が強く、凶暴性がありますが、サーカスのゾウは非常におとなしい。

   サーカスのゾウは、小さいころから足に紐をくくられ、杭につながれて育っていることから、「抵抗してもムダ」とインプットされています。逃げるという発想がなくなっているのです。人間も過度のストレスを受け続けると、逃げ出すという選択肢がみえなってしまいます。こうならないように、気をつけなければいけません。

メンタルの疲れが心配な4月...疲れを感じる前に気づいて

   令和3年版自殺対策白書(厚生労働省)によれば、令和2年の自殺者数は2万1081人で、前年より912人増加しています。男性は11年連続で減少したものの、女性は2年ぶりに増加に転じたことが明らかになりました。40歳代、50歳代、60歳以上は、ピーク時から大幅に低下しているものの、20歳未満の若年層は近年上昇傾向にあります。

   また、「人口動態調査」によれば、1年でもっとも自殺者が多いのは、夏休みが終わる9月1日前後、2番目が新年度の4月だそうです。哲学者でありノーベル文学賞受賞者のバートランド・ラッセルは、『幸福論』のなかで次のように説いています。あなたの仕事の状況はいかがでしょうか。

「人間は疲れれば疲れるほど、仕事をやめることができなくなる。ノイローゼが近づいた兆候の一つは、自分の仕事はおそろしく重要であって、休暇をとったりすれば、ありとあらゆる惨事を招くことになる、と思い込むことである」(ラッセル『幸福論』)

   疲れを感じる前に、気づいてください。自分自身を客観視することが大切です。「社畜ゾンビ」にならないように最大限注意しましょう。

(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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